××××市××トンネル そこでは昔、小学6年生の女の子が親2人を包丁で切り刻み、遺体を放棄した悲惨な殺人事件があったらしい。また、その女の子は事件から2ヶ月後に拉致被害にあって殺されたとされる。
当時、なんで殺したのか聞いてみたら、「ママがお父さんを見習いなさいって言ってたから」と少し歪な笑みを見せながら言っていた…。その後その子の父は24歳の女性と不倫しており、その女性を殺したとの情報も入っている。また、その女の人は一時期有名だった女優だった。実際にテレビに何度かでているのを僕自身見てきている。そしてその女性が霊となってでてくる…。
「っと、トンネルの情報はこれぐらいか…。それにしても、酷いニュースだな…。これ前にも心スポとして、他のテレビ番組でやろうとしてたらしいけど、現地に行ったレポーターがトンネル内で失踪して、辞めたらしいんだよな…。」
他者から見たら異常で不気味なただの殺人ってなるけど、そこに幽霊も関わってきたら警察も霊媒師も大変だよな…。トンネルの写真と共に、そのトンネル付近にいた幽霊の絵も貼ってあった。
この絵は実際に幽霊を目撃したとされる地元の中学3年の少女 入場美香さんが描いた絵らしいな…。
丁度受験2ヶ月前の時、親からの強要で頭がいい高校に行けって言わされ続けていたけれど、さすがにストレスの限界が来て、夜中にトンネルの中で包丁を持ち、〇殺しようとした所、その女の霊が来て叫び、警察に補導された時に描いた絵だから、かなり線の歪みや、体のバランスがおかしい…。まぁ、精神が安定してないと、まともに絵はかけないよな…。
「うーん…。それにしても引っかかるなー…」
この絵なんだか、女の人よりも男の人っぽいんだよなー…。このご時世、あまり性別にとやかく言いすぎると怒られてしまうのだけれども…。でも記事には髪の長い女優って書いてあるし…うーん…。
ピロン
ディレクターからだ。 【今日行く時、雨降るらしいので、レインコートとかカッパとか持っていってください。深夜なので、足元にはお気を付けて。私は前と同じように6時頃に迎えに行きますね】
【わざわざ連絡ありがとうございます。】と送り、荷物をまとめる。今年は遅めの梅雨入りだったからか、エアコンと扇風機を消しただけで背中が少し汗ばむ。季節の変わり目を感じつつ、部屋の明かりを消し、外を出た。
切符を投入口に入れ、電車に乗る。そして気分を落ち着かせる。現地取材とは言っても、僕が今している事は霊地巡礼だ。命に関わることは無いが(多分)気味が悪い場所に入ってそれを録音したり、写真を撮ったりする為、精神的にはかなり来るものがある。だからそこ、こうゆう人がよく利用する電車を使って、気持ちを落ち着かせる。
「……ここか…」
なんとも言えない。禍々しい雰囲気のオーラを感じる…。ここに入るのか。体が拒絶している事がわかるが、中に入るという謎の使命感に脳が抵抗出来なかった。そして懐中電灯を握りしめてトンネルの中に入る。
「ぐっ……なんだよこれ…。」
臭すぎる。悪臭どころの問題じゃない。これは、本当に鼻が曲がりそうな匂いだ。前と同じような悪臭では無い。なんというか…。大分血生臭い。死体がずっとあったらしいし、そりゃあそうなるか…。うぅ…それにしても臭すぎる。まともに息を吸ったらそれこそ、死んでしまう。
「あ、写真を撮るの忘れた。戻らないと…」
そう思い僕は後ろを振り返った。すると、そこには人の姿があった。一瞬体が跳ねたがすぐに冷静になった。見た感じ、女の霊というよりかは、小さい女の子がいるという感じだった。もしかしたらここ周辺で住んでいるのかもしれない。けどこんな夜中に1人で何してるんだ…? 少し話しかけてみよう。
「ねぇ、こんなところにいて大丈夫なの?」
「うん、なつ、ままにすてられちゃったから」
「そ、そっか」
彼女の名前は岩崎菜津、少し親と口喧嘩してしまい、ここに来たという…。どうしよう。せっかくだし、ここの場所について、教えてもらおうかな。
「おにぃさんは?なまえ」
「あ、ええっと、前川陽飛っていいます。」
「あきとおにぃさんもにげだしたいっておもったの?」
「え?」
「あれ?ちがうの?だったらなんでここにいるの?」
「ここは…。どうゆう所なの?」
「ここはねー。んー…。おねがいごとをかなえてくれることころなの。」
「え?そうなんだ。」
そんな事は一切記事には書かれてなかったんだけどな。一応メモしておこう。
「だけど、おねがいごとがかなっても、トンネルからはでれないんだって」
「え…?」
「ええっとね。うーん。ここで、はなすとながくなるから、あっちのせかいではなしてあげる!」
「わかった…? てか、なつちゃんは何をお願いするつもりなの?」
「それが…まだきまってなくて、さいしょは、ままをたおしてくださいってねがうつもりだったけど、きゅうにこわくなって…はやくきめないと、コノコノサマがきちゃう…。」
「コノコノ様?」
「ここのトンネルにはいったらぜったいにおねがいしなきゃいけないの。ここに入って、15ふんたったら、コノコノサマがきて、なつたちのこと、ころしちゃうの。」
「え…。」
思わずメモを落としてしまった。トンネルに入って、10分は絶対に経っている。てことはあと5分しかないということだ。それに、さっきトンネルの中に入って感じたあの血生臭さは、ここで殺された人の血ってことか…。思っていたより、結構やばいところに来てたんだな…。
「あきとおにぃちゃん」
「どうしたの?」
「うしろ」
ゴン
ーーーーーーーーーー
「ハァ…ハァ… 」
