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上野文
9,610
都築七美
278
てく
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教室の窓側、一番隅になる席に何やら人だかりができている。
その中心となる席に座った人物に気がついた時、いろりの丸い目玉が落っこちそうになった。
「ひゃ…………百恋様————!!??」
「いえ〜い、久しぶりだねぇいろりちゃん! 元気元気ーぃ?」
先ほどまでの緊張など吹き飛び、開いた口が塞がらないいろりだったが、百恋は右手でピースを作りながら陽気に近づいてくる。
この学校の制服であるブレザーを着用しているが、この紫水晶のような瞳と薄紅色の長い髪は、間違いなく以前仙界でいろりが出会った恋神であった。
「どっ、どうされたんですか、こんなところで……!?」
「百恋様、行かれては嫌ですぅ!」
「百恋様、こちらに来て一緒にお話ししましょうよ!」
超絶声のトーンを落として話すいろりだったが、百恋に連なるようについて来る女子生徒たちを見て言葉を切った。
「ごめんね、この子僕の知り合いなんだ」
「えっ、知り合い? まさか!?」
「百恋様、こ、恋人がいらっしゃるんですか!?」
「違う違う、僕は永遠にみんなの百恋君だから安心し、て、ね」
裏ピースを目に当ててそう言って見せる百恋に、女生徒たちの目は完全にハートと化している。
「この子は東城いろりちゃん。僕の大事なお友達だから、みんな仲良くしてあげてね!」
「か、かしこまりました、百恋様ぁ……!」
肩を優しく叩かれながら予想外の他者紹介をされてしまったいろりは、何がなんなのかわからず、目が回りそうだった。
「いろりちゃん、ちょっと後で、話そっか?」
百恋は混迷を極めているいろりに耳打ちをし、安心させるように柔らかく微笑んだ。
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