酒も入って そろそろ深い時間
皆 お開きムードになってきた
タケルくんが潰れて寝てしまった
先輩が介抱している
この人らは このまま付き合う
んじゃね?
たぶん皆がそう感じている
なるみちゃんは近くのアパートに
住んでいてそろそろ帰るとなった
それで カズくんが送って
いこうか?って話しになっている
もう一人の女の子 千夏ちゃん
は 元々 階下のワタシの部屋に
泊まることになっていた
青桜くんは
『今日泊まるとこ
なくなっちゃったから泊めてー』
と ワタシに擦り寄ってきた
長年の友人みたいなノリだが
今日会ったばかりですよね?
『え?嫌だけど?』
「頼むよー 今日カズん家に
泊まる予定だったんだけど
たぶん 戻って来ないから」
「邪魔しちゃ悪いでしょ?」
小声で耳打ちしてくる
うーん どうなんだ?
なるみちゃん的には…
今 確認できる雰囲気でもないし
千夏ちゃんは
『別にイイよ 私は』
「だってさ」
『お客用の布団とかないから
床に座布団で寝てもらうよ?』
「全然 オッケー」
コイツ マジで女の家に
転がり込む ことに慣れて
やがるな
なんだかんだ
1LDKの我が部屋にあった
古いゲーム機で懐かしの
パーティゲームとか始まって
3人で 盛り上がってしまった
ほどなくして 連絡があり
カズくんが戻ってきた
「カズーなんで戻ってくんのよ」
「えっ?」
「送り狼じゃないの?ここは」
「は?いや普通に…送って..」
『青桜 黙っとけ』
『カズくん 普通にイイやつで
よかった』
『いいよ それでいいんやで!』
「ちょっとー カズもいいヤツ
ではないよ!」
「なんでオレだけ呼び捨て?」
「扱い酷くない?」
『皆んなでやろ コレ
懐かしいでしょ?』
『もうイイよ 皆んな
泊まってけ』
深夜テンションとは恐ろしい
めちゃくちゃ盛り上がった
楽しいけど たぶん 近所迷惑
職場の借り上げアパートなので
大体 顔見知りだが
逆に文句も言いにくいだろう
『ごめん いい加減 静かに
しないと怒られるわ』
「えー じゃ静かに遊べるヤツ
ない?」
青桜が勝手にゲームを漁りだす
今度は懐かしのホラゲーが出て
きた
千夏ちゃんはもう おねむで
ベットに横になった
『あー ソレさ クリア
出来なくて放置してた
ヤツ だからやっていいよ
そこから』
物語 終盤の強敵 の中ボス
との戦いだ
いい大人が二人 夢中でゲーム
している
ふふっ 可愛い…
ゲームは好きだけど下手くそ
だからよく 弟に倒してもらって
ストーリー だけ眺めてたなぁ
そんなことを 思い出す
懐かしい…,
ーーーーーーー
あれ 寝てた
ベットに 寄りかかる姿勢
でゲームを眺めながら
寝落ちしたワタシ
うぉ!なに?!誰?
目を開けると
目の前の床に青桜も落ちている
寝ぼけた頭で考える
ゆっくりと 脳みそが起動する
電気は薄暗くしてあって
TV画面が光っている
空も少し 白んできたようだ
『まだ やってたの?カズくん』
「あ 起こした?
今 ラスボス倒すから」
アハハ
「なんか夢中になっちゃってさ 」
爆睡中の青桜にタオルケット
を一枚かけて 座布団を折たたみ
枕にしてやる
カズくんが目を擦りながらも
ラスボスを倒してくれて
念願のエンディングが見れた
『ありがとう!!感動だあ!』
「あー オレこのまま
起きてる」
「今寝たら 半日は起きない
気が するし」
朝7時
起きてきた 千夏ちゃんと
もう限界なカズくんは 顔を洗い
朝食に と出した
コーヒーと トーストを
食べると 帰っていった
青桜はぐっすり眠っていて
さっきから起こしても
全然起きない
ワタシも もう限界で
ベットに横になった
もう 外は明るいし
一晩 皆んなで遊んだことで
ワタシはすっかり警戒心を
解いていた
テーブルの上に
勝手に帰っていいよ と
メモとコーヒーを置いておいた
ーーーーーーー
目を覚ますと背後に誰かの
寝息がある
自分の身体に男の腕が回されている
恐る恐る振り返ると
ワタシは 見事な毛並みの銀狐
いや 灰色狼?の腕に抱かれて
いた
え? 分かんない 分かんない
は? どうしてこうなった?
なかなか再起動しない脳みそ
とりあえず そぉーっと
腕から抜け出そうとした
「あ おはよう 」
爽やかに挨拶された
ワタシは固まっている
あはは
「なんも してないよ?!」
「起こしても起きないから
ちょっとしたイタズラ心で
添い寝 してたら オレも
二度寝 しちゃっただけ」
ワタシ再起動
『ざけんな!』
『こんな朝チュン 笑えない!』
「? もう昼になるけどね」
「何? 王子様のキスで
起こしてあげた ほうが
良かったぁ?」
距離の詰め方が異常なんよ
オマエ! やっぱ こわっ
でも まぁ いきなり襲いかかる
ような 飢えた狼ではなくて
良かった
やっぱ オマエは 狐っぽいな
柔らかいウサギ肉が頼まないでも
ガンガン放り込まれる環境だから
毛艶が良い 養殖の銀狐だな
小汚い 鳶みたいなのなんて
喰う気はないんだろう?
なのに ちょっかいはかけてくる
からかって遊んでる!ムカつく!
「青桜 狐っぽいって
言われない?」
「何?突然 言われるけど..
それがなに?」
『別に… っぽいなと思っただけ』
「昨日のゲームの続き
やってイイ?」
『あーカズくんにクリアして
もらったから もうイイよ』
『すごい良かったよ
エンディング!!』
「ええっ?!オレ見てないのに
酷くない?」
「アイツなんでオレを
起こさねぇんだよ?!」
「トビちゃん 寝てたよね?
トビちゃんだけ起こしたの?
カズのヤツ」
『いや たまたま目覚ました時
ラスボス戦だったんだよ』
「アイツ 一人でもやる気だった
んじゃね?」
「そういうとこあんだよなー」
「ちょっとオレにも
倒させてー」
『やだよ ワタシはもう見たし
風呂入りたい』
「どうぞ 入っておいでよ」
「その間にやってるから」
『帰ってもらっていいですか?』
「急な敬語 こわーいー!」
『…. 』
「..わかったよ 絶対今度
やらせてもらうからな!」
「また 遊ぼー? みんなで」
『はーい またねー』
ふう 疲れた
やっと解放されたよ
しかし ワタシはこの時
予想だにしてなかった
皆んなの連絡先を ゲットしている
青桜によって 外堀を埋められ
ワタシの部屋が 宅飲みの
開催地に される未来を