テラーノベル
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スタートーー!
ゴゴゴゴゴ……!
地鳴りが星見山全体を震わせた。
観測台の石畳に亀裂が走り、足元から小石が転がり落ちる。
「きゃっ!」
美月が体勢を崩しかける。
「美月!」
蒼真がすぐに手を伸ばし、その腕をしっかりとつかんだ。
山頂を囲む木々が大きく揺れ、鳥たちが一斉に夜空へ飛び立つ。
満月だけが、何事もなかったかのように静かに輝いていた。
⸻
崩壊
「全員、下がれ!」
黒崎が部下たちへ命令を飛ばす。
しかし、爆薬の威力は想像以上だった。
ドォォン!
山肌の一部が崩れ、岩が斜面を転げ落ちる。
部下たちは悲鳴を上げながら逃げ惑う。
「こんなはずじゃ……!」
黒崎の表情にも焦りが浮かんだ。
ファントムは山の様子を見渡し、静かに判断する。
「予定より崩壊が早い……。」
「このままでは全員巻き込まれる。」
⸻
光の地図
その時だった。
観測台の中央から、青白い光が再び立ち上る。
神崎蒼介が残した装置が、満月の光に反応したのだ。
光は夜空だけでなく、地面にも一本の筋を描き始める。
蒼真は息をのんだ。
「これは……避難路だ!」
光の線は山の裏側へと続いている。
ファントムはうなずいた。
「神崎先生は、最後まで人を守ることを考えていた。」
「この道を行けば安全です!」
⸻
写真を守る理由
美月は木箱を抱えたまま立ち止まる。
その中には神崎の手紙と、フィルム、そして記録が入っている。
「急いで!」
蒼真が叫ぶ。
しかし、美月は木箱を見つめながらつぶやいた。
「もし、この記録がなくなったら……。」
ファントムは優しく微笑んだ。
「なくなりません。」
「え?」
「記録は紙やフィルムだけじゃない。」
「あなたが覚えている。」
「蒼真さんも。」
「私も。」
「それだけで十分なんです。」
その言葉に、美月は静かにうなずいた。
⸻
黒崎の選択
その頃。
崩れた岩に足を挟まれた黒崎は動けなくなっていた。
「くっ……!」
部下たちは我先にと逃げていき、誰一人振り返らない。
「待て……!」
しかし、その声は届かなかった。
美月は立ち止まる。
「助けなきゃ!」
蒼真は驚く。
「でも……!」
「この人は敵だよ!」
美月は黒崎を見つめた。
「それでも。」
「見捨てることはできない。」
ファントムは少しだけ目を閉じた。
「神崎先生なら、同じことをしたでしょう。」
彼はワイヤーを撃ち込み、岩を持ち上げる。
蒼真も黒崎の腕を引き、三人で力を合わせる。
ゴロッ!
岩が転がり落ち、黒崎はようやく自由になった。
黒崎は信じられないという表情で三人を見る。
「……私を助けるのか。」
美月は笑顔で答えた。
「写真は、人を笑顔にするためのものだから。」
黒崎は何も言えなかった。
⸻
山頂からの脱出
四人は光の道を走り始める。
背後では観測台がゆっくりと崩れていく。
ガガガガ……!
巨大なドームが音を立てて傾き、静かに地面へ崩れ落ちた。
美月は振り返る。
「天文台が……。」
ファントムは帽子を胸に当て、静かに頭を下げた。
「長い間、お疲れさまでした。」
その姿は、まるで旧友へ別れを告げているようだった。
⸻
最後の星空
避難路を抜けた先は、小さな湖だった。
湖面には満月が映り込み、まるで二つの月が夜空に浮かんでいるように見える。
美月は思わずカメラを構えた。
カシャッ。
静かなシャッター音。
ファントムはその音を聞き、優しく笑う。
「いい写真ですか?」
「うん。」
「きっと、一番大切な一枚。」
美月は答えた。
「神崎さんや倉橋さんも、この景色を見ていたのかな。」
「ええ。」
ファントムは月を見上げる。
「だから私は、この場所を守りたかった。」
⸻
ラストシーン
遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきた。
今度こそ、本物の警察だ。
黒崎は静かに立ち上がる。
逃げようとはしなかった。
「……私の負けだ。」
彼は小さくつぶやく。
その瞬間。
白い風が吹く。
美月たちが振り返ると、怪盗ファントムの姿がなかった。
湖畔には、一枚の白いカードだけが残されている。
**『約束は果たしました。』
『また、星空の下で。』
──怪盗ファントム
美月はカードを胸に抱く。
「ありがとう……。」
夜空では、一筋の流れ星が静かに尾を引いていた。
しかし物語は、まだ終わらない。
神崎蒼介が本当に伝えたかった最後の真実は、まだ美月たちの前に姿を現していなかった。
⸻
――第八章 終――
次回・第九章「最後のメッセージ」
事件は解決へ向かうかに見えた。しかし、木箱の奥に隠されていた最後のフィルムから、神崎蒼介が未来へ託した「本当のメッセージ」が見つかる。一方、姿を消した怪盗ファントムの行方を追う美月たちは、彼が残した最後の予告状を手にすることになる――。
#デジタルイラスト
る あ 。 @低浮
209
る あ 。 @低浮
3
#クロスオーバー
紫蘭
5,220
コメント
3件
いぬ🐶さん、第八章読みました〜!😭✨ 崩れゆく山頂、光の避難路、美月ちゃんが黒崎を助けるシーン……涙腺やばかったです。「写真は人を笑顔にするためのもの」って台詞、めちゃくちゃ刺さりました…🌸 ファントムの優しい別れも切なくて、でも最後の流れ星もあって、とにかくエモすぎる…! そして「まだ終わらない」ってとこで次回が気になりすぎる!!神崎先生の本当のメッセージ、めっちゃ楽しみにしてます📸✨