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ずぅーと モブ視点
モブの一人称、俺だったり私だったりバラバラ
丈×光希
----------------------------- 放課後の図書室。私は資料整理のバイト中。
今日はなぜか人が少なくて、しんと静まり返っている。
そのとき、閉架書庫の奥のドアが、ほんのすこしだけ開いてるのに気づいた。
「……ん……っ……っ、バカ、だれか来たら……」
「だーれも来ねえよ。……なあ、ここ、もうトロトロしてんぞ?」
――えっ?
ドアの隙間から漏れる、押し殺したような甘い声。
そして、聞き慣れた、あの二人の名前。
学校一の陽キャイタズラ男子・丈と、無口でちょっとミステリアスな光希。
その声が……明らかに、ただの会話じゃない。
息をひそめて、そっと近づく。ドアの隙間からちらっと見えるのは……
丈が光希の首筋に顔をうずめて、耳元をぺろりと舐めてるとこ。
「やっ……ば、や、丈……っ、やだ、声、でる……」
「だーめ、我慢しろ。モゾモゾしてんのバレるぞ?あのモブ……たぶんまだ片付けしてんだろ?」
心臓が止まるかと思った。
――私のこと、知ってる!?ていうか、わざと!?
動けない。耳も目も、離せない。
だけど、光希の口元から洩れる色っぽい吐息に、
思わず手に持ってた資料を落としそうになる。
「っ……やば……っ、丈、ほんと、やだ……っ」
「かわいーな、声殺してんの……俺、興奮する」
こっちは限界ですけど!?!?(心の声)
図書室の閉架であの二人に遭遇して、
「BL本読んでた」「俺らを見てた」
って完全にバレてから、私は今――
密室に閉じ込められて、ソファに座らされてる。
前には丈と光希。向かい合って立ってる。
何が起こるか、予感はあるのに、身体が動かない。怖いのに、期待してる自分がいる。
丈が、光希の制服のボタンを一つ、二つと外す。
「ちょ、丈……っ、まじで、やんの……?ここで……っ」
『ま、待って……ほんとに……』
「だって、こいつ……好きなんだろ?“こういうの”」
丈がニヤッと笑って、光希の首筋にキスを落とす。
ビクッと震える光希の指先。赤く染まる耳。
それが、目の前、2メートルの距離で。
「やっ……あ、んっ……見てる……っ」
「なあ、見せつけられてどう?楽しい?顔真っ赤だぞ、モブ」
丈の手が、光希の腰に回る。ぐいっと引き寄せて、耳元で囁く。
「声、我慢できる?それとも、聞かせてやる?」
「ばっ、丈……っ、ばか……っ、見てる、のに……っ」
光希の吐息がどんどん甘く、熱く、蕩けていく。
丈の手は、シャツの中へ。唇は首筋を辿って、鎖骨へ。
目の前で、音まで、表情まで――ぜんぶリアル。
そして丈が、私に向かって言う。
「……なあ、もう逃げらんねぇよ。お前、俺らの“モノ”になったんだから」
密室の図書室。丈と光希が目の前でイチャイチャ、いや、モロにエッチなことしてる。
スマホは動画モード、しっかり回してる。
表向きは冷静な顔。声も出さずに淡々としてるけど、心の中はフルスロットル。
(……はあ!?今のキス舌入れてきた!?ふざけんなよ丈、もっとやれや!!)
(光希、逃げんなよ、そこで抵抗してる場合じゃねえだろ。もっと甘えてこいよ、最高じゃねえか)
(俺は何してるんだ?こんなシーンをスマホに収めてるだけかよ。もどかしい、でもやめられねぇ)
丈が光希のシャツのボタンを外しながら、じわじわと首筋に唇を這わせる。
「ほら、もっと声出せよ、モブの前なんだからな」
「……は?(無表情)」
心の中で毒づきながらも、
(あああ、もっと声漏れろ、モブの前で喘げぇぇぇ!!!)
光希の震える吐息が、画面越しに伝わってくる。
その姿に、内心メラメラと燃えてしまう自分がいる。
「おい、そんな顔してたら怒るぞ」
丈の声に、一瞬ギクッとするけど、すぐにいつものクールな顔に戻す。
(もっとやれってばよ……!!)
丈と光希が目の前で絡み合っている。
スマホのカメラは回っている。私は表面上、無表情。けれど内心はまるで花火大会。
(え、今のキス、マジで舌入れてきたよな?もっとやれよ丈、光希も逃げんなよ!)
丈が光希のシャツのボタンを外しながら、ゆっくりと首筋にキスを落とす。光希の呼吸が荒くなる。
「もっと声出せ、モブの前なんだからな」
「……は?」(クールな顔)
(ばっかじゃねぇの!?でもそんな強がりな光希、最高だわ!!)
カメラ越しに二人の甘い吐息と、光希の震える手が映る。まるで映画のワンシーン。
「なあ、モブ。お前、その顔……撮れてるぞ?」
丈の鋭い視線にドキリとする。
(いや、これ撮ってんの俺だし!撮りながら内心めっちゃ燃えてるし!)
そして、突然丈が私の肩を掴んだ。
「せっかくだし、お前も参加しろよ」
「は!?いやいや、無理無理!俺は観察役!」
(…でも、ちょっとだけ興味あるかも…)
丈は笑いながら光希にウインクし、二人はまた距離を縮める。
「まあ、今日はこれくらいで勘弁してやるよ。次はお前もな」
そう言い残して、丈と光希は私の前で絡み続ける。
(……まあ、しばらくはこの図書室から離れられなそうだな。というか、参加してたらどうなってたんだ?)
笑いをこらえつつ、私は動画の録画ボタンを切った。