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◇告白
昼食のあと、いつものように妻が娘を寝かしつけたところを見計らい、
意を決して彼女に声を掛けた。
「圭子、未紗寝た?」
「うん、やっと寝てくれたぁ~」
そう言って圭子が和室の襖をそっと閉めた。
「コーヒーでも淹れましょうか?」
「うん、いいね。
あのさ、コーヒーができたらちょっと聞いてもらいたい話があるんだ」
「いいよ~、OK」
そして圭子が淹れてくれたコーヒーを前に俺は心を決めた。
「昨日さ、下の共用ラウンジ付近で淳子さんに待ち伏せされたんだ」
「えっ? それって会社からの帰りってことよね。
確か昨日って22時頃帰って来たよね。
えーっ、そんな時間にあの人匠ちゃんのこと待ってったっていうの?
電球の事と言い、待ち伏せの事と言い、学生時代持ってたイメージから程遠い
言動になっていて、何ていうかこんなこと言っちゃあいけないんだけど気持ち
悪いね」
「圭子、俺ね、変に圭子に彼女のことで誤解されたくなくてできるならこの話は
自分の胸の中にだけしまっておこうと思ってたけど……」
「何かあったの?」
「あのさ、今から話す俺の話を途中で聞くのを止めたり怒ったりしないで
とにかく最後まで聞くっていうのを約束してほしい。
順序を追って話をしていくと、絶対誤解されそうな話なんだ」
「ということは、その話の内容って、私が聞くと怒ったりするような
内容になるんだ」
「そうじゃないって言いたいけど、そうだね不愉快な話だよ、俺にとってもね。
どうだろう、嫌な気持ちになっても俺のことを信じて最後まで話を聞いてくれるかな?」
「うん、分かった。
泣いたり怒ったりしたとしても、話の途中で席を立ったりしないで最後まで
話を聞くって約束する。
それで、昨夜の待ち伏せで淳子さんから何て言われたの?」