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「天国と地獄って存在してると思う?」
鈴木が乾いた唇を開いた。
「………さぁ?」
俺は冷たい返事をする。
鈴「悪いことをしたら地獄に行くとか、良い行いをすれば天国に行けるとか言ってるけどさぁ…。」
「だからなんだ。俺の気を散らさないでくれ、勉強中だ。」
鈴「まぁそう言わずにさ、どうなの?」
「ないな。俺はそういう系統の話は信じないタイプなんだ。」
放課後の教室にオレンジ色の光が差し込み、心地よい温もりの日差しを浴びながら、俺はぶっきらぼうに返事を返した。
鈴「まぁ、あるとしたら君は地獄に行くだろうねぇ。」
「理不尽な。大体お前も俺のテストカンニングしたりとか俺の金勝手に借りt「ストーップ、悪かった悪かった、僕の方が悪人さ。」
俺の言葉を遮るように鈴木は言ってきた。
はぁ、こういうところがこいつの悪いところなんだが……
鈴「でもさ、生きるためにやる悪はしょうがないじゃないのかな?」
俺はペンを置き、この悪人の無駄話に付き合ってやることにした。言っておくが、勉強に飽きてきただけだ。
「それは人の見方によるな。それしか方法がないのだから仕方ないと思う優しいやつもいるし、他の方法があるだろうと思う心の狭いやつもいるだろうな。」
鈴「君はどっちなんだい?」
「俺は……。」
ここで俺は口を止めてしまった。正直、どちらでもあると思ってしまったからだ。確かに、切羽詰まってる状況なのだから仕方のないことかもしれない。だといって悪事を働いていいわけでもない。もしそんな状況に陥ってしまったら、俺はどうするのだろうか。
鈴「話してたら飽きちゃったよ、この話はおしまい。」
「はぁ?」
そうだった。鈴木はこういうやつだった。
ガタンと椅子を鳴らし、立ち上がった鈴木は颯爽と教室を出ていった。
「バイバ〜イ」と言いながら。
はぁ…と自然とため息が出てしまう。鈴木と無駄話をしていたせいか、日がかなり傾き、オレンジ色の光がさらに濃くなり、太陽は赤に近い色の光を放っていた。
時計の針は午後5:30を指していた。