はるみのはるずっと書きたかった サムネ?のイラスト変更あるかもです
⚠️注意⚠️
・はるみの
・人魚パロ(🐧→🧜♀️)
・キャラ捏造(メインではないが多め)
地雷さんはここで閉じてください
↓スクロールすると始まります。
みのり視点
『 MORE 』
そう言い放つと、目の前で水飛沫が立った。
パタパタと水滴が舞い、足元が濡れる。
そして、海の中からひとりの少女が現れた。
「こんばんは」
そう微笑む貴方は、輝くほど美しかった。
私、花里みのりは、現役華の女子高生だ。
今日も制服のリボンを結んで、髪を結う。 学校指定の通学バッグにスマホを放り込んで部屋を後にする所だった。
「…学校、行きたくないなぁ」
私は今、学校での人間関係で少しばかり悩んでいることがある。
あまり大げさに言えることではないけれど、同じクラスだった友達と、少しギスギスした関係が続いている。 今まで仲は良かったので、周りから心配されることもあり、少し気まずかった。
…やっぱり、単位制に移動したから、疎遠気味になっているだけなのだろうか。
そんな考えごとをしていたら、すでに5分が過ぎていた。
「やばっ!?」
急いで玄関を後にした。
「はぁ…遅刻ギリギリ…」
何とか遅刻は回避したものの、全力で走ったせいで息切れが酷かった。 朝から何をしているんだろう。私は。 明日からは登校中に考えごとをするようにしようかな…
そんなことを考えていたら、チャイムが鳴ってしまった。
一回席に座って、ひと息つこう。
昼休み。
お腹が空く時間だ。
いつものように鞄を開けて、中を漁る。
今日は校庭でお昼を食べようかな。 なんとなく外に出たい気分だったし。 お母さんが朝渡してくれたお弁当を手に、教室を出た。
「ふふっ、お腹すいたなぁ」
気分が上がっていた所で、すれ違った誰かと軽くぶつかった。
「…あっ、ご、ごめんなさいっ!」
…あ。
見覚えのある顔。
そこには、去年まで同じクラスだった女の子が立っていた。
「…みのり」
そう呼ぶ声は、決して嬉しそうではなかった。
「晴夏ちゃん…」
私も同様に、気分の悪そうな声を発してしまう。
「…っ」
晴夏ちゃんは、歯を食いしばってくるりと振り返る。
「っあ…!」
すたすたと早歩きで、晴夏ちゃんは何処へ行ってしまった。 呼び止めようとする気持ちの表れか、少しだけ前に手を出していたが、直ぐに下ろしてしまった。
やはり、諦めるべきか。
「はぁ…」
人間関係とは、どうしてこんなにも難しいものなのか。継続は難しいくせに、ガラスのように脆く、簡単に壊れてしまう。 こんな“あたりまえ”が、嫌になっていた。 もうあんなの懲り懲りだ。
帰り道。 いつもの見慣れた道を歩いていた。
今日は、本当にため息が多く出る。 いっそのこと、全て捨てて、楽になってしまえたら。 この面倒くさいしがらみから解放されれば、それほど楽なことはなかった。
どうして。どうして。
考えるばかりで、行動なんてしたことがなかった。
惨めなばかりだ。
「あ…海…」
海。
まさに、私の心を抉る風景そのものだった。クラスのみんなで海に行った日。 そんな日も、あったっけ。 私は、晴夏ちゃんと色んなことをした。 砂でお城を作ってみたり。恋バナをしてみたり。
「っ…!」
心がズキリと痛むのがわかった。
…考えないようにしよう。
「はぁ…はやく、帰らなくちゃ」
くるりと振り返り、また道を歩き始めようとした。
その時だった。
海の方で大きな水飛沫が立った。
「わぁっ!?」
バシャリと水が跳ね、私の履いていたスカートが水で湿ったのが分かった。
「えっ…な、何…!?」
何が起こったのか、一瞬理解できなかった。
が、次の瞬間、それを分からせられた。
目の前に現れたのは、澄みきった深い青色をした、さらりと綺麗なショートヘアーをもつ美しい少女だった。 その瞳は、今にも吸い込まれそうなほど綺麗で、輝いていた。
「…あれ」
開いた口から発せられる声さえも、限りなく美しく感じる。
「貴方もしかして…人間?」
「へっ…?」
ぐいっと顔を引き寄せてくる少女。 私は思わず間の抜けた声を出してしまった。
「…やっぱりそうだ! 脚、あるもんね」
「あ、あし…?」
