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sideシャルルダルク
何故、あんな強情な態度を取ってしまったのだろうか…?
いつものように色目を使う姫や女官達にするように、甘い言葉を囁いて押し倒してしまえば良いではないか…?
しかし、あの桃の瞳を見ると、俺はいつものように言葉が出て来なかった。
口づけしたのは、好きだからだ、とその僅かな文字が言葉にならぬ。
これでは、レガットや他の男に取られるのでは無いか?
あれだけ浮名を流してきたこの俺がか…?
次に会ったら、言うのだ!
そなたが好きだと!
いいや、愛していると…
「…ダルク様!
シャルルダルク様!」
気づけば、政務室でぼーっとしていたらしく、デオスが俺に声をかけていた。
「あぁ、なんだ?
今日の書類には全て目を通した筈だが…?」
「はい。
明日のスケジュールの確認でございます。」
「明日?
何かあったか?
あぁ!
そうか!」
俺は思い出して手を叩いた。
「はい、マラライカ国の王女ヘラ様との会食がございます。
大切な外交でごさいますので…」
「分かっておる。
ヘラ王女か。
幼き頃に遊んだ以来だ。
懐かしいものよ。」
俺はそして、次の日の予定に向けて早めにベッドに入った。
隣にマリーナが居て、抱きしめる事が出来たなら…
今のところあり得ぬな…
俺は自嘲して眠りについた。
sideマリーナ
シャルルダルク様は怒って行ってしまわれた。
私が素直に、行かないで、と言って袖を引く事ができたら良かったのに…
しかし、意地っ張りの私にそんな事が出来るはずもない。
口づけを受け入れたのは、あなたが好きだからだ、と何故言えぬ?
また、ベルゼ様のように裏切られたら…
私は今度こそ、自分で自分の命を絶つであろう。
それに…
シャルルダルク様には好きなお方がおるやもしれぬ…
いいえ、もしかしたら、婚約者などが…
そんな事を考えていると、私は何も言えなかった。
その時、レガット様がお見えになった。
「どうしたのだ、マリーナ?
ひどい顔をしておるぞ?
幽霊でも見たような…」
レガット様は言う。
「いいえ、なんでもありませぬ…」
「そうか…
明日、俺と外出せぬか?
少しは気晴らしも必要だろう。」
レガット様はおっしゃる。
私は投げやりに、行きまする、と答えた。
「では、明日お互いラフな格好で出かけよう。」
「どこに行くのですか?」
「それは秘密だ。
明日10時に迎えにくる。」
そして、レガット様は私の額に口づけすると、去っていった。
レガット様を好きになれば…
こんなにももどかしい思いはせぬのか…?
だけど…
その日は結局何もする気にならずに、私はベッドで眠りについた。
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