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自分のこと、創のこと、ここまでのいきさつ全てを打ち明けた。
それはただの逃避かもしれない。きっと准も分かっていると、涼は考えていた。
外の寒さにも慣れて。話し終わる頃には閉園の時間が差し迫っていた為、遊園地から出て車に戻った。
「俺……創さんを裏切ってでも、准さんには恋人をつくってもらおうと思ってました。けど前も言ったとおり、俺は加東さんに嫉妬……ジェラシーを感じてたんです」
何故言い直したのか分からなかったが、准は黙って涼の話を聴いた。
「准さんが創さんを迎えに行った日は……あの人を目の前にしたら、頭が全然働きませんでした。俺がどう言い訳しても、准さんを混乱させるだけだと思って」
二人だけの車内は、喋っていても静か過ぎる。
「創さんの敵になっちゃうのかもしれない。けど、俺は……貴方の味方でいたい」
准は腕を組んで俯いていたが、やがて顔を上げた。腕をめいっぱい伸ばし、シートを後ろに倒してリラックスモードに入る。
「敵とか味方とか、疲れる話だよな。一回頭の中空っぽにして、肩の力抜けよ。お前はそうした方がいい」
不思議なぐらい、彼の声がすんなりと心の中に入っていく。それが涼は嬉しかった。
「多分、親御さんが亡くなった時からずっと、気を張って生きてるんだよ」
「そうでしょうか……」
「そう」
強く言い切られると否定するのも申し訳ない気になる。思わず苦笑した。
「辛い時は辛いって言って、泣きたい時は泣いて。俺のとこに来い。俺も……世界で一番、お前の味方だから」
でも、嬉しい。心強い言葉をもらった。
やっぱり助けてもらっていた。今は宙に浮いてしまいそうなほど心が軽い。
准はどこか安堵した表情で腕を頭の後ろに回し、大袈裟にため息をついた。
「でもまさか、お前があの時の子どもだったとはなぁ。……本当に同一人物か? 今は性格曲がってるし、敬語変だし、変態だし、女装癖あるし。正直ショックだね」
「味方って言っといて次の瞬間悪口ですか。やっぱり准さんはすごいです。……でも十五年経ってるんですよ。人格変わってて当然じゃないですか。貴方こそ今は仕事しかやることがない、通帳を眺める事しか楽しみがない寂しい独り身だし!」
「お前もそれ悪口!」