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推しには近づくな!

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推しには近づくな!

14 - 推しの気持ち

♥

16

2022年10月03日

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類さんは俺を追いかけなかった。

あれ?

episode14

ん?ここどこだ?どっかで見覚えが…

「あ!笑!目が覚めたんだね!」

俺が起き上がると、尚は俺を支えた。

見覚えのある綺麗な部屋、ふかふかのベッド、コスプレ衣装が入っているクローゼット。そうか、ここ尚ん家か…。

「あれ?尚?俺…」

「もう!あんなとこ一人で何歩いてるの?!話しかけようと思ったら、急に倒れるし…」

「あ、そっか…俺、あそこで倒れたのか…」

「はあ〜…何があったか知らないけど、前、誘拐されそうになったんだから、気をつけないと…!」

なんか、安心する…。

「…ごめん。」

「あ、いや!責めるつもりはなくて…!」

「…いや、ホントに俺、何してんだろ…。一人で抜け出して、行く場所もないのに…彷徨って…。バカすぎるな。」

すると尚は俺の手に手を添えた。

「…僕で良ければ話、聞くよ?」

いや、優しすぎー…。

心配そうに見つめる尚にそっと微笑みかける。

嬉しいけど、これは俺の問題だから尚を巻き込むわけにはいかない。

「いや、いいよ。ありがとう。…よし!そろそろ帰るかな〜!」

ベッドから下り、ドアに向かおうとすると腕を引っ張られる。

「尚?」

尚の顔が前髪の影でよく見えない。

「何で頼ってくれないの…?」

「え?」

そして、真剣な表情でこちらに顔を向ける。

「!」

「僕は、笑と一緒にいて救われた。沢山、救われたよ。だから、笑のことも救いたい!沢山、一緒に居てくれた分、沢山笑わせたい!だから…頼ってよ…。」

いや、そんな真剣に言われたら断りにくい…。

でも、本当に尚とは関係ないし、巻き込むのも駄目なくらい面倒くさいことだから、出来れば話したくない。

でも…

「…わかった。ホントにどうでもいいことなんだけど…。いい?」

すると、尚の顔が明るくなった。

「うん!ありがとう!何でも言ってよ!」


「そっか…それは、笑の気持ちもわかるな…」

実名は明かさず、一応友達ってことで尚に話した。

類さんがブラコンだと思われたくないし…。

「だろ?…なんか、束縛が凄いっていうか…。まあ、確かに、何も言わずにってとこは俺も悪いけど…」

「う〜ん……。」

尚は首を傾げた。

「あー…だから言ったろ?どうでもいいことだって。」

「違うよ!…解決策を考えてるの。……これでも一応、真剣に考えてるんだけど…?」

「!…ごめん…。」

確かに、見たことないくらい真剣に考えてくれてる…。

俺、いい友達出来たな…。

「でも、謝ればいいとしか思いつかない…。」

「…だけどそいつ、俺のことを追いかけなかったんだよ。普通、嫌な気持ちになったら追いかけるはずなのに…。」

「…えっと…」

すると突然、部屋のドアが開き、尚のお姉さんが顔を覗かせた。

「尚!今ねー…!って、ごめん。来客いたのね。」

「あ、いえ、大丈夫ですよ。」

そう言うと、お姉さんは目を細めた。

「…ん?あら、コスプレしてくれた人じゃない!もう、尚!教えてくれればよかったのに!」

「いいから!今、大事な話をしてるの!出てって!」

尚はお姉さんを力一杯部屋から出そうとした。

別にいいんだけど…

「えー?せっかくショウにゃんが配信してるのに…」

…え?

「今そんなのどうでもいいよ!早く出て行って!」

「アーカイブ残るから見るんだよ?!」

「はいはい!じゃあねっ!」

勢いよくドアが閉まる。

でも、今の俺にはその音は聞こえなかった。

ショウが、配信している…。ってことは類さんも見ているんじゃないか…?

あれだけのショウにゃん愛だ。配信を見逃す訳がない。

だから、俺を追いかけなかったの…?

ショウにゃんの配信があるから…。

だから…

「笑?…どうしたの?顔色悪いよ?」

「あー…平気平気!いや、お腹空いちゃって。だからもう帰るわ。明日また相談する。」

「え?…うん。でも、結構暗いよ?…」

窓の外を見ると真っ暗になっていた。

「それに、笑の両親あんまり帰って来ないんでしょ?」

「え?どこ情報?」

「え?佐藤先生が言っていたけど…。」

…なるほど、先生が前、俺の両親に電話しようとしたけど繋がらないから俺、そういうことにしたんだっけ…。

「あー…うん。そうだね…。」

「よかったら、家泊まってく?」

「え!?いいって!迷惑だし!!それに、もう夕飯作ってるだろ?!」

「大丈夫だよ!僕ん家、いつも作りすぎてご近所さんに分けてるから!逆にありがたいくらいだよ!」

だったら、類さんに連絡しないとー…って…

スマホ忘れてる!!!!

…はあ〜…だったら仕方ない…。

「俺、やっぱり帰るよ!お泊りは、計画ちゃんと立ててからにしようぜ!なんなら、明日でもいいし!」

「え!?…でも…」

「俺は大丈夫。じーちゃんがいるから。」

そう、じーちゃんが見てくれてる。

「そっか…。」

「じゃあな!本当に助かった!また学校で!」

俺は尚の部屋から出て、玄関へ向かう。

これは俺の問題。それに、まだじーちゃん家が残ってるはず。

今日はそこで寝泊まりすっかな…。

「笑!」

尚も俺に続いて出てくる。

「やっぱり、駄目だよ!もう、外暗いし!しかも、今日笑、誘拐されそうになったんだよ?!絶対駄目!」

「言ってもまだ6時だろ?補導されないから大丈夫!」

「そういう問題じゃない!」

尚はそっと俺の手を握る。

「いい?僕は、笑の身に何か起きないか心配なんだよ。もし笑に何かあったら、僕…だから、せめて車でー…!」

俺は尚の手を握り返した。

「大丈夫!また学校で!」

尚に背を向け、玄関から出た。

そして、じーちゃん家目掛けて猛スピードで走る。

確かに、今日もいろんなことあったし、怖いけど…

「大丈夫、じーちゃんがいる。」


類さんは、俺ではなく、ショウを優先した。でもそれは当たり前で、俺は所詮赤の他人。類さんの選択は間違ってはいない。

だから、俺がグズグズ言う権利はない。

久しぶりに来るじーちゃん家はあまり変わっていなくて、何もかもそのままに見えた。

じーちゃんがよく座っていた縁側。二人で大笑いしたテレビ前。じーちゃんの好みに合わせた料理を作るのは、どこのシェフでもできなかったと思う。


すべて、いい思い出。


そうだよ、類さんは俺にとって赤の他人。関係ないんだ。

ここも、思い出の場所だけど、類さんはいない。

でも、何でかな…。ちょっと会えないくらいで、寂しいって思ってしまうんだ。

何で…なんだろ…。教えてよ、じーちゃん。


家族でしょ?

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