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美奈子と裕介の距離が一気に縮まったのは、合コン仲間の男性の誕生日パーティーの時だった。

女性陣からの誕生日プレゼントを美奈子が準備することになり、美奈子が裕介に電話で相談したのだった。


「相原さん、どんな物喜ぶかしら」


『あいつは女性陣にプレゼント貰ったらなんでも喜ぶと思うよ。美奈子さんはセンスも良いだろうし』


いつもの優しい声に、美奈子はドキドキする。


「えー。それ、プレッシャーかけてるぅ。分からないから相談してるのに」


『あはは。ごめん、ごめん。ネクタイで十分だと思うよ。無難でしょ?』


裕介も正直この年で同性にプレゼントをすることがないので、何を買えばいいのか分からなかった。


「うん。でも、好みとかあるでしょ?良かったら、一緒に選んでくれませんか?」


『僕?あまりネクタイしないから参考になるかな』


通勤はラフな格好で、学校の中ではジャージ姿なので、裕介もネクタイにピンと来ない。


「でも飲み会の時はスーツ着てるよね。志田さん、スーツ姿素敵だよ」


美奈子は本心でそう思っていた。


『本当に?お世辞でも嬉しいです。スーツ着てって良かった』


「お世辞じゃないのにぃ。あ、お買い物、付き合ってくださいねッ!志田さんに選んでもーらぉ」


どうしても裕介を引っ張り出したい美奈子は無理矢理決めてしまう。


『えー、結局僕が選ぶの?相原のために選びたくないな』


その日は1時間以上も電話で会話をした。

美奈子は裕介の声をずっと聞いていたかった。

その数日後、美奈子は裕介と銀座で待ち合わせをして、菱越デパートでネクタイを選んだ。


「やっぱり志田さんに来てもらって良かった。私、ネクタイって父の誕生日ぐらいしか買ったことがなかったから」


買い物が済んで、カフェでお茶をする2人。


「そうなんだ。あ、でもそうか。恋人にネクタイって確かに贈る機会少ないよね」


「志田さんも彼女から、ネクタイあまり貰わないの?」


もしかして恋人がいるのかと美奈子は探った。


「付き合ってる時はもらったことないかな。僕、誕生日が冬のせいか、手袋とかマフラーとか、セーターなんか貰うこと多いから」


「12月だよね」


美奈子が覚えていてくれたことに裕介は驚く。


「凄いな。もしかしてあのメンバーの誕生日、全て覚えてるの?」


「あ、うん」


本当は裕介の誕生日だけインプットしていた。


「今年もあったかいプレゼント貰えそう?」


彼女がいるのか知りたかった。


「今年はどうかなぁ。もう10月で彼女がいないんだから今年は無理かな」


裕介に彼女がいないと分かって美奈子はホッとした。


「じゃあ、志田さんの誕生日プレゼントは、私があったかい物プレゼントするッ!」


「…………えーと、みんなでくれるって、こと、だよね?」


真っ赤になる裕介。


「あのッ!…………私、そのッ」


美奈子は恥ずかしくなって俯く。


「また、2人で会いたい。です」


頬をピンク色に染め、美奈子は裕介を見ながら言った。

裕介もドキッとして、照れてしまった。

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