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窓の外は、叩きつけるような激しい雨。
午後のオフィスは、低気圧のせいでどこか薄暗く、独特の静寂に包まれていた。
「……本日の業務はここまでとします。皆さん、交通機関が乱れる前に早めに退社してください」
私の指示で、同僚たちが次々と帰路に就く。
一人、また一人と人がいなくなり、フロアに響くのは雨音とPCの駆動音だけになった。
「──凛さん。もう、誰もいませんよ」
背後から低く、確信に満ちた声。
振り返ると、そこには自分のデスクを片付け終えた瞬くんが、獲物を狙うような瞳で立っていた。
「瞬くん…あなたも早く帰りなさい。……駅まで大変でしょう?」
「嫌です。……こんな絶好のチャンス、逃すわけないでしょ」
彼は迷いなく歩み寄ると、私のデスクの端を掴み、椅子に座ったままの私を閉じ込めた。
会社の、それも明るい照明の下での密着。
誰かが忘れ物を取りに戻ってくるかもしれないというスリルが、肌をチリチリと刺激する。
「……ここ、会社よ。誰か来たら……んっ、」
言葉を遮るように、彼は私の唇を奪った。
いつもより深く、強引な舌先が口内を蹂躙する。
書類のインクの匂いと、彼のシトラスの香りが混ざり合い、私の頭は急速に真っ白になっていく。
「……外、あんなに降ってるんです。…俺たちの声なんて、雨の音が全部かき消してくれますよ」
彼は私のブラウスの第一ボタンに指をかけ、ゆっくりと外した。
露わになった鎖骨に、彼は熱い吐息を吹きかける。
「……あ、……瞬、くん…だめ……っ」
「口ではそう言っても、体は素直ですね。……課長」
「こ、こんなときばっか課長呼びして……!んあっ♡」
「…エロすぎます、先輩……」
「だ、誰のせいだと…っ」
「…俺、ずっとここで、こうしたいと思ってたんです。……仕事してるあんたを、誰にも見えない場所でめちゃくちゃにしたいって」
昼間は「有能な部下」として私を支える彼が、その裏で抱いていた昏い欲望。
激しい雨音が、私たちの共犯意識をさらに煽る。
私たちは、会議室の鍵を閉め、真っ暗な密室へと駆け込んだ。
重なる吐息と、衣擦れの音。
スリルというスパイスが、二人の愛をより狂おしく、そして離れられないものへと変えていく。
雨が止むまでの数時間。
そこはオフィスではなく、ただお互いだけを求める
世界で一番甘くて危険な檻だった。
おまる