ー時刻は午後11時41分。
綾瀬モモは、自宅の一室に置いてある年季の入った女性型の人体模型の手入れをしていた。
「モモさん、いつもすみません。」
「気にしなくていいって!ウチも好きでやってるしさ。」
「・・・そうですか。」
「そうそう。」
何とこの人体模型は意思を持っていた。
何故綾瀬モモの自宅にこの女性型の人体模型・花が置いてあるのかというと、彼女は元々役目を終え廃棄処分される運命にあり、スクラップ工場に捨てられていた。
だが、彼女を心から愛する男性型の人体模型・太郎が廃棄処分されるのを阻止するため彼女の元へと向かっているところに、綾瀬モモ、オカルン(高倉健)、ジジ(円城寺仁)の三人が偶然に居合わせ、二人の事情を知った三人がモモの祖母であり霊媒師の星子に、花を綾瀬家に置かせてほしいと頼み込んだのである。
三人の説得の甲斐もあって、晴れて花は綾瀬家に置いてもらえる事になった。
これが花が綾瀬家に置いてある理由だ。
「ふう。こんなもんかな。あとは・・・。」
手入れ作業が終わったモモは、仕上げに前に着せていた服とは違う新しい服を花に着せた。
「よし、完璧!」
「ありがとうございます。あの、モモさん。」
「ん、何?」
「以前から思っていたのですが、私は見ての通り人形です。毎回毎回、服を新しくする必要はないのでは?」
花の言葉にモモは目を見開いた後、苦笑して花の肩に手を置き口を開いた。
「何言ってんの?あんたが人形とかそんなの関係ない。好きな奴と会うんだから、少しでもオシャレさせたいと思ったからそうしてるだけ。」
「モモさん。」
モモの言葉に花は胸が温かくなるのを感じた。
「ありがとうございます。」
「別に。」
「ふふふ。」
「笑わないでよ。」
「すみません。ふふ。」
花のお礼の言葉に照れているらしいモモに花が小さな笑い声をあげていると、
キンコーン。
と玄関のチャイムが鳴った。
ー時刻は午前0時丁度を指していた。
コメント
4件
新作最高ですね!!! 語彙力分けて欲しい............ 私はお母さんのお腹の中に置いてきてしまったので☆