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裏五条
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「あ、あの……」
ぐぅぅぅぅぅ
時が、凍った。そう、絶対零度の世界の様に。
あれ、私、時の魔法が使えるみたい?
「あの! あの!」
あまりの恥ずかしさに真っ赤になるのがわかる。
ぷっと、三人が同時に吹き出した。
アリスは必死に笑うのを堪えている。ルードは「申し訳、ござ、い、ませ、ん……」と、言いながら笑っている。スペードなんて、お腹を抱えて笑ってるし!!
もう、もう! 穴があったら入りたい!
「そうだね、もうお昼ご飯の時間だし。何か、食べようか。動ける?」
「あ、うん」
アリスが手を出してくる。私はその手をとって、ゆっくりと立ち上がった。
さっきの言葉……。本気で受け取っちゃっていいのかな。
少しドキドキしながら、アリスの顔を見ると、いつもの優しくて綺麗な顔でふにゃりと笑った。
――私も、アリスを守る。アリスが剣なら、私は剣を守る鞘になるよ。
ーーー
水が湧きだす小さな泉と小川が流れる場所に着いた。
「水があるからここなら、火が使えるんだ」
あたりはバーベキュー広場みたいになっている。
「木霊人はあまり食事をとらなくてもいいから、自由形式なんだ。たまに気が向いたら自分で獲物を獲ってきて、ここで焼いて食べる」
「じゃあ、まずは狩りから?!」
「それは大丈夫っす!」
得意気にスペードが胸をはっている。
ドーーン
大量の食材が並んでいる。一部はすでに捌かれ済み!
「昨日の僕の頑張りっすよー」
あれ、じゃあやることって……。もしかして。
「さ、皆で食べましょうっす。僕ももう腹ペコで死にそうっす」
「スペードは食べてないの?」
「はいっす。皆で食べようと思ってこんなに集めたんすから」
ぐぅきゅるるる
スペードの腹の虫君が盛大に鳴いていた。
「ごめんなさい、昨日一緒に食べられなくて」
「いいっすよー。リサはリサのやることがあったってだけっすから。それにここに残ったのは僕の都合っすからね」
あれ、そういえば、水の結界をはればスペードも一緒にこれたんじゃ……。今更ながら、私は気がついた。
「リサにだけ教えた意味、わかったっすか?」
だから、なんで心の中がって、あーーーーー!!
もしかして、バカにされた? 気がつかないだろうって!?
その通りですよ。今、気がつきましたよ!!
「スペードって、意地悪ですね」
「途中で僕の可愛い姿が見たいとか言って、結界をとかれてもこまるっすからねー」
ニヤニヤ笑う彼は、機嫌良さそうにジビエや野草を火にかけていた。
私、そんなこと――、したかもしれないけれど!
「もう」
「リサちゃん、ボク達も手伝おう」
「私も手伝います」
プンプンと怒った素振りをしているとアリスとルードが隣に立って私を慰めてくれた。
「ご馳走になります。スペード!」
「はいっすよ。好きなのをどうぞ。リサ」
それにしても、この量。全部食べきれるのかしら……?
コメント
1件
「時の魔法?」のタイトルで思わず笑っちゃいました。お腹の音で時が止まるって発想が可愛いし、三人の笑い方がそれぞれ違っててキャラの性格がよく出てますね。スペードが「リサにだけ教えた意味」の種明かしもニヤリとさせられました。日常のふとした掛け合いが温かくて、少し照れながらもゆっくり距離を縮めてるリサとアリスの関係がじんわりきます。ほっこりするいい回でした!