彼女の口から出た「脚」というワードに少し違和感を覚えたが、それは彼女の足元を見るなり直ぐに打ち消された。
「えぇ!? に、ににに、人魚!?」
「あっ!声、少し大きい…」
「ふぇぁ!ご、ごめんなさいっ!」
この時間帯だから人は少ないが、誰かに聞かれていたら間違いなく頭のおかしい子と思われるだろう。 少し恥ずかしくなり、俯いてしまった。
「…ねぇ、貴方、名前は?」
唐突にそう訊かれた。
「えっ…?えっと、花里みのり、です」
とりあえず、自分の名前を答える。 すると少女は、はっと少し目を見開き、微笑んだ。
笑う姿も、本当に絵になる。
思わず見惚れてしまうほど。
「みのり…か。いい名前だね。
私はハルカ。遥だよ。よろしくね」
「はるか…?」
「…うん。遥。」
遥。
聞き覚えのある名前だった。 そう。私がよく知っている人と同じ名前。
「…どうしたの?」
「あ…ごめんね、えっ、と… 知り合いに、同じ名前の子がいて…」
「え?」
何を口を滑らせているんだ。
他人にまで言うことでは無い。 もう諦めるつもりだったのに。
「…そっか」
遥ちゃんは、そっと微笑んだ。
「私も、知り合いに『みのり』っていう名前の子がいるの。奇遇だね」
「へ…? そ、そうなんだ…」
こんな偶然あるだろうか。 私は、目の前の「遥」ちゃんのことを、もっともっと知りたいと思った。
もっと深く知って、仲良くなりたいと思った。
やっぱり私は弱虫だから、いつまでも、 心の奥底で諦めきれていないんだ。
まだ、一緒にいたいと思ってる。
そしていつの間にか私は、「遥」ちゃんを「晴夏」ちゃんの身代わりにしようとしているのだ。
「…最低だな、私」
「えっ?」
思わず口から出た言葉。遥ちゃんは、まぁ当然の反応をする。
「あっ…ごめんね!今のは気にしなくても…」
両手を胸の前で軽く振り、「遥」ちゃんに全てを知られるのを拒絶してしまった。
「……」
遥ちゃんは黙り込んだあと、口を開いた。
「私は、そっちの事情はよく知らないけど…自分で、自分のことを“最低だ”なんて責めないであげて」
優しい笑顔で発せられる遥ちゃんの言葉は、すごくすごく優しかった。 遥ちゃんは、本当に優しいな。
私は、遥ちゃんの優しさに頼り切ってしまっていたのかもしれない。
「うん…ありがとね。遥ちゃん。 私のこと、私より大切にされちゃった。 」
「…ふふっ、そうだね。 じゃあ明日から、自分のこと目一杯褒めて 愛してあげてね?」
「…うん!もちろん!」
やっぱり遥ちゃんは凄いな。 こんなに簡単に、人ひとり救えるような言葉をあげられる。
「…ねぇ、みのり」
「ん?どうしたの、遥ちゃん」
「明日も…ここに来て欲しいな。」
それは、唐突な提案だった。 遥ちゃんは優しい表情をしたまま言う。
「私、みのりのこと、気に入っちゃった。 人間にこんなお願いすることって、ないんだけどね。私、みのりともっと仲良くなりたい。」
遥ちゃんは、私の目の奥に視線を焼き付けながら、優しい声で言った。
「…いいよ。私も、遥ちゃんと仲良くなりたい。もっともっと」
「うん、私も。じゃあ、決まり。 はい、これ。渡しておくよ。」
「これって…」
「鍵。これに想いを込めて海に落とせば、 私が気付けるから。」
「想いを…?」
「うん。私と会いたいって」
「会い、たい…」
遥ちゃんの言っていることを鸚鵡返ししながら、鍵と遥ちゃんの顔を交互に見る。
「…分かった。やってみるね」
そう言って遥ちゃんの瞳を眺める。 きらきらで、澄んでいて、綺麗。
「…あ、ねぇ、“合言葉”を決めない?」
「合言葉?」
「うん。私が呼ばれてるって、分かりやすいように」
「確かに…どんなのがいいかな?」
「うーん… じゃあさ、『MORE』にしない?」
「もあ…?」
「うん。もっともっと、仲良くなれるように。」
「確かに!それにしよ!」
「じゃあ、決まり。 『MORE』って言って、その鍵を海に落とせば、私が来るから。」
「うん…分かった!」
ここから、私の不思議で面白可笑しい毎日が始まった。
「遥ちゃん、かぁ」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!