テラーノベル
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「めめ?急にごめんね」
「珍しいね阿部ちゃん。どうしたの」
「翔太がうち来るって聞かなくて家に上げたんだけど、来るなり泣いてそのまま不貞寝した」
「それは困ったね。で、なんで俺?」
「めめ、翔太と仲良いじゃん。俺じゃ扱いがわからないし、明日早いから…お願いできない?」
俺も正直わからないけど、と思いながら阿部ちゃんの事情も無視できないので家に向かう。
リビングのソファを占領して、目を腫らして寝てるしょっぴー。
「しょっぴー、起きて」
「ん〜〜」
「阿部ちゃんに迷惑かけちゃだめだよ、ほら」
嫌々起きたしょっぴーを連れて帰る。
「阿部ちゃん困ってたよ。何があったの」
「………」
助手席でふくれていたしょっぴーはやがて靴を脱いでシートに三角座りになり、顔を埋めた。
「俺、うまく言えなかった」
「…岩本くんのこと?」
「ん……」
「照に、ちゃんと自分の気持ち話せなかった」
そう言って、家に着いたのにしょっぴーはぐずぐず泣いていて全然降りないので、仕方ないから俺の家に連れて行った。
何度も来ているし、気を遣う事はないだろう。
阿部ちゃんから『翔太のことありがとう、大丈夫そう?』とメッセージが来ていたので『ちょっと悩んでるみたいだからゆっくり話聞くね』と返した。
何とか家まで歩いたしょっぴーはここでもソファを占領して寝ようとし始めた。
「しょっぴーだめ、寝る前にちゃんと話して」
「もういいもん」
「そんなんじゃ解決しないでしょ」
怠そうにしょっぴーが身体を起こす。
「水」
「あるよ」
渡したミネラルウォーターを半分くらい一気飲みして、しょっぴーはまた小さくなった。
「照に、阿部ちゃんが好きだって勘違いされてた」
「へぇ」
「それで勝手に応援してたっぽい。俺、それに嫌味言っちゃった」
「二人とも、らしいね」
俺そんなの頼んでないのに、とまた膨れっ面を見せる。
「なら何で阿部ちゃんとこ行ったの」
「むかついたから、当て付け」
「阿部ちゃん、関係ないじゃん。巻き込んだらだめだよ」
そうだけど…とゴニョゴニョ言って、『説教するな』と拗ねてしまった。
「ごめんね、でも自分の考えをハッキリ言葉に出せるのしょっぴーの良いところだからなんか勿体ないなと思って」
「勿体ない…」
「うん。岩本くんもちゃんと聞きたいんじゃない?」
しょっぴーは少し考えて、スマホを取り出すと阿部ちゃんに『さっきは急にごめん』とメッセージを送ったようだった。
「今日は泊まっていいから。ちゃんと気持ち整理して?」
「うん…」
そうしてしょっぴーはシャワーを浴びると、岩本くんにもメッセージを送ってさっさとソファに横になった。
「めめ、ありがと」
「お礼は阿部ちゃんにね」
コメント
5件
照、回収に来て。大福落ちてますよ🥲
もーほんと素直になってーー💛💙