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???「@&¥,???と??を殺@&¥&」
自分の切迫した叫びが、真っ暗な空間に響いていた。
金曜の朝目が覚める。天井が、ぼやけて揺れて見えた。頬を伝って枕が濡れている。涙だった。
理由は、なんとなくわかっていた。
夢を見ていた。誰かが誰かを一一殺そうとしていた。
でも内容はもう思い出せない。声だけが、焼きついたように耳の奥に残っている。
どこかで見たことのあるような風景だった。懐かしい、けれど怖い。そんな感覚。
顔を洗っても、喉の奥がずっとざらついている。夢の余韻が、まだ皮膚の内側に貼りついているようだった。
それでも、今日は今日として始まる。
着替えて、朝食を口に運ぶ。味がしない。
今日も仕事に行く準備をする。昨日と同じように、何事もなかったふりをして。
けれど、本当はわかっている。
ーーあの夢は、ただの夢じゃない。
「おはようございます」
玄関の自動ドアをくぐりながら、誰もいないロビーに小さく声をかけた。反射的に出たその挨拶は、しんとした空気に吸い込まれていく。
然だ。自分が一番早い。会社の鍵は、自分が預かっているのだから。
静まり返ったオフィスの空気は、まだ寝起きのように冷たかった。
でもその冷たさが、少しだけありがたかった。まだ夢と現実の境界が、曖味だったから。
会社の電気をつけ、窓を開けて換気をする。
窓から入る朝の空気が、少しだけ気持ちを切り替えてくれた。
「いつもありがとうね、朝から」
「いえいえ。好きでやらせてもらってるので」
声の主は、部長の中村さん。
穏やかで仕事もできる人一ーだが、怒ったときは一言も発さず、静かに、誰より冷たくなる。
続々と社員がやってくる。挨拶の声、コピー機の音、コーヒーの匂い。
いつも通りの朝が始まる。
けれどーー
まだ耳の奥には、あの声が残っていた。
「@&¥,???と???を殺@&¥&?」
思い出せないまま、今日が始まる。