コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第30章:英雄、眠る地へ
地球防衛戦から3日後――
ゲズとセレナは、眠りについたウカビルを安置するため、
古文書に記された“聖域”を目指していた。
その場所は、かつて伝説の巫女たちが雷の加護を祈ったとされる遺跡、
「エラ・ノア神殿」。
⸻
【1. 英雄の眠り】
薄暗い神殿の中央、浮遊する水晶の棺に、ウカビルが静かに横たわる。
ゲズは彼のそばで立ち尽くしながら、つぶやく。
ゲズ「お前が“星の英雄”……。でも、こんな終わり方でいいのか?」
セレナはゲズの肩にそっと手を置く。
セレナ「終わりじゃない。彼は“目覚める”。
その時が来たら……あなたと一緒に、きっと戦ってくれる」
ゲズはうなずきつつも、胸の奥に言い知れぬ痛みを感じていた。
彼は言葉を選ぶように、ぽつりと口を開く。
ゲズ「……もし俺が、あのとき“自分の力”を完全に使いこなしてたら――
ウカビルを、救えたかもしれない」
⸻
【2. セレナの想い】
セレナはしばらく黙っていたが、やがて静かに微笑んで言う。
セレナ「……あなたは、充分すぎるほど強い。
でも、それ以上に“優しい”の」
ゲズ「……優しさなんて、戦いじゃ意味がない」
セレナ「違うわ。
あなたのその優しさが、きっと“世界を繋ぐ”ことになる」
ゲズはセレナの瞳をまっすぐ見つめる。
ふたりの間に、言葉ではない“絆”が生まれ始めていた。
⸻
【3. 神殿に現れた“光”】
その時、神殿の奥の壁に刻まれた紋章が突如光り始める。
ゲズの体に宿る雷が共鳴し、神殿全体に“眩い波動”が走る。
セレナが息をのむ。
セレナ「これは……まさか、“アダムの痕跡”……!」
紋章から映像のような光が現れ、宙に浮かぶ。
???「我が名は――“アダム”。
この世界に“人”をもたらした、“光の王”である」
ゲズとセレナは圧倒的な気配に言葉を失う。
アダムの映像は、まるで“意志”のように語り出す。
アダム「もしこれを見ている者が、“雷”の継承者ならば……
汝はすでに、“真なる目覚め”の入り口に立っている」
アダム「だが、“闇”もまた目覚める。
その時、汝は“希望”となるのか、それとも――“破滅”となるのか」
光が消える。
⸻
【4. 新たな使命の兆し】
ゲズは自分の胸を押さえる。
そこには、雷の紋章に加えて、**“光の紋”**が浮かんでいた。
セレナ「ゲズ……あなた、本当に“何かに導かれてる”のね」
ゲズ「導かれてるなら……今は、それに従って進むだけだ。
ウカビルが眠っている間に、次の準備をしなきゃならない」
セレナはうなずく。
そして、ほんの少し頬を赤らめながら――
セレナ「ねえ……
戦いが終わったら、一緒に“旅”をしてみたい。
あなたとなら、きっとどこへ行っても“楽しい”から」
ゲズは一瞬驚いたように目を見開き、
それから、少し照れながら微笑んだ。
ゲズ「……ああ。その時は……一緒に行こう。必ず」