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もしも、隷属とかそういう方法を取りそうな場合、魔法で逃げて魔王の領土を目指すことにしている。
危機回避って大切。
妊娠中にネット小説読み漁ってた甲斐があったね。
私の魔法レベルは多分規格外だから、魔法戦なら選択を間違わなければ負けることはないだろう。
転移の魔法は、さっき小部屋の中で短距離移動して確認した。
場所の名前は分からなくとも、転移したい場所が見えていれば大丈夫らしい。
触れていれば言葉にしなくても一緒に行ける。
ほんとに便利なもんだ。
というわけで、部屋の窓から見える場所なら、ぱっと転移できるはず。
小高い場所にあるから、ここは偉そうなおじさんが言っていた通り城なんだろう。
窓の外には森らしい場所が遠くに見え、手前には町がある。
町だと捕まりそうだから、森の中一択だ。
また、魔法発動の準備をして待機させておけば、無詠唱のような使い方もできると分かった。
このあたりは、なぜか哲人が知っていた。
賢者の効果なのか、どこかから頭の中に情報が入ってくるらしい。
すごいけど、なんか怖いな。
私にも、何か魔王様の効果があるのかもしれないけれど、今それを調べるのは危険だ。
「そうですな、いろいろとお知りになりたいのはごもっともです。前回は200年ほど前と記録がありますが、そのときの勇者様が書かれた日記がございます。こちらは、明日にでもお持ちいたしましょう」
爺さんからの答えは以下の通り。
・勇者が残した記録
→ 明日本を持ってくるよ
・元の世界に戻れたのか
→ 帰ったらしいという伝説がある
本にも書いてある
・解決までどれくらいの期間か
→ 数日〜数年かかるっぽいけど人それぞれ
・国からのサポートは
→ 国(テヌ・ホキムというらしい)がお金を出すし、城にいる間は爺さんがヘルプするよ
あと、部屋付きのメイドさんが当面生活サポートするよ
・どんな国
→ 王国で、さっき見た青いローブの偉そうなおじさんが王様
貴族社会だよ
・倒すの?話し合いは?
→ 代々倒してきたという記録
話し合いに応えてくれる魔王だったという記録は見たことがない
本で確認してね
・魔王のデメリット
→ 魔物が活性化するっぽい?から、魔物による人的被害が増えてるらしい
明日資料持ってくるよ
・生活基盤や身分証明
→ 冒険者組合があるからそっちに登録してもらうよ
・生活レベル
→ 明日以降見られると思うよ
・魔法の鍛錬方法
→ 明日本を持ってくるよ
要するに、明日以降がほとんど。
勇者の日記は、禁書とまではいかないけれど重要な本らしく、持ち出しの申請をして持ってこられるのが明日だとか。
これは理解できるし、むしろお役所仕事だと思ったら早いのかも。
身分証明は国の管轄外になる冒険者組合に丸投げ。
犯罪者登録されていなければ誰でも登録できるらしい。
なので、私たちも当然登録できる。
その冒険者組合への登録も、今日は時間的に厳しいので明日以降。
勇者の話や魔王についてはよく分からんっぽい。
役に立たないな。
「勇者様がたも、突然のことで驚かれたでしょう。落ち着かれるためにも、今日はお部屋でお休みください。案内させますので」
「そうですね……魔法など我々の世界にはいなかったものですし、やはり混乱しています。落ち着く時間をいただけると助かります」
「助けていただきたいのはこちらですから、お気になさらずに。そうそう、何かあれば部屋付きのリネに言ってくだされ。可能な限り便宜を図らせてもらいましょう」
爺さんが哲人に言うと、いつの間にか部屋の隅に控えていたメイドさんらしき妙齢の女性が膝を軽く折って礼を取った。
結構な美人さんだ。
「お世話係を申し受けました、リネと申します。何でもお申し付けください」
「リネさん、ですね。私は哲人といいます。こちらは私の妻の邪栄(やえ)と、寝ているのが息子の勇人です」
「お世話になります」
寝ている勇人を抱いているので軽く頭を下げたが、見事にこちらを見ない。
勇者と思しき哲人にだけ礼を取っている。
ちょっとムカっときたけど、男尊女卑が染み付いてる文化なのかしら?
それとも、ムカつかせることが目的なのかしら?
実はほかに理由があったりするかしら?
なんでもいいけど、魔王様を敵に回しちゃうとまずいと思うよ。