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私
の名前は、アリス=マクレーン。この世界で最強の魔法使いだ。
魔法を極めた私が今、最も欲しいものは、愛しのダーリンとの幸せな結婚だった。
「……どうしてこうなった?」
私は、目の前で繰り広げられている光景を見ながら呟いた。
ここは、王都にある王立学校の学生寮の一室。その部屋の窓から見える景色には、王都中の人々が溢れていた。
王城から続く大通りは人で埋め尽くされ、大通りに面したお店はどこも満員御礼状態。
それだけではない。
街の至るところで花火が上がり、空ではドラゴンによるパレードが行われていた。
『これより! 勇者様の帰還を祝う凱旋パレードを行います!』
街の中心部にある広場では大勢の人が集っていた。その視線は全て、今し方魔王を倒した勇者に向けられている。
「あぁ……やっと終わったんだね」
歓声の中、勇者は呟くように言った。
「お疲れさま、これでもう自由だ」
「うん、そうだね。ありがとう、僕なんかの為にここまで付き合ってくれて」
そう言うと勇者は傍らに立つ幼馴染の少女を見つめた。少女はその言葉に小さく首を振る。
「そんな事無いよ。私だって楽しかったから」
「そっか……それなら良かったけど」
「ねぇ、これからどうする?」
「え? どうって言われても」
突然の問い掛けに勇者は混乱していた。魔王討伐の旅の途中、道端で占い師に出会ったのだ。彼女は占いの結果を伝えようと口を開いたのだが……。
「えっと、まずは名前を聞かせてくれるかな?」
「名前? あたしの名前は――」
そこで言葉を止めた少女は顎に手を当てた。
「あれ、おかしいなぁ。どうして名前が思い出せないんだろう。困ったね」
「そんな事はないさ」
勇者はそう言うと、剣を抜き放ちました。
「魔王!お前を倒しに来た!」
その言葉を聞き、魔物たちはざわめきます。
「おい……あれ……」
「ああ、間違いねぇ……あいつだぜ……」
「伝説の勇者様だ!!」
「おお、なんとありがたいことだ!!これで我々も救われるぞ!!」
「あのお方の邪魔をする者は許さん!!」
魔王は言います。
「ほう?貴殿一人で我を倒すと言うのか?」
「そうだとも!俺は今まさに人生の絶頂にいるんだ!」
「…………」
「おい、なんで黙るんだよ!?」
「別に。ただ少し意外だっただけだ」
「そうか?」
「ああ」
「そんなもんかねぇ~」
「そんなものだろ」
「そうかもなぁ~」
「そうなんだ」
「そうかもしれんねぇ~」