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AU話
甘党メイン
完成間近まで行ってたのにmnちゃんの魂と実験台の肉体が混ざって変化して、結果一部が結晶化してしまい、それを取り除く話
⬇
【実験記録 No.███】
対象:オスマン
年齢:██
状態:肉体適合済/魂定着率 98.7%
経過は極めて良好。
拒絶反応も見られず、神経接続も安定している。
__少なくとも、数値上は。
【追記】
融合開始から72時間経過後、被験体に微細な異常を確認。
右顔、皮膚下組織において“硬質化”の兆候あり。
触診の結果、骨とは異なる感触を確認。
切開検査は未実施。
「……違う」
記録を取りながら、手袋越しにその部位をなぞる。
沈むはずの肉が、僅かに指を押し返した。
弾力ではない。
もっと、冷たい何か。
【追記2】
当該部位の変質が進行。
皮膚の下で、異物の形成を確認。
色調:無色透明に近い。
光の反射を確認。
カプセル越しに見える肉体は、相変わらず静かで、脈拍も正常。
問題はそこじゃない。
【追記3】
硬質化部位、表皮を侵食。
“結晶様構造”の露出を確認。
内部に微細な層構造あり。
光を受け、屈折する。
「……っは」
思わず漏れた笑いが、冷たい地下室に響き渡った。
余りにも奇妙な現象。
肉体でも、骨でもないソレは、確かに、間違いなく其処に存在していた。
【最終追記(暫定)】
対象の生命維持に問題なし。
当該結晶部位の拡大を確認。
切除による安定化を優先。
回収物については、別途保管処理を行う。
.
.
.
無機質な音を立てて、ロックが外れる。
ゆっくりと開いたカプセルの内側から、冷えた空気が流れ出た。
規則正しく上下する胸。
それ以外は、まるで時間が止まっているみたいだ。
「……憎たらしい程綺麗だな」
誰に聞かせるでもなく、呟いた。
端正で、綺麗な顔立ちをした顔は見るに耐えなく。
皮膚を押し上げて現れたソレは、もはや“異物”でしかなかった。
透明で、滑らかで、余計な濁りが一切ない。
生き物の中にあるには、あまりにも完成されすぎている。
手袋を嵌め直し、器具を並べる。
金属同士が触れ合う音が、やけに響いた。
薄い膜越しに、冷たい器具の温度が染みる。
横たわる見慣れた顔はやけに白く、やけに綺麗に見えた。
震える手を押さえ込みメスを手に持つ。
「っは、は……」
徐々に浅くなる呼吸。
たらりと頬を伝う脂汗。
手元が狂って刃を入れられない。
「……くそ」
何とかメスの先端を差し込めば、意外にもずぷりと飲み込まれていく感覚。
慎重に周囲の組織を切り分けていく、目的は主にソレだけ。
傷を与えないように、余計な損傷を出さないように。
露出した結晶は、間近で見るほど異様だった。
光を受けて、内部でゆらゆらと何かが揺れている。
するりと、驚くほど簡単に取り外せたソレは血液で塗れていながらも光を全く濁さず、寧ろ血液を栄養分として爛々と輝いているようにも見えた。
「……綺麗だな、本当に」
視線を何処にも向けることなく、そう呟いた。
終