ん、
「ゲンくん!私ちょっとあっちのお手伝い行ってくるから、ここお願いしてもいい、?」
彼女からいつも通りのえがおでそう聞かれた
「もちろんいいよ!」
そう返すとありがとうといって走っていった
(どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう)
私は時々不安で胸がいっぱいになる時がある。そんな時どうしようもなくなって夜中にだれにも見つからないように出歩く。
泣きたくなって、消えたくなって、いつも見ないふりしてたことを考え続けるようになって、そうなってしまったら、自分でも自分を制御できなくなるから危ないと感じている。
いつもは夜にそうゆう気持ちになるから、真昼にそんな考えが出てしまって焦ってゲンくんに仕事を押し付けてしまった。その罪悪感にも押しつぶされそうになりながら、だれも見ていない場所へ向かう。
砂浜に来て、大きな波の音に涙が溢れそうになる。涙がどんどん目に溜まってきて涙が流れてしまう。
(流しちゃダメだ)
すぐに涙を止めるために自分の露出した腕を噛む。どんどん流れそうになる涙に腕を噛む力は強くなる。
体全体で息をして、こころを無理やり落ち着かせる、、
(あぁ、、今日はやばいな、)
だんたん涙は引っ込んでいって落ち着きを取り戻すことが出来た。
冷静になって自分のやばいとともうポイントを近くに落ちていた木の枝を使い、砂浜に書いていく。
・いつもは夜中なのに昼間から考え込んでいる
・ゲンくんに仕事を押し付けてしまった
・最近泣きそうになったら腕をかんでしまう
・泣けてない
・腕を噛むからあとが残ったり、腫れたりする
・睡眠を取れてない
・食事もかわし続けたからとってない
・昨日の夜リスカをした
書いてみるとより今の状況が良くないと言うことに気づく。
(これはやばいな、、でも、そろそろ戻らないと、みんな働いてるのに私だけこんな理由で仕事をサボっていいわけない、、)
「動け、動け、動け、動け動け動け動け動け!」
小さな声で自分に圧をかけて砂浜から立ち上がった。
(よし!気合い入れ直せ!考えるのは夜中になってから!!)
砂浜に書いた文字は波によっていつの間にか消えていた、
心の中には留まり続けたが、、、
「ゲンくんー!!さっきはごめんねぇ、仕事任せちゃって、、」
「全然いいよ〜!いつも無理してるんだから、できることがあったらなんでも言っちゃって〜!」
あ、、
(泣いちゃいそうだなぁ、、やべぇ、、)
腕を噛むわけにいかないから、、
息を飲み込んで涙をとめる
「、、、ありがとう!!さすがゲンくん〜!!」
「、、なんかあった?」
(おおっと、、さすがメンタリスト、)
誤魔化せないかぁ、、いや、まだいける、
「ん?なにが?」
ゲンの冷たい視線がめぐみに降り注がれる
「、、、、いや、なんでもないならダイジョーブよ!何かあったら声かけてね!ジーマーで!!」
「了解!ありがとね!」
茶化すように敬礼して走り去った
ゲンと話していた場所から少し離れたところまで走ってきた
(さすがメンタリストだなぁ、、まぁ、わたしは大丈夫なんだけどね)
「めぐみ、ちょっと今いい?」
走った場所には羽京がいた
「羽京くん!どうしたの?」
「ちょっとこっち来て」
急に羽京から引っ張られる
「えぇぇえ!!なに?!どうしたの?!」
私を引っ張りながら走り続ける羽京に必死に声をかけるが止まってくれない
しばらくすると羽京がとまった。
(ここは砂浜、?)
