次の日教室のドアを開けると、いつも通り席に座っているはずのナマエを探した。
……けれど、そこに彼女の姿はなかった。
(あれ?おらん、遅刻?)
まだ始業前だから、来てないだけかもしれない。そんな風に思っていた。
でも、チャイムが鳴っても彼女は現れなかった。
授業が始まり、隠岐は落ち着かない気持ちを抱えたままノートを取る。
放課後になっても、ナマエは来なかった。
気になってナマエのクラスのやつに声をかける。
「ミョウジさんって今日休みやっけ?」
すると、首を傾げられる。
「ミョウジ?誰だっけ?」
冗談かと思って笑い返すが、相手の表情は真剣そのもの。
「え、隠岐、誰のこと言ってんの?」
別のクラスメイトにも聞いてみた。
結果は同じ。
「そんなやつ、このクラスにいたか?」
「転校生? いや、来てないだろ」
心臓が冷たくなった。
だって昨日、一緒に笑い合って、ブランコに座って語り合ったのは確かに――。
(誰も覚えとらんのん……?)
頭の奥で、あのとき感じた「小4の夏から記憶が曖昧」って感覚がぶり返してくる。
曖昧にされているのは、きっと自分だけじゃない。
ナマエという存在そのものが――。
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どうやってエンドに持っていこうか悩んでいてすごく間が空いてしまった…