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屋上。
次の日の昼休みも、やっぱり陽翔はいた。
でも、昨日と違って、少し元気がなかった。
あの騒ぎのことが、やっぱり引っかかってるんだろう。
「お前さ、なんで怒ったの」
俺は自分でもびっくりするくらい、ストレートに聞いていた。
陽翔はしばらく黙って、空を見た。
それから、少しだけ笑ってこう言った。
「なんかさ、ムカついたんだよ。
こっちが“関わろう”としてんのに、平気で踏みにじるような奴らにさ」
そして――ぽつりと。
「俺、自分のこと壊れてると思ってる」
……え?
「昔さ、オレ、ちょっとだけ“ヒーローごっこ”してたんだ。
誰かが泣いてたら助けて、悪いやついたらぶん殴って……
そしたら、何も残らなかった。友達も、信用も、学校も」
言葉が、出なかった。
「でもさ、あの時のお前、ホントに“壊れそう”だった。
見てらんなかった。だから……勝手に怒った。ごめんな」
ごめん、なんて言われたくなかった。
だって――
「……ありがとう」
その言葉しか、出てこなかった。