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半袖がそろそろキツくなってきた屋上で、コロンと寝そべって青い青ーい空を見ていた。隣にはいつも通り我が親友が座っている。

一見薄らぼんやりしている俺だが、この頃考えていたのは専らこんな感じのことだ。

(………あーもうマジで……__)

___俺の親友格好良すぎんだろぉーッ!


……うんまぁ、何だ。『そういう』訳だ。

さて、どうすっかな。

真面目な話、持て余すんだよなコレ。俺そんなん抱えられる程手ぶらじゃ無かったんだけどなぁ。というか俺、女の子が好きだったんだけdュフッあーららコイツぁ顔が良い。見つめ合うとハオが留まるところを知らないわ。知らないが過ぎる。

「……何だよ。米でも付いてる?」

「いやぁ、よく食うもんだなってな」

ここで飛び出す渾身のから笑い。最近板についてきました。そしていつもの如くお前にバレる気配は微塵も無し。いや確かに渾身ではあるんだけどさ、そういう所だぞお前本当に。

……ま、それにしたって呑気なもんだ。隣で無二の親友が何考えてんのかも知らずにさ……。

「…………はは」

……あーあ。

いつの間にか……本当にいつの間にか、後戻りできない所までズブズブ沼ってたんだよなぁ。

全然気付けなかった。それまでただの友人枠だったくせに、一体全体いつの間に。まぁ片鱗は色々あったけども。……この場合悪いのって俺?お前?……まぁ俺かぁ。

地獄っちゃ地獄だし辛いっちゃ辛いが、割り切るのは意外に早かったように思う。

『高校の間だけだから』『告白とかしないから』『絶対バレさせないから』……なんて言い訳たれて強欲を誤魔化す青春もまぁ、そんなに悪かないだろってな。ほら、こんなのも多分数十年後には良い思い出になるなる。

……そうだろ?なぁそうだって言えよ。

「……本当に米付いてない?」

「無い無い。いいから早く食い切っちまえよ」

今日は惚れ惚れするほど良い天気だ。

明日には忘れるだろうこの雲の形も、案外遠い未来には夢に出てきたりするんだろうな。


……という、懐かしい夢を見た。

馬鹿なのか俺は。ウッキウキすぎだろ。

同窓会って結構洒落にならんビッグイベントだぞ、浮かれてる場合じゃねぇ。アイツの薬指に指輪でもあった日には俺空飛ばすからな……魂を。流石に体は飛ばさんよ、明日もミッチリ仕事なんでな。社畜ヒャッホウ!

待て待て、思考が逸れ過ぎだ。戻れ戻れ。

それにしても親友の結婚、ねぇ……俺としても限りなくハッピーにケツ叩いて門出を祝いたい所なんだがなぁ……。……む?いや待て、そうだろハッピーだろ。結婚してたらアイツ幸せ、俺吹っ切れて前向き。 これが一石二鳥じゃなくて何になるってんだ。

………………。

…………う、

(うぉぉ千載一遇のチャンス……頼むっ、結婚しててくれぇぇ…!)

まぁ無論泣くけど?バウムクーヘンばっくばく食って帰りますけど?でもそれで吹っ切れるなら安いもんだよ。1ロールでも2ロールでも軽々食ってやるさ。それぐらい、俺としても4・5年ずるずる引きずったコレそろそろ捨てたいんだわ。うんうん。

「……そこん所くれぐれも頼むぜ、元校内一のモテ男さんよォォーーッ!!」

__ドンッ!

「ピッ!」

嗚呼あの夢の中の俺が今の俺を見たらなんと言うだろうか。毎日上司に怒られお隣さんに怒られケチョンケチョンな俺を。

……きっと緑色の川を見る様な目で見られるのだろうなぁ。うわぁすごい、こんな容易に想像できることってあるんだ。

とても悲しい気持ちでアパートを出たらすぐ階段を転げ落ちた。ギリギリ足はひねらなかった。

おぉんおぉん、老いの足が早すぎる。

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