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第32話 「乗り越えるべきもの」
バスケットボールサークル活動中。
「もう一本いくよぉ!」
「よーし来い!」
「そろそろ桜木ちゃんバテないかなぁ!?」
コート内に夏実の大きな声が響くと、それにつられて声を上げる男女たち。
「……」
人数の関係でチームに入らず、走り回る夏実たちを史花は見守っていた。
周りからすれば気合い充分な夏実の姿。
だが。
「……篠塚と別れた」
数日前、夏実は笑って報告してきた。
(笑って言われたら、こっちは何も言えないじゃない)
史花はボールを追いかける夏実を眺めながら、その時のことを振り返っていた。
ふと、史花の背後で気配がした。
「……桜木、何かあったのか」
ちらりと振り返ると、そこには園田悠一の姿がある。
「俺の……見込み違いだったかな」
「……」
別れてからまだ数日、夏実が京輔と別れたことをわざわざ悠一に知らせるとは思えな**********
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