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龍の中のラプソディ

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龍の中のラプソディ

15 - episode15-裏切りと、触れたい気持ち-

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2025年09月08日

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廃工場の奥。雨に濡れた床に腰を下ろし、いるまとらんはようやく息を整えていた。


外はまだ追っ手が動いている気配がある。

いつまた見つかるか分からない。


 


🎼📢「……クソッ。どうして隠れ家がバレた」


いるまは舌打ちし、ポケットから小型の通信端末を取り出した。

暗号化された回線に接続し、仲間のひとり・真志(まし)に連絡を入れる。


 


📞「……いるまか。無事か?」


🎼📢「ああ、なんとか生きてる。けど隠れ家が襲撃された」


📞「……内部の情報が漏れてる。間違いねぇ」


 


通話を切ったあと、いるまはしばらく黙り込んだ。

その表情は険しく、まるで嵐の中の海のように揺れていた。


 


🎼🌸「……裏切り者がいるってこと?」


🎼📢「ああ。俺の仲間の中にな。……誰かが俺を売ってる」


🎼🌸「……」


 


らんは、胸がきゅっと締め付けられるのを感じた。

自分がいるまの重荷になっているんじゃないか――そんな不安が胸をよぎる。


 


けれど、その時ふと気づいた。

いつも守られてばかりで、自分から何かをしてあげようとしたことはなかった。


 


🎼🌸「……いるま」


🎼📢「ん?」


🎼🌸「俺、今……触れてもいい?」


 


一瞬、いるまの瞳が大きく揺れた。


 


🎼📢「……お前から、そう言うとは思わなかった」


🎼🌸「俺……ずっと、怖がってばかりだった。

でも、今は……自分から“触れたい”って思ってる」


 


らんは震える指で、そっといるまの手に触れた。

濡れたシャツ越しに、確かな体温を感じる。


 


いるまは黙ってその手を握り返した。

強さではなく、優しさで包み込むように。


 


🎼📢「……らん。お前にそう言われたら、俺、我慢できなくなる」


🎼🌸「……いいよ。我慢しなくて」


 


その言葉に、いるまの目が熱を帯びる。

ゆっくりと距離を詰め、額を合わせる。


雨音の中で、互いの息が混じり合った。


 


🎼📢「……チッ。こんな時に、なんでお前は俺を狂わせるんだよ」


🎼🌸「……いるまだから」


 


唇が触れた。

今度は、逃げるようなキスじゃない。

らんが自分から求めた、確かな答えだった。


 


外の雨と銃声の気配はまだ続いている。

けれど二人の間には、もうひとつの戦いが始まっていた――

“恐怖”ではなく“愛”に向かうための戦いが。

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