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𝕔𝕠𝕔𝕠
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あり
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ー逃げ道は君になった。ー
🩷佐野勇斗 攻
💛吉田仁人 受
🤍山中柔太朗
❤️曽野舜太
💙塩﨑太智
夏祭りの会場は、時間が経つにつれて人が
どんどん増えていった。
最初は楽しかった。
太智は射的に夢中になって、
舜太は屋台を見つけるたびに立ち止まる。
勇斗先輩と柔太朗は、俺が気になるものを
見つけると「これ?」と聞いてくれた。
みんなと一緒にいるのが楽しくて、
俺もたくさん笑った。
でも――
しばらくすると、少しずつ疲れてきた。
人が多い。
肩が何度もぶつかる。
さっきまで話していた俺も、
だんだん口数が減っていった。
気づけば、みんなの話を聞いているだけに
なっていた。
すると、隣にいた柔太朗が俺を見る。
🤍「……仁人くん。」
💛「ん?」
🤍「大丈夫?」
💛「……うん。大丈夫。」
🤍「……そっか。」
柔太朗はそれ以上聞かなかった。
でも、少し心配そうな顔をしていた。
そのとき――
🩷「……仁人。」
💛「はい?」
🩷「さっきから、あんまり喋ってない。」
💛「……そうですか?」
🩷「うん。いつもより静か。」
💛「……。」
勇斗先輩は、俺の顔を覗き込み、続けた。
🩷「疲れた?」
💛「……少しだけ。」
🩷「やっぱり。」
💛「でも、大丈夫です。」
🩷「無理して“大丈夫”って言わなくていいよ。」
その言葉に、俺は何も言えなくなった。
すると勇斗先輩が、
何かを思い出したように
ポケットを探った。
🩷「……あ。」
💙「どうしたん?」
🩷「そういえば俺、今日先生から屋上の鍵借りてた。」
💙「え!?屋上!?」
❤️「花火、屋上から見れるん?」
🩷「たぶん。人も少ないし、そっち行かない?」
🤍「……いいね。」
みんなが俺を見る。
💛「……俺も、行きたいです。」
🩷「よし、決まり。」
俺たちは祭り会場を少し離れて、
学校へ向かった。
学校に着き、勇斗先輩が鍵を取り出す。
ガチャッ。
屋上の扉が開いた。
夏の夜風が、ふわっと吹き抜ける。
💙「うわー!涼しい!」
❤️「ここから花火見るんやな!」
🤍「……静か。」
💛「……落ち着く。」
さっきまでの人混みが嘘みたいだった。
俺たちはレジャーシートを敷いて、
屋台で買ったものを広げた。
💙「たこ焼きうまっ!」
❤️「それ俺のやで!」
💙「一個くらいいいやん!」
❤️「太智は毎回それ言うやん笑」
みんなが笑う。
俺も、自然と笑っていた。
🩷「仁人、これ食べる?」
勇斗先輩が焼きそばを差し出す。
💛「ありがとうございます。」
すると、
🤍「……仁人くん、これも。」
柔太朗がかき氷を差し出した。
💛「……ありがとう。」
🩷「……。」
🤍「……。」
💙「また始まった笑」
❤️「ほんま仲ええなぁ笑」
💛「……?」
俺には、二人が何を張り合っているのか
分からなかった。
そのとき――
ドンッ!!
突然、大きな音が夜空に響いた。
💙「うわっ!」
❤️「花火!?」
俺たちは一斉に空を見上げる。
でも、花火は一発だけだった。
🩷「……また試し打ちかな。」
🤍「たぶん。」
💛「びっくりした……。」
💙「本番まだなんか!」
❤️「じゃあ、もうすぐやな!」
俺たちは笑いながら、
もう一度空を見上げた。
そして――
数分後。
ドンッ――!!
今度は大きな花火が
夜空いっぱいに広がった。
💙「うわぁぁ!!」
❤️「めっちゃ綺麗や!」
🤍「……すごい。」
俺も空を見上げる。
色とりどりの花火が、
夜空に咲いては消えていく。
ふと隣を見ると、
勇斗先輩が俺を見ていた。
💛「……先輩?」
🩷「……ん?」
💛「何見てるんですか?」
🩷「……別に。」
そう言って、先輩は笑った。
俺はもう一度、空を見上げる。
今年の夏は――
今までとは、少し違う。
こんなふうに誰かと笑って、
誰かと花火を見るなんて。
俺はきっと、この夏を忘れない。
そして――
花火が終わったあと。
💙「……なあ。」
❤️「ん?」
💙「これ、もう帰るん?」
みんなが時計を見る。
時刻は、思っていたより遅くなっていた。
💛「……。」
このあと、俺たちはどうするんだろう。
そんなことを考えていると、
勇斗先輩が口を開いた。
🩷「……じゃあさ。」
その一言で、
俺たちの夏の夜は、まだ終わらなかった。
コメント
1件
ああ、もう、このエピソード、すごく良かったです……! 仁人くんが人混みで静かになっていく様子とか、勇斗先輩と柔太朗くんがそれぞれ気づいて声をかけるところが、優しくてじんわりしました。特に「無理して“大丈夫”って言わなくていいよ」って台詞、刺さりました……。 屋上に逃げて、風が吹いて、花火が上がるまでの空気感がとても丁寧で、読んでいるこちらまで「ああ、落ち着くな」って思いました。 最後の「じゃあさ。」で終わるのも、続きが気になって仕方ないです……!