「カノンー。まだかー?」
遠くから男の人の声が聞こえる。
よく聞き慣れた声だ。
低いけど、心地良い。
そう。
お兄ちゃんの声。
「お兄ちゃん!すぐ行くからちょっと玄関で待ってて〜!」
「わかったー」
*******
あたしは如月花音。
中学3年生!
趣味は漫画を描くことと、歌を歌うこと!
そして!私にはチョーかっこいいお兄ちゃんがいる!
如月奏っていうの!
名前だってすっごいかっこいい!
しかも、学校では勉強ができて、スポーツ万能で、イケメンで、優しい性格だって言われてる。
もちろん女の子からもモテモテ! なんで彼女を作らないのって聞いても、今はいらないってさわやかに答える。これが、モテる人の余裕なんだろうな。
そんなことを思いながら登校の支度をする。
あたしとお兄ちゃんの学校は偶然にも隣にあって、朝は一緒に登校している。
お兄ちゃんは支度がはやくて、いつも置いていかれそうになるんだけどね。
「お兄ちゃん!準備できたよー」
「おー。じゃあ、行こうか」
ドタバタと階段を降りて玄関に向かう。
久しぶりにお兄ちゃんと一緒に登校できるのが嬉しくて、舞い上がってしまいそうだ。
久しぶりっていうのは、お兄ちゃんが家を出ると女の子達が待ってて、みんなお兄ちゃんと登校したいって言ってあたしが結局1人になっちゃうから。
でも、今日は幸い誰もいないから、お兄ちゃんと登校できる!
「いい天気だな」
そう言ってお兄ちゃんは快晴の空を見上げる。
「うんっ」
あたしは満悦の笑みで答える。
「……。お兄ちゃんは、いつも周りに人がいるからいいよねー」
あたしは歩きながらお兄ちゃんと会話をする。
「はは。俺はともかく、カノンこそどうなんだ?あんまり友達の話とか言わないような気がするが」
「んー?いるよ。沙羅ちゃんって子。すごくいい子なんだよ〜!」
「そうなんだな。カノンにもキチンと友達が……」
ハハハっと笑うお兄ちゃん。もう、あたしをからかいすぎ。あたしだって友達も、彼氏も……。
って、ううん。彼氏なんかいない。
あんないじわるが彼氏なんて絶対認めないんだから。
そして数十分経ってあたしたちは学校に着いた。
「じゃあ、また帰りな」
「うん、お兄ちゃんばいばい」
それぞれの校門の前でさよならをする。
お兄ちゃんは校門をくぐると、すぐに大勢の女子に囲まれていった。 お兄ちゃんはみんなから好かれてていいな。
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