やばい追いつかれる! どうしよう…。体力がもう底をつきそうだ。どうしよう…足の回転がどんどんゆっくりになっていく。臭いから呼吸が苦しい…。走れ、走らないと、今度こそ死んでしまう。
「ハァ ハァ ハァ…?」
きて…ない?てか行き止まり?日本人形が2個並んでる…。どうすればいいんだ?ほんとに何も分からない…。 わかった! ここから出る方法。あの絵を書いた女の子がコノコノサマと会って生きているという事は。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁあぁぁ」
僕は叫んだ。叫び散らかした。喉がやられるぐらいに。そうしたらだんだん、瞼が重くなり…。
ーーーーーーーーーー
「ハッ!ここは…?トンネルの外か…。うぅ…。頭…痛い。」
ズーンとくる痛み。吐き気もするし、筋肉痛っぽい。二日酔いみたいだ…。
「…?あれ…なんでメモ帳がここに…。」
そのメモ帳にはこう書かれていた。
あきとくんへ
メモ帳落としてたから書いておいたよ。急にあきとくんの叫び声が聞こえてきて、びっくりしちゃった。私はもうここにはいないから、遺言状?としてここに残しておくね。
まず、あきとくんがなんでここに来たのか分からなかったけど、多分、ここのトンネルに調査しに来たのかな?そう思ってトンネルのルール?おきて?見たいなやつと、菜津が住んでるところの、言い伝えを書いておくよ。
まず、××トンネルに入ったら手を2回合わせる。これで、願いますってことが神様に伝わるの。次に目を10秒瞑って強くお願いするの。これで、あっちの世界、まぁ天国ってとこかな。そんな所に行けるの。私の天国は厳しいママじゃなくて優しいママがいる世界だから。その世界に行ったの。でも、そんなの現実では無理な話だから天国に…まぁ…言葉を濁さずに言うと、自殺したってこと。そんな感じでここでの儀式は完了する。
次に15分以内に願えなかった場合ね。あきとくんと同じ状態になった時はコノコノサマがきて、その人の事を殺しちゃうの。なんでコノコノサマって言うのかは、コワイモノの頭文字と最後の文字をとってるの。だから、コノコノサマなんだって。コノコノサマは人間だった頃、凄い暴力振るわれてたらしいから、叫び声が聞こえると、人間の頃を思い出して、そいつをトンネルから追いだすんだって、最近わかったみたい。ちなみに、豆知識程度だけど、トンネルの最後に2つの日本人形があって、どっちかを、ナイフで刺すと、コノコノサマはいなくなるんだって。でも違う方刺しちゃったら自分の命がなくなっちゃうから次行くってなったら、気をつけてね。
最後に菜津が住んでる地区の言い伝えを書いとくね。ばぁばからちょっとだけ聞いただけなんだけど、××トンネルは2009年の時に、なんでも願いを叶えてくれる、素晴らしいスポットとして、少し有名だったんだ。でも、トンネルの中に入った人はみんな失踪。それが、××トンネル失踪事件なの。テレビで流れたでしょ?警察とか色んな人が入ったけど、無意味だったんだー。けど、1人だけ違ったの。それがあの中学3年生の女の子。入場美香ちゃんなの。本当に凄い大発見だよね。
まぁこんなとこかな。でも、最後に話したのが、あきとくんでよかった。御礼にトンネルの写真と、菜津の住所乗せとくね。本当に短い間だったけど、ありがとう。 〇〇〇〇ー〇〇ー〇〇〇
菜津より
「こんなびっしり…。本当にこっちがありがとうだよ…。」
朝日が昇っている。2時間程眠っていたからか、カッパを持ってきたのに、僕の服は雨水をたくさん吸っていた。ぬかるんだ土の上だったから、傍から見たら、凄い不潔そうな人だ。
「不審者って思われないように、慎重に歩かないと」
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「前川くん…。」
「はい…」
「臭いし、泥まみれだし、体の動きぎこちないし、不審者そのものだよ。ほら、タオル貸してあげるから、拭きなよ」
「あ、ありがとうございます…。あの、ディレクター」
「なに?」
「録音は出来なかったけど…でも! 凄い情報を収穫しました! 」
「そっか…それは良かった。まず、普通に帰ってきてくれたことが私としては嬉しいね。本当に前川くんがレポーターでよかったよ」
「あ、ありがとうございます…」
「ふふっ、前川くん、照れ隠しができてないよ?」
「うぅ…。これはまた恥ずかしいことを…」
「てか、情報はメモできてる?編集部とかに早めに見せたいんだけど…」
「はい、これです。」
「ありがと」
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あれから数週間が経ち、××トンネルの事が放送された。何故か分からないが、レポートする日と、放送日は絶対といっていい程、雨が降る。そしてまた、翌日に小学6年の女子1人が、何者かによって拉致されたと…。朝になると戻り、コワイモノミタを5回…。もしかしたら、コワイモノって色んなところにいるのかな…。なんだか色んな考察できそう…。
ディレクターからの仕事メールを待つ。服は捨てるから、また新しい服買いなおさないとな…。
ピロン
「あ…来た」
【前川くん、今度温泉行かない? 】
…ディレクターしれっと僕が臭いって言ってません?
コメント
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ごめんなさい5年前ぐらいにそこに生卵と菓子パン落としてきました……臭いのそのせいかも?
どきどきする