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加藤あいさ
21
哀 川 せ せ ら .
14,946
ねむ
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路郎「どうしました?音奈ちゃんは?」
風太「おらんかった…!!それよりコレ!!」
路郎「はい?」
丁度昼食の準備を終えた路郎は、手を洗って風太が指差している方を見た。風太が指差しているのは、後ろにいる快晴の方。
快晴は肩で息をして、疲労感丸出しの表情で、自分の左手に持っている『アルバム』と書かれたA4サイズの白色ファイルを路郎に見せた。
路郎「大丈夫ですか?雲雪様」
風太「そっからそこまででなんでそんなに息切れとんねん?」
快晴「運動不足……ハァ…ナメるなよ……ッハァ…」
風太「どういう意味やねん?それより路郎さん!コレ…!!」
ある程度呼吸が整った快晴の手からアルバムファイルを取り上げて、最後のページを開いて、路郎に見せた。
そこに写っていたのは、塩顔の男の子だった。
風太「コレ、オーナーさんか?」
路郎「……」
風太に写真を見せてそう聞かれると、路郎は少しギロッと風太を睨んだ。
風太「……(睨まれた?何かマズかったんか?)」
そう考えた風太だが、路郎は溜め息をついて、女性を虜にする顏で微笑んでいた。
路郎「コレはお恥ずかしい。整形前の私です」
風太「あ…。整形しててんな」
路郎「はい。女性客を増やそうと思い、女性にウケる顔にしました」
頬を少し朱に染めて、照れている路郎。路郎の意外な事実を知って、唖然とする風太と快晴。
快晴「あの、このアルバムに写ってるのは路郎さんのご家族ですか?」
路郎「そうですね」
快晴「あの…ハァ…最後のページに…フーッ…」
美虹「路郎さん、お客様よ」
路郎「え?」
アルバムの最後のページ。喪服を着て泣いている父親と娘の事を聞こうとしたが、美虹が路郎を呼んだ。
美虹「あら、快晴君とフウちゃん帰ってたの?音奈ちゃんは見つかった?」
快晴「全然……ハァ…ッ、ダメだ…ッ……ハァ…」
風太「まだしんどいんかお前!?」
路郎「すみません、お客様のお相手をします」
快晴「ハァ…はい……ハァ…フーッ…」
快晴はひと息ついて、折っていた腰を伸ばし、自分の両膝についていた両手を離した。
それと同時に、路郎は風太と快晴の横を通り過ぎて、美虹が言っていたお客様の相手をしに向かった。
風太「なんでそっからここまでちょっと走っただけで長距離マラソン走って来たみたいな顔しとんねんお前?こっから隣の別館まで十メートルくらいの距離やぞ」
快晴「体力の有無は人によってちゃいますぅ。自分基準で考えんといてくださいぃ」
風太「ごっつバカにしとるのぉオイ」
反抗的な小学生のような間延びした言い方をしてくる快晴に苛立ち、風太は頭に青筋を浮かばせていた。
美虹「二人共来てちょうだい」
風太「美虹先輩。もしかして音奈帰ってきたん!?」
美虹「残念だけど音奈ちゃんじゃないわ」
風太「ホンマか…。何処におんねやホンマ」
美虹「けど、なんだか怪い人が来たわ『目的は達成した!和水始に会わせろ!』って」
快晴「何処にいるんですか?」
美虹「受け付けの前にあるお客様用の椅子よ!」
美虹がそう言うと、快晴はそのお客の事が気になり、走り出した。
風太「俺も行こ」
美虹「私も行くわ」
風太と美虹もこの場所から離れ、受け付け場所に向かった。
〜〜〜〜
受け付け場所。
快晴が受け付け場所へ行くと、汚らしい格好をした男がいた。その手には黒い手紙を持っており、路郎と何か話していた。
路郎「あの……父は亡くなっておりますが…」
ホームレス「はァ!?嘘だろ!?いつだ!?」
路郎「12年前です」
ホームレス「12年前!?俺一昨日…!和水始に会ったぞ!!」
路郎「父が生きてたんですか?」
快晴「(……あの人、両手に手袋してる…)あの、手袋を外して貰っても?」
ホームレス「ッ!悪ィが俺ァ潔癖症だ!」
快晴「服は洗ってないようなのでそれはありませんね。外せない理由があるんですか?」
ホームレス「うるせぇなァ!!毒キノコ頭が!!それよりテメェ息子だなァ!?」
路郎「はい」
ホームレス「賄い出せや!!」
路郎「賄いと言うのは、従業員に与える食事の事です。この旅館で働いてから出しますがどうしますか?コチラも、父の呪いのせいでお客様が減りつつありますし、従業員は皆辞めてしまいました。毎日毎日、人手不足で…」
ホームレス「知るか!!チッ!賄いねェなら手ェ貸すんじゃなかったぜ!!」
美虹「何の手を貸したの?」
風太と一緒に美虹が現れた。美虹の男ウケする美貌見たホームレスは、胸が高鳴り顔を真っ赤にしてわかり易い程に鼻の下を伸ばして美虹を見ていた。
ホームレス「て、手紙を渡されたんだ…」
美虹「あら?見せていただけないかしら?」
ホームレス「こ、これなんだがよ…」
美しい女性の美虹が、ホームレスの真横に立ち、妖艶な笑みを浮かべて、ホームレスを見て甘えた声で言うと、ホームレスは素直に左手に持っていた黒い手紙を美虹に差し出した。
美虹「ありがと♡」
ホームレス「は、はひィィィ…!」
美虹「あと、貴方の手袋も欲しいなぁ♡」
ホームレス「喜んで!!」
美虹が甘えたように言うと、ホームレスは顔を赤くして嬉しそうな顔で易々と手袋を外し、美虹に渡した。
快晴「嘘やろ?」
美しい顔立ちの美虹の言いなりになっているホームレスを見て、快晴は顔を真っ青にして、「有り得ない」と言いたげな表情で、ホームレスを見ていた。