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#追放
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第8話
次の日の朝に少し安全確認のために道を進んだ。
すると、今度はブルーウルフが群で立ちはだかっていた。群だけど普通はここら辺にいる魔物では無い。
僕はブルーウルフを蹴散らしてから宿屋に戻った。
「……そうか。朝からご苦労」
今日も山道を進んだ。それからは殆ど魔獣も出ないで山道を抜けた。
山道を抜けると本当、直ぐに目的地である町に着いた。
ここは魔法使いが多く住む町だ。僕とは無縁。
魔力が生まれつき、こんなに少ないのは異常と正常の境目くらいに当たるだろう。ただ単に、魔力が少ないだけだけど。
ソフィーは人並みにはあるけど、多いとは言えない。アニカが多いってのは分かる。見てて光っているように見えるから。
僕は屋敷にアニカを送ってから聖騎士とは別行動をとった。
聖騎士は街を歩いているけど、僕は人通りの少ない道を歩いていた。僕みたいな魔力の少ないやつがこんな街を歩くのは目立つから。
変な目で見られる気がしてここを歩いている。
アニカに見られたくないと言われたので僕はここら辺をうろついている。
……剣術を極めている人なんてこの街にはいないんだろうな……
そう思いながら高台に登った。人気は無くて空気が澄んでいる。
街を眺めると絶景だった。ソフィーにも見せてやりたかったけど、ここまでの道のりを考えると無理だと直ぐに悟った。
僕はお昼休憩くらいの時間にまた屋敷に向かった。
✡
「ほら、もっと……」
そう言ってテリーさんは私に厳しく指導している。
テリーさんは中年女性で、魔力が多い。魔力の扱い方も繊細で私の扱い方を見て深くため息をつかれた。
私は集中して魔力を固めているけど「まだまだ」と言われてしまう。
「あら、もうこんな時間。少し休憩よ」
そう言われたので私は机に突伏せた。
もう、疲れた……
お腹が鳴っているけど、ご飯を持ってくるのを忘れた……
そう考えていたら、ロルフが顔を覗かせに来ていた。
私は扉を開けてロルフと少し話をする事にした。
「大変?」
「凄い大変……ロルフ。こき使うようで申し訳ないんだけど、ご飯を持ってきてくれると嬉しい……」
ロルフは私が言い難そうにしていると感じ取ったのか笑顔で頷いて街へ戻っていった。
……申し訳ない……
それから、ロルフは果物とお肉が挟まったパンを持ってきてくれた。夜まで持つように気を利かせたのが良く分かった。
ロルフに次の休憩時間に来てほしいとお願いをした。
私はそれから、一生懸命やって駄目だしを受け続けた。
もう無理……限界よ……
私の魔力が限界に近いのを見てテリーさんは「今日はもうおしまいです。また明日も行うのでゆっくりと休んでいてください」と言って裏へ向かった。
丁度、ロルフも扉の前に来ていた。
「ロルフ。街を一緒に見たいんだけど、今まで見てきたところでいいと思ったところを教えてくれない?」
そう私が言うとロルフは俯いて黙ってしまった。
何だろう……私もしかして、気がかりな事を……
「……街、見てないんだ……」
ポツリと彼の口からそう言った。
あ、もしかして自分の魔力の事を……
そこは、私の配慮不足だった……ロルフは、魔力の事も気にしていたのね……
「ごめんなさい。それじゃあ……何をしていたの?」
気が利いた言葉が出てこない。街を歩かなかったら、その他にやる事が見つからなかった。
「高台から眺めてたよ」
そう言って彼は街の高台を指さした。
「そこにいきたいな。もちろん、ロルフは嫌だったら嫌って言って」
そう言うと彼は首を横に振ってから私の腕を掴んで裏道から高台に向かった。
連れて行って貰った高台から街を見下ろすと言葉にできない程、絶景だった。
私はこんなに遠くまで来たことが無かったので北の景色がとても新鮮だった。空気も澄んでいて空とのコントラストが綺麗。
「凄い……」
「うん」
ロルフも隣で大きく息を吸っていた。
「でも、こんな景色はそう遠く無い未来では見れなくなってしまう……」
そう私が呟くとロルフは俯いた。
あ、ええっと……
何だか空気を悪くしちゃった……どうすれば……
「予言が嘘だったらいいのに……」
ポツリとロルフが呟いた。
私は空を見上げながら小さく頷いた。彼が気づいているのかは分からないけど、唇を噛んでいた。
宿屋に戻ると彼に向かっての視線が気になる。魔力が殆ど見えないからだと思う。
でも、聖騎士の周りにいると少しは和らいでいるように見える。当の本人も気にしている見たいだけど、聖騎士が気を使ってどうにか紛らせそうとしている。
部屋に戻ると一人でちょっと寂しい。布団にダイブして眠りについた。
✡
「ロルフ。気にするな」「そうだ。こいつはこの国で一番強いんだぞ!」
そう言って聖騎士の二人が飲んだくれている。僕は二人のおつまみのおこぼれを食べているけど中に居づらい。
ノリが全然分からないし、酔っている人の対応の仕方なんて知らない。
僕はもう無理だと思って、外の空気を吸いに行った。
あの、酒やタバコの匂いが立ち込めていた空間から吸っていた肺に新鮮な空気を入れて空を見上げた。
星々が連なって、大きな大地を照らしている。その中でも月がとても綺麗に光っている。満月より少し欠けた月は僕を勇気づけてくれるように見えてなんだか少し心の傷が癒された気がした。
僕は体が冷える前に部屋に戻って寝た。