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最高です!!続きが気になります……
死神は悪魔たちに言われた通り、部屋でバチキンを見守っていた。
死神「この教会のシスター共は基本的にカス……ねぇ……?」
そしてふと、ある出来事が彼の脳裏に浮かぶ。
13年前。
ある雨のこと。
死神は大天使との戦闘が終わり、人間界で休んでいた。
大天使との戦いは、ただの本気の殺し合いなんかじゃない。
身分の高い者同士、お互いが身分の高い者であることを証明するための戦いだ。
証明できなければ(というより致命傷を負えば)、大天使なら大天使としての権力が剥奪され、死神は権力は剥奪されないが、二度と人間界に行くことができない。
それを認めた上での戦いだ。
だが、死神はヘマをこいてしまったのだ。
大天使との空中戦で大天使の攻撃に気を取られ、呆気なく地面に叩きつけられたのだ。
そのせいで思い切り背中を強打し、吐血してしまったため、人気のない教会裏でまともに動けるまで休むことにしたのだ。
それに、基本的に人には死神が見えないので普通はどこで休んでも怪しまれることはない。
???「おにいさん、こんなところでやすんでどうしたばち?」
……そう…………基本的に人には死神が見えないのだ……。
死神(俺以外にもここで休む奴がいるのか……?)
……基本的に人には……。
???「おにいさんばちよ!そこの……かおになにかへんなのかいてあるひと!」
人には……
死神「…………。」
……………………。
……子供にも見えないとは言ってないわ。
死神「……お前、俺が見えるのか……?」
???「見えるばちよ!おにいさんいきてるばち!」
とっくのとうに死んどるがな。
少女は純真且つどこか美しいマゼンタの瞳で、清楚な服を身にまとっているため、きっとこの教会の者だろう。
両腕には布でくるまった何かを持っていた。
死神「……名前は?」
バチキン(幼少期)「ばちきんばち!」
死神「……そうか。なあバチキン。……その布の中身は?」
バチキン(幼少期)「こればちか?これは……からすさんばち。」
死神の予想は当たっていた。
この布の中身はカラスの死体だ。
バチキンが言うには、そのカラスはバチキンがいつも餌を与えていたカラスだ。
だが、今日血も流さず死んでいたらしい。
きっと老衰か病気による死なのだろう。
死神「……そのカラス、俺が代わりに埋葬してやる。」
バチキン(幼少期)「まいそう……?」
死神「土ん中に埋めて安心して寝かせることだ。一生起こしちゃいけないけどな。」
バチキン(幼少期)「…………わかったばち。ありがとう、おにいさん。わたし、おにいさんわすれないばち。だから、なまえをおしえてください。 」
なんて礼儀の正しい娘なのだろう。
死神「俺の名前か。俺の名前は____」
死神は目を覚ました。
死神「……夢。」
気づけば夜だ。
そろそろ、彼女の元へ行く時間帯だ。
念の為、ポータルを開いて様子を見てみると、バチキンは……
十字架を持って自室のベッドで寝ていた。
死神「…………は?」
信じられなかった。
彼女は自殺したのか?
死神は混乱してしまい、発狂しそうになったその時だ。
???「……死神。」
後ろから声がしたので、振り向くと、
死神「…………バチキン?」