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自己解釈甘々ちゅにちです
「……遅いある、」
2人分の食事が取り揃えられたダイニングテーブルでそうつぶやくのは中国。彼が待っているのはつい最近恋人に慣れたばかりの日本だ。
「すぐ帰るって言ったのに遅いある、我が迎えに行ってやるある」
中国は並べられた食事をそのままに薄手のコートを羽織り、鍵だけを持って家を出ていった。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙……終わりません。ドイツさんどうしましょう、中国さんにすぐ帰るって言ったのに終わりません!」
その頃日本は半泣きになりながら同僚のドイツと一緒に残業をしていた。
「ドイツさん?」
「………………?何か言ったか?」
鬼気迫る様子で残業をしているドイツは日本の声も聞こえていなかったようだが彼は何徹目なのだろうか、心做しかいつも目の下に見える隈がいつもの5倍は濃いような気がしなくもない。
「……いえ、なんでもないです。」
今日で何徹目ですか?と、日本は聞きたかったがそれを聞いてしまったら何故か仕事が捗らなくなるような気がして日本は口を噤んだ。
「……ん?おい日本、あそこになんか太陽が見えるぞ……」
「ドイツさん何言ってるんですか、今は夜ですよ、それにもう10月も半ばなのにこの時間に太陽が出ているわけがないじゃないですか、」
ついに幻覚が見え始めたのかと心配する日本を他所にドイツは続けた。
「いや、でも赤い……あ、赤い中に星も見えるな、俺はもうだめなのか……?」
死の前兆のようなものが見えているように言うドイツに日本は驚いた。
「え、待ってください。私にも見えるのですが!?え、なんですか!私も死ぬんですか!?嫌ですー!死ぬのなら中国さんの腕の中で死にたいー!!」
「何してるあるか。日本、さっさと帰るあるよ」
日本がその場に蹲ってイヤイヤと頭を振っていると頭上から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あれ?中国さん?なんでここに?」
「帰りが遅いから迎えに来たある、残業は終わったあるか?」
中国が、ちらりと電源が入ったままの日本とドイツのパソコンに目を向けた。
「まだ、だ」
「……ドイツもだめそーあるね、我が明日どうにかしてやるから日本帰るあるよ、ドイツは……仮眠室にぶち込んどいてやるある、感謝しろ」
そう言うやいなや中国は床に倒れ伏しているドイツを持ち上げ近くの仮眠室のベットに投げ込んだ。もちろん比喩ではない、本当にベッドに投げたのだ。
「ぐえっ……!助かった中国、感謝する……、」
中国に放り投げられたドイツはベッドに突っ伏して完全に寝入ってしまった。
「…あの、中国さん。もうちょっと優しくってのは…できないんですかね?」
「無理ある。我の優しさは日本限定ある」
ものすごく恥ずかしいことをサラッと言われたような気がするが如何せん日本も寝不足が続いていてまともに頭が働いていない。
「そんなことはどーでもいいある、帰るあるよ」
差し出された中国の手をきゅっと日本は握った。中国は少し驚いたような顔を見せたがすぐに柔らかい笑みを浮かべて前を向いた。
20分も歩けば日本と中国の家に着く。暖房も何もついてない家は少しだけ寒々しかった。繋いだままの日本の手を引いて中国は家の中に入った。そのままリビングを素通りしてベッドルームに向かう。
「……?中国さん、ご飯食べないんですか?」
「ご飯なら後でも食べれるある」
寝不足のせいかどこかぽやんとしている日本と中国は優しくベットに押し倒した。
「中国さん?」
「日本、我もう我慢できないある」
その瞬間目の前の恋人が何を求めているのか察した日本は熟れた林檎のように顔を赤くした。
「え、でもまだお風呂にも入ってないですし……」
「そんなの後でいいある、我は今日本が欲しいある」
真っ赤な瞳にじっと見つめられて日本は根負けしてしまった。
「きょう、だけですからね……」
いつもよりも働かない頭で日本はそう答えた。その次の瞬間には唇が塞がれていた。初めは唇が触れ合うだけだったがそのうち中国の舌が日本の歯列をなぞり出した。
「ん…ぁ、ふっ……ぅ、♡」
歯列をなぞられる度にぞくぞくとした快楽が日本に与えられる。上の歯と下の歯の間を縫って中国の舌が日本の舌に絡んだ。
「んんっ…は、ぁ…♡ちゅうごく、さん……♡」
「日本……」
舌を中国にじゅっと吸われて日本の腰が浮く。中国はそれを見逃さなかった。日本と中国の唇が離れて一瞬できた銀の橋もプツリと切れた
「腰動いちゃったあるな?そんなに気持ちよかったあるか?」
中国が日本に何かを囁いている、でも日本はそれに答えることが出来ない。この心地よい眠気に日本はどうしても勝てなかった。中国さん、ごめんなさい。あしたつきあいます、日本は心の中でそう呟いて誘われるがままに目を閉じた。
「……日本?にほーん?」
返事がない日本に違和感を感じてよく見ると日本はすやすやと穏やかな寝息を立てて眠っていた。
「ここまで来て寝るあるか、……まあ、疲れてたみたいだし今回だけある」
日本の横に同じように横たわった中国は日本の頬に優しくキスをして呟いた。
「おやすみ、日本」
〜END〜