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目が覚めて隣を見たら、自分が横たわっていた。口を開けて涎を垂らしながら寝ているアホ面を目の当たりにして、微妙な心境になる。
(雅輝だと、こんな寝方をしていてもかわいいなで済むのに、自分だと冷めた目でしか見られない……)
これは夢の中の出来事――そのことに含み笑いをしつつ、ゆっくり起き上がってから、うーんと伸びをしてみる。いつも感じる、年齢による躰の重ダルさがまったくなく、むしろ爽快感しかなかった。
宮本としては中折れ後にうまいこと復活し、半日イチャイチャ過ごしたお蔭もあるだろう。夢の中だけどメンタルと躰がばっちりな状態なのを、橋本はしみじみ体感した。意味なく右腕を曲げて、力こぶを作ってみる。
「20代のこの躰、そして漲るエネルギッシュな筋肉! ジムに行って汗を流してみたい」
右腕だけじゃ飽き足らず、左腕もぐいっと曲げて力こぶを出してみた。
プロレス系の格闘技にバッチリな体形を羨ましく思いながら、布団をバサッと捲ってみる。橋本自身とは違うモノがぶら下がっている股間を、じーっと眺めてしまった。
最近、コレに感じさせられるようになってからというもの、躰が疼きはじめると、脳裏に映像化した宮本のモノが出てくる。ほしくて堪らなくなるなんて、最初の頃は思ってもいなかった。
だからといって、横たわっている自分を相手にできるわけがないので、残念ながら放尿以外の使い方は、できそうにない。
だったら、やることはひとつだった。
「雅輝、早く起きろ!」
「はい? いきなり何ですかって、うわぁあっ! 俺がいる!!」
「入れ替わりを楽しもうぜ。デートに出かけるぞ」
宮本がいつもする親指を立ててニッコリ微笑むポーズをとってみせたら、ショックを受けた顔をした。
「自分で自分を見ているのに、ときめいてしまうなんてすっごく気持ち悪い。中身が陽さんだとわかった瞬間から、カッコ良さが増すなんて、不思議すぎるんですけど~」
そんな文句を完全無視した橋本は、宮本が着ていた服をさっさと身に着けたのだった。