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推しには近づくな!

推しには近づくな!

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9

推しへの思いやり

♥

23

2022年09月23日

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「笑、こんな所にいた。早く帰ろう?」

「る、類さん!?」

episode9

「な、何でここに…!?」

「ん〜?いつもみたいにお兄ちゃんって呼ばないの?」

あ、そうだった…!

あまりにも急すぎて尚が見えて無かった…

「ご、ごめん尚、兄ちゃんが迎えに来ちゃった!」

だが尚もびっくりしたのかキョトンとしている。

そりゃそうだよな…

「笑のお友達?はじめまして、類っていいます。いつも笑がお世話になってます。」

類さんは俺を抱き上げたまま浅く礼をする。

あの、俺見えてる…?

尚もそれに反応して礼をする。

「こ、こちらこそ、笑とは仲良くさせてもらってます!」

「へえ〜…もう呼び捨てで呼び合う仲になったんだ?仲いいんだね〜」

表ではにっこり笑ってはいるが、何か独特なオーラが出ている。

これは早く切り出したほうが良さそう…?

「そうなんです!あ、つい今さっきからですけど…」

「へえ〜…(^_^)」

「な、尚!もう帰ったほうがいいんじゃないか?空も暗くなってきたし…!」

「確かに…わかった。笑、今日はありがとうね!また遊ぼうね!!」

そう言うと、尚は向こうへと走って行った。

「…あ、類さん、今のが…」

すると類さんは俺の顔に口を近けた。

「ショウにゃん、早く帰ろう…?」

「!?///」

な、何で耳元で言うんだよ…。

「てか、何でここが分かったの?」

「ああ、スマホにGPSつけてたからね。」

怖っ…。

「今、怖って思ったでしょ〜?」

「え!?」

「言ったでしょ?これ元は僕ので、親がGPS付けてただけだよ。だから安心して。」

納得できるか…!

まあ、いいけど。

類さんは本当に不思議だ。最初は大人しい人だと思っていたけど、案外怖いのかも…。


「ってことがあって…、危なかったよ〜」

あれから家に戻り、今日の出来事を類さんに話した。

「確かに…いくらショウにゃんに似てるからって、声まで完璧に似ているわけじゃないからね…。」

「まあ、なんとかなったけど…。」

そういえば…

あの麻衣ちゃんの隣にいた男の子、何処かで見覚えがあった気がする…。目があったとき、謎に懐かしい感じがしたというか…。

初めて会ったのに…何で…?

「ショウにゃん?どうしたの?」

考えていると類さんが俺を覗き込んでいた。

「あ、ううん。何でも…。とりあえずお腹空いた。ご飯食べよう。」

「そうだね。」


まあ、いいか。


「はあ〜…美味しかった〜!ショウにゃんの手料理は世界一だよ〜!」

「それは言い過ぎw」

いつものように類さんは俺の料理を美味しいって言ってもらって…

甘えさせてもらっている。

でも、やはりモヤモヤする…。

あの人と目があってから…ずっと…。

「ショウにゃーん…!」

「うわっ!何?」

「何って、ずっとボーッとしてたよ?何かあった?疲れたの?」

「へ、平気平気!!いや、今日初めて友達と遊んだから疲れちゃったのかも…。でも全然平気!!心配しないで!」

「そっか…。ショウにゃん、今日はもう寝て?片付けは僕に任せてよ。」

駄目だ駄目だ。類さんには心配かけないようにしないと…!

「大丈夫だって!!それに明日休みだし!今日頑張って、明日思いっきり休むからさ!」

すると類さんは俺を横抱きした。

「ちょ!?///」

「だーめ!早く寝るの!!」

そう言いながら、寝室へと連れて行く。

「だ、大丈夫だって…!!平気!」

足をジタバタさせ、何とか下りようとする。

何もかも類さんに任せるわけには…!!風邪ひいてるわけじゃないのに!!

「ショウにゃん、暴れないで。」

類さんは俺を自分に寄せた。

すっぽりハマっているせいか、動けない…。

「…///」

意味わからん…。何でこんなことに…。

類さんの顔を見上げる。

クソ…。イケメンが……。


寝室に着くと、俺をそっとベッドに移し、タオルケットをかける。

「しっかり休むんだよ?ショウにゃん…。」

「いいのに…。」

「だめ。おやすみ、ショウにゃん…。」


なんか、鼓動が早いな…。

推しには近づくな!

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