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冬が近づく頃、二人はある地方の小さな店で、ついにその部品を見つけ出した。
店からの帰り道、夕暮れ時の公園で、蓮は完成した時計を結衣の腕に巻いた。
「結衣、この時計が動く時、俺はもう一度、建築の世界に戻ろうと思ってる。図面は引けなくても、監修者として、夢を形にする方法は他にもあるって気づいたんだ。君が隣にいてくれたから」
チ、チ、チ……。
不揃いだったはずの二人の時間が、完璧に重なり合う音が聞こえた。
結衣の目から、温かい涙がこぼれ落ちる。
「……遅いよ、蓮。でも、待ってた」
蓮は結衣の肩を抱き寄せ、冷たくなった彼女の耳元で囁いた。
「これからは、同じ時間を刻もう」
藍色の文字盤の上で、青い秒針が力強く、新しい未来へと時を刻み始めた。