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第86話〚予知が変わる前兆〛(澪)
夜。
澪は自分の部屋で、窓を少しだけ開けていた。
夏の風が、カーテンを揺らす。
遠くで、虫の声。
いつもなら、
この静けさは落ち着くはずだった。
でも今は――
胸の奥が、ざわつく。
(……やっぱり、変)
予知が来ない。
正確には、“今までと同じ形では来ない”。
頭痛もない。
映像も流れない。
突然の未来も見えない。
なのに。
(……分かる)
澪は、ぎゅっと手を握った。
理由は言えない。
言葉にもならない。
でも、
「何かが近づいている」
その感覚だけが、はっきりしている。
――その瞬間。
ふっと、
視界が揺れた。
映像じゃない。
音でもない。
ただ、
空気が変わった。
(……なに、今の)
心臓が、どくんと鳴る。
頭は、痛くない。
なのに、胸が苦しい。
これまでの予知は、
“未来のワンシーン”だった。
でも今のは――
未来じゃない。
過去でもない。
(……可能性?)
澪は、息を整える。
見えないけど、
確かに“感じた”。
危険そのものじゃない。
でも、
危険に繋がる選択肢。
(予知が……変わってる)
気づいた瞬間、
怖さよりも先に思い浮かんだ顔。
海翔。
えま。
しおり。
みさと。
玲央。
(守りたい)
今までの予知は、
守られるためのものだった。
でも――
これからは違う。
(私が、選ばなきゃいけない)
澪は、胸に手を当てる。
まだ何も見えない。
まだ何も起きていない。
それでも確かに、
力の形が変わり始めている。
窓の外で、
夜風が少し強く吹いた。
澪は、そっと目を閉じる。
(……これは、始まり)
『誰も知らない、高嶺の花の裏側2』へ――
繋がる“前兆”だった。