TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

ステラの導き

一覧ページ

「ステラの導き」のメインビジュアル

ステラの導き

33 - 第四幕 第二章 月影島の夜

♥

34

2025年08月15日

シェアするシェアする
報告する


「第四幕 第二章」 月影島の夜
 試練の門を越えると、月影島の奥には小さな集落が広がっていた。

 石造りの家々は半ば崩れ、広場の井戸には水がほとんど残っていない。

 住民たちは無言であなたたちを見つめ、やがて一人の老人が近寄ってきた。


「……お前たち、月殿を討つつもりか」

 あなたが頷くと、老人は低く笑った。

「ならば知っておけ。月殿の城には、“銀月の盾”がいる」


 その名に、リュミエールの表情がわずかに揺れた。

 彼女は視線を逸らし、焚き火のそばに座り込む。

 あなたが近づくと、彼女はぽつりと呟いた。

「銀月の盾――それは、私の兄よ」


 焚き火の赤い光が、彼女の頬を染める。

「私は月殿の跡取りとして育てられた。でも、理想を捨てた兄が……父と共にこの島を支配した。私が裏切り者と呼ばれる理由は、それだけ」


 ラシードが火を見つめながら口を開く。

「……俺の故郷を焼いたのも、そいつか」

 リュミエールは目を閉じ、静かに頷いた。


 沈黙を破ったのは、集落の少年の声だった。

「銀月の盾は無敵だ。でも、あの人は戦う前に“誓いの鐘”を鳴らすんだ」

 老人が説明する。

「鐘は城の奥深くにある。もし先に鳴らせば、奴の加護は消えるだろう」


 ――ここで、今までの旅で集めた“星欠片”の意味が繋がった。

 星欠片は、誓いの鐘の封印を解く唯一の鍵だったのだ。

 それを知るや、ラシードは立ち上がる。

「なら、やるしかねぇ。鐘を鳴らして、兄貴を……いや、俺たちの敵を倒す」


 夜空には満月が浮かび、その光が三人を照らしていた。

 月殿城への潜入作戦は、夜明けと共に始まる――。

この作品はいかがでしたか?

34

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