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「月岡さん。このコがチャビーでよろしいですか?」
「ええ。チャビーよ」
そこにいたのは僕のご主人様だった。でもいつもと様子が違った。頭と左手に包帯を巻きベットで横になっていた。
僕の入ったケージはベットの上に乗せられ、男は口を開いた。
「体は平気なんです?」
「ええ。今は元気。なによりチャビーと会えたから」
「はは。そうですね〜愛猫と会えることがなによりの幸せですからね」
「ええ」
「…一時保護でよろしいですか?元気なったら月岡さんの元へ」
「そうですね…わかりました」
「はい。それじゃあ俺は失礼するので後ほどうちのスタッフがチャビー君を連れていきますので。ああそうや。開けときますね」
そういいケージの扉を開けて男は去っていった。僕は開いた扉からご主人様の腕の中へ入った。するとご主人様は僕の方を向いて微笑んだ。そして額を優しく撫でた。そのうちに僕は久しぶりに安心感を感じた。
時間はすぐに過ぎ去った。男の言っていたようにスタッフと思われる女性が来て僕をケージの中へ入れた。その時、ご主人様は「元気でね」そういった。そして僕は朝乗った車へまた毛布の目隠しをして入れられた。朝より犬猫の数が減っているように感じた。きっと主人のもとへ帰ったのだろう。
数分後、僕らは施設へ戻った。そこで夕食を食べてその日は眠った。その日、僕は不思議な夢を見た。僕のお母さんがいて兄妹も近くにいた。僕らはご主人様の家で幸せそうにご飯を食べたり眠ったりした。それはまるで僕の幼い頃とは全く違った。
次の日、その次の日。それから僕はこの施設で数日間過ごした。ご主人様が元気になるまで。