テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第一話 俺の進学先が女子校になった
春。
高校への入学を目前に控えた朝。
黒柳レイは、自分の部屋で目を覚ました。
黒柳レイ「……ん……朝かぁ」
眠そうに目をこすり、ベッドから身体を起こす。
黒柳レイ「……あれ?」
自分の声に違和感を覚える。
黒柳レイ「声……高くない?」
まだ寝ぼけているだけだと思い、レイは洗面所へ向かった。
そして鏡を見る。
「…………」
鏡に映っていたのは、昨日までの自分ではなかった。
腰近くまで伸びた銀髪。
大きな瞳。
柔らかな顔立ち。
どう見ても、可愛らしい女の子だった。
黒柳レイ「…………」
レイは鏡を見つめる。
黒柳レイ「……かわいい子だな」
少し間を置く。
黒柳レイ「……誰?」
鏡の少女も首を傾げた。
黒柳レイ「…………」
自分の頬を触る。
鏡の少女も頬を触る。
黒柳レイ「……俺?」
数秒後。
黒柳レイ「俺ぇぇぇぇぇ!?」
家中に叫び声が響いた。
* * *
リビング。
レイの母親、黒柳優香は、目の前に座っている少女をじっと見つめていた。
優香は女子高校の理事長を務めている。
そして、シングルマザーとしてレイを育ててきた。
黒柳優香「……レイ?」
黒柳レイ「……うん」
黒柳優香「本当にレイなの?」
黒柳レイ「そうだよ……」
優香はしばらく黙っていた。
そして、レイの銀髪に触れる。
黒柳優香「……本当に女の子になっちゃったのね」
黒柳レイ「俺も起きたときびっくりした」
黒柳優香「病院には行きましょう。原因を調べないと」
黒柳レイ「うん」
優香は少し考え込む。
黒柳優香「それと……高校のことだけど」
黒柳レイ「高校?」
黒柳優香「あなた、来週から高校生でしょう?」
黒柳レイ「あ……」
レイは思い出した。
本来なら、別の高校へ進学する予定だった。
男子生徒として普通に入学し、普通の高校生活を送る。
そのはずだった。
黒柳レイ「この姿じゃ……予定してた高校に行けないよね」
黒柳優香「そうね」
優香は少し考える。
そして――。
黒柳優香「だったら、私の学校に来なさい」
黒柳レイ「……母さんの?」
黒柳優香「そう。私が理事長をしている女子高校よ」
つばさ
24
つばさ
240
#ハイキュー
黒柳レイ「…………女子校?」
黒柳優香「女子校」
黒柳レイ「俺が?」
黒柳優香「今は女の子でしょう?」
黒柳レイ「……そうだけど」
レイは自分の銀髪を見る。
黒柳優香「あなた一人で新しい学校へ行くより、私の学校のほうが何かあったとき対応しやすいわ」
黒柳レイ「……分かった」
黒柳優香「制服も用意しておくわね」
黒柳レイ「制服かぁ……」
黒柳優香「きっと似合うわよ」
黒柳レイ「そうかな?」
天然気味に首を傾げるレイ。
優香は小さく笑った。
黒柳優香「ええ。とても可愛いと思うわ」
黒柳レイ「……ありがとう?」
* * *
その日の午後。
レイの家に幼馴染の夕凪シロがやってきた。
夕凪シロ「レイー! いるー?」
黒柳レイ「シロ?」
レイが玄関を開ける。
そして――。
夕凪シロ「…………」
シロが固まった。
目の前にいるのは、銀髪ロングの可愛らしい少女。
黒柳レイ「どうしたの?」
夕凪シロ「……誰?」
黒柳レイ「俺」
夕凪シロ「…………」
黒柳レイ「黒柳レイ」
夕凪シロ「…………レイ?」
黒柳レイ「うん」
夕凪シロ「昨日まで男だったよね!?」
黒柳レイ「そうだよ」
夕凪シロ「なのに何で!?」
黒柳レイ「俺も分からない」
夕凪シロ「……朝起きたら?」
黒柳レイ「こうなってた」
シロはレイをじっと見る。
夕凪シロ「銀髪……長い……」
黒柳レイ「うん」
夕凪シロ「……可愛い」
黒柳レイ「そう?」
夕凪シロ「自覚ないの?」
黒柳レイ「何の?」
夕凪シロ「……やっぱりレイだ」
黒柳レイ「?」
シロは呆れたように笑った。
夕凪シロ「その天然なところ、何も変わってない」
黒柳レイ「そうかな?」
夕凪シロ「そうだよ」
こうして――。
別の高校へ進学するはずだった黒柳レイは、突然の性転換によって、母・黒柳優香が理事長を務める女子高校へ通うことになった。
しかし。
レイはまだ知らなかった。
この女子高校で待っているのが、普通の高校生活ではないことを。
そして――。
レイ自身の能力にも、少しずつ異変が起き始めていることを。
第一話 完
コメント
1件
初めまして!第1話読ませていただきました。朝起きたら女の子になっていた衝撃の出だしから、鏡に向かって「かわいい子だな→誰?→俺ぇぇぇ!?」の流れ、思わず笑っちゃいました。天然なところが全然変わってないシロとの掛け合いも好きです。理事長の母がいるから女子校へ……どんな「普通じゃない」日々が待っているのか、続きが気になります!銀髪ロング、絶対似合いますよ✨