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「第四幕 第三章」 潜入、月殿城
夜明け前、月影島の霧が薄れはじめた頃。
あなたたちは崖の陰を縫うように進み、月殿城の外壁へと近づいた。
白銀に輝く城壁は月光を受けて淡く光り、塔の上では無数の槍兵が見張りを続けている。
リュミエールが低く囁く。
「城の地下水路から入る。だが――罠が仕掛けられているはずよ」
石橋を渡り、水路の鉄格子を破ると、冷たい水の匂いと共に奥へと進む。
だが、その途中――足元の石がわずかに沈んだ瞬間、
ガシャン!
壁の隙間から鋼の格子が落ち、道が封鎖される。
「分断だ!」
あなたとラシードは前方に閉じ込められ、リュミエールは後方で敵兵に囲まれる。
頭上から降りてきた影が、銀の鎧をまとって立ちはだかった。
「……久しいな、妹よ」
低く響く声。銀月の盾――リュミエールの兄、カイラスだった。
彼の瞳は冷たく、剣は月光を浴びて眩しく輝く。
「誓いの鐘は私が守る。ここから先へは、一歩も通さぬ」
ラシードが怒りに任せて突撃するが、カイラスは剣を一振りしただけでその攻撃を弾き飛ばす。
「力だけでは私を超えられぬ」
その時、あなたの腰の袋で星欠片が淡く輝いた。
――鐘の封印を解く力。
カイラスの加護を消す唯一の手段。
しかし鐘の場所へ行くには、まずこの罠を破らねばならない。
ラシードが息を整え、あなたに目配せする。
「……やるぞ。星を武器に変えろ!」
あなたは夜空を思い描き、星槍を呼び出す。
光が水路の壁を貫き、格子が砕ける。
同時にリュミエールも後方から敵を倒し、合流した。
「鐘は北塔の最上階よ!」
カイラスは剣を構えたまま立ちはだかる。
「行けるものなら――行ってみろ!」
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