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No.03がお茶会する話
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【観察記録 No.03】
本日、被検体 No.03-AおよびNo.03-Bの接触を確認。
発端はNo.03-Aによる提案。
内容は「お茶会」と称される行動であり、
甘味の摂取および会話を目的とするものと推測される。
尚、本行動は指示によるものではなく、
完全な自発的接触である。
「なぁなぁ見てやこれ、めっちゃ美味そうやない?」
机いっぱいに並べられた色とりどりの菓子。
これから入れる予定なのであろう紅茶の香りがふんわりと鼻をくすぐる。
「凄いね、全部マンちゃんが作ったの?」
「当たり前めう、お茶会のお菓子は拘って当然やからね」
んふふ、何て可愛らしい声を出して笑うマンちゃんに俺も思わず鼻から声が漏れる。
「ほらこれ食べてみてや、あ~ん」
当然のようにフォークに刺したマカロンを口元に運んできてくれるから、俺も当然のようにそれを口に含む。
「ん、あ……うん、美味しいよ」
「やろ~? 今回のマカロンめっちゃ上手くいったんよ」
「マンちゃんのお菓子は何時食べてもほんと美味しいよね」
「も~、ひとらんそういうところめう!」
「え~、何処よ…」
1ヶ月に何回か行うお茶会。
マンちゃん曰くお話をしてお菓子を食べることが目的らしいけど、俺はマンちゃんと居られるだけで嬉しいから、なんでもいいや。
「そういえば最近グルッペンの書斎で宝石みたいなん見つけたんよ」
「へ~、グルちゃんが宝石…珍しいね」
「しかも何か見覚えあるようなないような…」
宝石。
確か前図鑑で見た時、色々な種類があったはず。
特に綺麗だったのはよく覚えている。
「うーん、ダイヤモンドとか…?」
「ダイヤモンド…似てるけど違うめう、もっと、こう」
「心臓みたいで、手放したらあかんもの、的な」
「……心臓…?」
「おん、あれ見た瞬間な。右目の奥がぎゅーってしたんよ」
「随分抽象的だねぇ…なんだろう…」
「他に特徴あった?」
「ん~……赤い何かが根元ら辺にこびり付いとった」
「赤い何か…絵の具とかかな」
「赤黒くて、瘡蓋みたいな色やったかな」
「瘡蓋…」
「…マンちゃん、それもしかして新種の宝石かもよ?」
先程からのマンちゃんの情報と、脳内の図鑑を照り合わせても同じような物を見た記憶が全くない。
「ほんまに?」
「うん、お茶会終わったらエミさん辺りに聞いてみようよ」
「えぇね、そうしよ」
「あっ、ていうか紅茶入れるん忘れとった」
「お湯沸かしてくるわ」
「行ってらっしゃい」
【追記】
当該接触において、
両個体の情緒は安定。
特筆すべき異常は確認されず。
__ただし、
No.03-A共にNo.03ーBに結晶体の存在を知られたもよう。
今後は地下室の管理を厳重にすべき。
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.
おわり