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加藤あいさ
21
哀 川 せ せ ら .
14,946
ねむ
222
快晴「ん?」
美虹に「手袋が欲しい」と軽く強請られて、あっさり手袋を外して彼女に渡したホームレス。そのホームレスの両手には黒いシミがベッタリと着いていた。
快晴「(あの両手…)あの、別館で高校生の女の子の左手首を掴んだ記憶はありませんか?」
ホームレス「『そーしてくれたら賄いやる』って和水始に頼まれたんだよ!!」
美虹「この黒い手紙は、まさにそれね」
ホームレスから黒い手紙を受け取った美虹が、顎に人差し指を当てて納得の表情をしていた。
快晴「その女子高生は今何処に?」
路郎「今朝から姿が見えなくて…。ご存知ありませんか?」
ホームレス「俺ァその女子高生の手首に手形つけただけだ!!何処行ったかまでは知らねェ!」
快晴「嘘はついて無さそうですね」
ホームレス「応えたんだから賄い出せや!!」
路郎「仕方ありませんね」
路郎は溜め息をついて、キッチンへ戻った。
志土「おい!」
金髪頭の羽渡志土が乱暴な物言いでホームレスの男に詰め寄った。
志土「女子高生が行方不明になってんだ!なんか知ってたら吐け!」
ホームレス「だから知らねェって!!」
快晴「羽渡君。その人は前オーナーさんからの手紙で『音奈ちゃんの手首に手形をつける』よう頼まれたそうです」
志土「なんで!?」
ホームレス「知らねェよ!!そしたらその和水始の息子が「12年前に死んだ」とか言うし、もう訳分かんねェよ!!」
快晴「本当に和水始さんだったんですか?どんな風貌を?」
ホームレス「黒いレインコートを着てたなァ。顔は黒いマスクしてたし、フードも目深に被ってたから顔は知らねェ。『和水始』ってソイツの口から名乗ってた」
快晴「(ナゴミヤ旅館の呪いに託けて、赤の他人が前オーナーの名前を使た可能性があるな。それか12年間も行方をくらませて、ホンマに女の子行方不明にしとんのか?)」
音奈の手首についていた呪いについては、このホームレスの仕業と言うことが解明したが、今度はこの世にいない和水始について疑問が出て来た。
風太「黒い手形がこの人の仕業って解っただけで、音奈のアレは呪いとちゃうって解ったわ」
快晴「おん。でも、行方不明にはなっとーよな」
風太「何処行ってんやホンマ。別館もおらんかったし」
快晴「言うて鍵かかっとる部屋調べてへんで」
風太「せやなー。おる言うたらあっこだけやな」
莉來「お待たせしましたぁ!賄いです!」
金髪ギャルの風貌をした莉來が、お膳を持って現れ、ホームレスのところにそれを置いた。
ホームレス「お嬢ちゃん可愛いなァ!!「あーん」してくれよ!!」
莉來「誰がすっかよ汚ぇヒモジジイが!(゜言゜)アーン?」
莉來はホームレスを見下して、「あーん?」とヤンキーが喧嘩を売る時にするような顔をしていた。
風太「別の意味で「あーん」しとるやないかい!!」
志土「莉來!足大丈夫かよ?」
莉來「大丈夫だし!いちいち心配すんなっての!」
志土「誰が心配すっか!!」
快晴「心配してんじゃないスか」
志土「してねェ!(゜言゜)アーン?」
快晴「元彼もしよった」
さっきの莉來と同じようにヤンキーの「あーん」をする志土。快晴も思わずボソッと言ってしまった。
莉來「音奈見つかった?」
快晴「別館にはいませんでした」
莉來「ハァ…全く何処に行ったのよ…。帰るならひと言言ってから帰れっての」
そのあと、莉來は足速にそそくさとこの場所から離れ、「路郎さぁん♡配ったぁ♡」と2オクターブ上の甘い声でキッチンの方へ戻って行った。
ホームレス「やっぱガキより大人の美女さんに限るなァ!!」
美虹「あらあらしょうがないわねぇ!はい、あーん」
快晴「やめろください先輩」
美しい笑顔でホームレスに「あーん」をしている美虹。そんな美虹に嬉しく思ったホームレスの頬は朱に染まり、鼻の下も伸びに伸びていた。そんな美虹とホームレスの行動を青い顔をして気持ち悪そうに見る快晴。
路郎「皆様。朝食のご用意が出来ました。食堂へお越しください」
快晴「ありがとうございます」
風太「そういやぁ飯まだやったなー」
路郎が静かに丁寧に呼ぶと、ホームレスを含めてこの場にいる皆は食堂へ向かった。
快晴「オーナーさん、ホームレスさんも?」
路郎「構いませんよ。音奈さんの分を差し上げます」
快晴「アンタめっちゃええ奴ですね」
予約客でも金を払ってくるタイプでもないホームレスに、食事を与えようとする姿勢をしている路郎に、快晴はホロリと涙を流した。
風太「快晴とはえらいちゃうのー」
快晴「は?」
好物で風太を釣り危ないところ行くのに快晴自身の護衛を頼むところや、「呪い」や「幽霊」を怖がっている風太を無理矢理中に入れようとしたり…「自分に対しては快晴は、少々無慈悲な所があると感じる」と常々思っている風太は、路郎の人格者を立てる為、快晴を引き合いに出した。
快晴「一番酷いのは莉來さんやろ」
風太「まァな」
莉來は志土にこの旅館まで連れて来て貰った。そして路郎の整った顔立ちを見て、簡単に志土をフり乗り換えるように路郎に告白していた。
風太「受け付けで遅れたオーナーさん理不尽に怒っとった志土よりも酷い性格や思たわ」
莉來「私が何よ?」
食堂へ歩きながら会話している快晴と風太。その会話は食堂の扉付近に立っていた莉來にギロッと睨まれて質問された。
快晴「な、何もないッスよ。性悪女言うただけですって。なぁ?フウちゃん」
風太「誤魔化せやアホォ!!」
静かな声色で挙動不審で正直に言う快晴に対して、風太は冷や汗をかき怒りの表情で快晴を見てピシャリと言う。莉來は悪魔のように伸びた桃色のネイルがついた人差し指で快晴と風太にデコピンをお見舞いしていた。
風太は耐える事が出来たが快晴は気絶してしまった。
風太「ごっつい威力ッ!!」
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