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#短編集
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ガキ大将天才肌兄貴×シティボーイ秀才末っ子の軍人cpです
小説初心者なので結構お見苦しいと思います…ご容赦を…
舞台は明治日本。1880-90年代あたりスタートです。
なんでも許せる方だけどうぞ
「ほ〜ここが陸幼っちゅうところか」
広島の雲一つない晴天の下で、松岡義信はまるで観光にでも来たかのような、呑気な調子で辺りを見渡した。
陸軍幼年学校、通称陸幼。軍人の雛たちが集まる軍学校である。周りにはこれから同期となる少年たちが、どこか緊張したような、どこか期待を感じるような空気を纏っていた。
(なーんか、みんな喧嘩弱そうじゃのぉ…)
同期に対しての松岡の第一印象は失礼なものだった。長州の萩出身、家業も碌に手伝わず日々喧嘩に明け暮れた日常を送っていた彼は、地元のガキからは大将と崇められたものの、親族からは疎まれ、半ば勘当のような形で長男のくせして軍隊にぶち込まれた。
なお、本人は軍隊を「喧嘩をする場所」くらいにしか思っておらず、勘当された割にはめちゃくちゃ嬉しそうである。
およそ13歳とは思えない体格と、頭ひとつ抜き出た背丈を持つ彼からすれば、取り敢えず視界の中にいる同期には勝てると確信できる。
(ひょろいのばっかじゃのー)
のんびり歩いていると、ふと少し細い人影が目に入った。
透き通るように白い肌、ぴんと伸びた背筋、茶色の土の上では違和感のあるくらい洗練された歩き方。絶対に長州の者では、いや田舎の者ではない。
(…なんじゃあ、あいつ)
場違いすぎるその佇まいに、松岡の好奇心が刺激された。しばらくその少年から目が離せなかった。しかし、そろそろ時間も迫ってきていたので、姿を目に焼き付けて足早にその場を離れた。
教官「…松岡義信!」
松岡「はい!」
点呼の時間。同じ釜の飯を食う仲間たちがずらりと五十音順で並んでいた。
教官「宮原半蔵!」
宮原「はい」
先の妙な少年だ。どうやら宮原と言うらしい。松岡の次の番だった。
(宮原半蔵…。半蔵か。)
(ふうん。)
隣を見たくて仕方なかったが、そんなことをすれば教官の鞭が飛んでくることが目に見えているので大人しくしておいた。
昼休み。
食堂は同期で賑やかだった。この数時間でもう打ち解けつつあるようだ。しかし、松岡にとってそんなことは眼中にはない。
訓示が終わる頃には、松岡の頭の中には「宮原半蔵」という名前しか残っていなかった。
お盆を持ちながら、キョロキョロと辺りを見渡す。
(……おった。)
食堂の隅。あたりの喧騒とは距離を置き、きちんと背筋を伸ばして、静かに飯を食べていた。食べ方まで上品だ。松岡とは違う意味で、13歳とは思えない。
松岡はずかずかと歩いていって、向かいの席にどかッと腰を下ろした。
宮原は驚いて、次に眉を顰めた。
宮原「…なんでしょうか。」
松岡「おんし、宮原いうじゃろ。」
宮原「そうですが…。確か貴方は、松岡さんですよね?」
松岡「義信」
宮原「…はい?」
松岡「義信じゃ」
宮原は意味がわからなかった。箸を持ったまま目をぱち、と瞬きする。
松岡「じゃーかーら!わしは義信。おんしは半蔵じゃ。」
宮原「いえ、まだその、初対め…」
松岡「義信」
宮原「…義信さん」
松岡「さんもいらん」
宮原「……義信」
松岡「よし」
何がよしなのか。宮原の困惑を他所に、松岡は堂々と飯を食い始めた。暫くして、宮原も諦めたように食事を再開した。こちらはこちらで何か嵐に慣れているようだった。
松岡は前の宮原の顔を盗み見た。
(宝石みたいな面しちょる。)
松岡が堀の深い武人の顔であるならば、目の前の顔はべっぴんさんだった。男子に使う単語では無いのだろうが、中性的な美なのだ。そして、陸幼には似合わないくらい愛くるしい。のだが。表情が真面目そのものなので、そこまで愛くるしすぎない。
ふと、松岡が口を開いた。
松岡「半蔵。おんし、どこ出身じゃ。」
宮原「…関東方面です。」
松岡「東京か?」
宮原「ええ。麹町の方です。」
(ほーん、麹町か。)
田舎者の松岡は東京の地理なんぞ詳しくは無いが、名前からして格式のありそうな場所なことは察した。多分、いい家の子供なんだろう。その気品も、丁寧な仕草も、育ちの良さからくるのだと言われれば納得できる。
宮原「そういう貴方は、どちらの出なんですか。」
松岡「わしか?わしゃあ萩じゃけぇ、元武士の家から来ちょる。」
宮原「萩、というと、長州ですか。」
松岡「そうじゃそうじゃ。いやぁ、萩はええとこやぞ〜。」
松岡は故郷についてべらべらと話し始めた。彼は故郷が大好きで、同時に誇りにも思っていた。宮原はそんな長州弁全開の田舎者の話を、眉を顰めることもなくしっかりと聞いていた。どこか羨ましそうにも見える。
ふと、松岡は何かを思い出したように声を落とした。
松岡「……そうじゃ。半蔵、おんし東京出身言うたな?」
「ちと聞くが、おんしゃあ、なんで陸幼に来たんじゃ?しかも、東京のじゃのうてここ広島に。」
普通に考えればおかしいことである。先の話から分かるように、宮原は東京のいい家出身であることは分かる。それならば、軍人なんて泥臭いことなんかしなくていい、というか嫌う筈であるし、ましてや広島に来る必要性も無い。陸幼は東京にもあるし、なんならそっちの方が陸軍省、陸軍中央部に近い。
宮原は少しばかり逡巡した後に、目を逸らして、どこか言い訳をするような様子で言った。
宮原「…家、から、逃げたかったので…」
その様子が、先程の“東京様”とは違ってどこか子供らしくて、松岡は無意識に目を細めた。
松岡「わしも似たようなもんじゃ。」
いい終わるが早しか、松岡は宮原の前に手を差し出した。お互いの食器はもう空になっている。
松岡「これからよろしゅう頼むのう、半蔵。」
宮原「…こちらこそ、義信。」
宮原が松岡の差し出した手を取った。松岡はその細い手をギュッと握りしめた。
それが2人の出会いだった
以上です!
なんか長々となってしまいました…
長州弁はかなり適当に勘で書いてます。ごめんなさい山口県の皆さん
感想を送ってくれると私が大喜びします
閲覧ありがとうございました!!!!!!