テラーノベル
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____佐野勇斗side.
それから、すぐには何も変わらなかった。
連絡は必要最低限。
会うのも、たまに。
触れない
踏み込まない
期待しすぎない
それが自分への罰みたいだった。
でも、不思議と苦しくはなかった。
仁人がちゃんと生きている。
それだけで十分だった。
____吉田仁人side.
少しずつ、少しずつだった。
勇斗は急がなかった。
甘い言葉も、強引な優しさもなかった。
それが逆に効いた。
ある日、勇斗の家に行った時、 懐かしい匂いがして胸が詰まった。
『…変わってないね、笑』
「うん、変えられなかった」
その答えが、胸に落ちた。
「今度は、ちゃんと話す。逃げない。当たらない。」
約束は、派手じゃなかった。
でも、重かった。
『…じゃあ』
仁人は、小さく息を吸って言った。
『もう一回だけ、あと一回だけ、信じてみる、』
____佐野勇斗side.
その夜、 仁人はソファで眠ってしまった。
毛布をかけて、 そっと抱える。
ベッドに優しく置き、再び布団をかけ直す。
今度は壊さない。
それだけを心に決めて。
____吉田仁人side.
目を覚ますとベッドにいて、自分が寝ているはずだったソファには勇斗が眠っていた。
その距離が、優しかった。
『…おはよう』
寝ている勇斗に向かって呟いてみる。
すると、それに気が付いたのかゆっくりと目を開けた。
「…はよぅ..」
それだけで、胸が温かくなる。
すぐに戻れるかはわからないけど、でも、確かに今は幸せだ。
『朝ごはん用意するわ』
「ありがと」
そう言いながらなぜか勇斗も台所の方へ向かう。
いつもならば、先に椅子に座ってスマホを見ているのに
『ん?どうした?』
「あ〜いや..箸とか用意しとこうと思って」
その言葉に目が丸くなる。
どうやら本当に変わろうとしてくれているらしい。
『そっか、笑ありがとう』
自分も朝食を準備し始めた。
to be continued…
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