「羽京くん、どうしたの、、」
乱れる息を整えながら羽京に問う
「ごめんね、急に走らせて」
「全然大丈夫だけど、なんかあったの?」
羽京はおもむろに私の両手を掴みあげた、
「、、どうしたの、?」
腕をずっと見つめる羽京にバレてしまったのか、、と何となく察してしまう、、
「これ、外してもいい、?」
羽京が指したのは私の腕に巻いてある包帯だ
(おにぃに憧れたんだァって誤魔化してたんだけどなぁ、、)
「、どうして?」
「外していい?」
目を見つめながら再度問われる
(まぁ、もう無理か)
「、、、いいよ」
その言葉に羽京は包帯を少しずつ取り始める
取れていく包帯の下からだんだん現れる傷誤魔化すことは出来ない
(昨日リスカしちゃったんだよなぁ、、やらかしたなぁ)
めぐみの傷をみて、羽京は少し傷ついた顔をした
「、、どうしてやっちゃったの、、?」
静かに問われたことにめぐみはなんて返すの正解か分からなかった
「、、木に引っ掛けたの!!」
見苦しい言い訳をすると羽京はもっと悲しそうな顔をした
(あぁ、これはもう無理か)
「、、、ただの暇つぶしだよ、ほんとに、精神的に病んでるとかじゃなくて、目の前に刃物と自分の腕があったから、、、それだけなの、」
羽京は悲しい顔をしながら
「、、そんなに追い詰めてごめんね、気づかなくて、ごめんね、」
「!!ひまつぶしだから!大丈夫なの!」
(どうしよ、、迷惑かけてる、、どうしよう、どうしよう、どうしよう)
謝罪の言葉は今のめぐみにとって悪手でしか無かった
焦っためぐみは
「ごめんなさい!!」
といって、走り出した
「まって!!!」
(羽京くんにバレた、どうしよう、どうしよう、どうしよう、これはやばい、羽京くんがきっと追いかけてくる、、耳のいい羽京くん相手じゃあ逃げ場がない、、、どうしよう、)
(、、、、、しぬ、、?、、)
羽京に追い詰められためぐみには逃げ場がなく、死ぬという判断に陥ってしまうのにはそう遅くなかった
ずっと走り続けて、何人も驚く人を抜かしてたどり着いたのは崖だった
正常な判断ができていないめぐみの前に現れてしまった崖
ゆっくり崖に近づく
(、、、、これはダメだ、、)
なけなしの理性でめぐみは耐え、向きを変えた
必死に走って着いたのは千空のラボだった
(誰かいるかな、、)
包帯を再度巻き直してゆっくりラボに入る
ラボの中には千空がいた
「あ゛ぁ?めぐみじゃねーか、なにしてんだ?」
「、、お、おにぃ、!、さ、さいきん、おにぃに会えてなかったから会いにきたの!」
「、、、そうか、、、おい、めぐみ、腕かせ」
(まぁ、そうなるよなぁ、おにぃには誤魔化しようがないし、羽京くんよりはいいかなぁって思った、、そうだよね、?)
自分に問いかけるが答えは無い
(でも、おにぃ、ごめんね、、)
「、、うで、?なんにもないよ?」
ひらひらと手を振りながら誤魔化す
「、、、」
無言で手をよこせと言うように手をこちらに向ける
(、、私の負けか、)
何も言わずに千空に腕を渡す
「、、、、ん」
それだけ返事をして千空は静かに包帯をとき始める
「、、いつやったんだ」
おにぃは少し顔を歪ませて私に聞いた
「、、昨日の夜、」
「、、このストーンワールドは少しの怪我が命取りだぞ?分かってるよな?」
「、うん、ごめんね、」
「、、、」
おにぃは何も言わずに私をぎゅっと抱きしめた
「、、、」
泣きそうになって無意識に手首を噛もうとしたが、おにぃが私の腕を掴んで静止した。
「、、だめだ」
ちいさくて、消えてしまいそうな声だったけど、大きくて、とても重い言葉だった、、
少したって、おにぃは私を離して近くに座らせた
「ここに座ってろ、俺が終わったら一緒に帰るぞ、」
私は、その言葉に何か言葉を発することもなく静かに頷いた
どのくらいたっただろうか、
聞こえる音はおにぃの作業音だけ、昔からずっと変わらない慣れた手つきで器具を扱う、そんなおにぃが好きで、ずっと見てられる、
3700年前から、何も考えなくても良くて、心地いいこの時間が大好きだった、
おにぃはきっとそのことが分かっていたんだろう、だから、私に悪いことを何も考えさせないように、近くに置いて、心地いい環境をつくった。
さすがだなぁ、、
それから少したって
「、、帰るぞ」
おにぃから声をかけられ少し暗くなった外を一緒に歩き始めた。
おにぃはどうおもったんだろ、、、
「、、めぐみ、」
不意におにぃが私の名前を呼んだ
「、、、」
わたしは何も言わずにおにぃのほうを向いた
おにぃもなにもいわない
「、、、」
おにぃは何も言わずに少し笑って私の頭を雑に撫でた、
そんな不器用な優しさが大好きで大好きでなんとも言えないくすぐったい気持ちが胸いっぱいに広がった。
そんなくすぐったい気持ちが今日もひどく心地よかった。
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