翌日の朝8時に店に来るように言われた。絶対に排便を済まさずにくる、という約束をさせられて。
正面の入り口は開店時刻の10時まで閉めておくから、裏の勝手口から二階に上がるように、ということだった。店の正面玄関は、看板やらポスターやらで派手だったが、裏手はひっそりとしていて、花が咲く植木鉢がいくつか並べてあった。
聞いていた通り、裏口は鍵が開いており、そこから階段を通って二階へと上がる。大きな鉄でできた扉がある。横についた呼び鈴を鳴らすと、鑑定人が出てきた。この建物は、自宅兼店舗らしい。
「いらっしゃい。こちらへ」
もともと住宅として作られた建物ではないようで、廊下も薄暗く、工場の通路を連想させた。
思ったよりも中は広い。一階の店舗は、延べ面積の一部しか使っていないようだ。
ガラス戸があり、その先の部屋に通された。クリーム色の壁紙が貼られ、壁には何箱も段ボールが積み重ねられている。床には紙が散らかっている。明かりを取るための小さな窓があるが、入り込む光は少ない。
男が蛍光灯をつけて、初めて床に散らかっているのが、単なる紙ではないことに気がついた。それは、ペットのトイレ用のシートのようなものが何枚か広げてあったのだ。
「さて…と」
男が言った。
「出す準備の方はできているかな?念のために、下剤も浣腸も用意してあるけれど」
…こいつ、もしかしたらヤバいやつなんじゃないのか?
血の気が引いていくのがわかった。
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