skfnー「絶対に守るから」
メイン…🎼💛💚
注意書き
※ゾンビ要素あり
※流血要素あり
※死ネタ要素あり
※ご本人様とは関係ありません
それではどうぞ
〈💛side〉
💛「テクテク…今日の調達はこのぐらいと。」
調達してきたものを拠点に置くと、俺は周りを見渡す……。
その拠点はとても静かで、人の気配なんて感じない……でも、それがとても不安。だって……
💛「……俺の方が早く帰ってきたんか?」
俺の大切な彼がいないから。
💛「………まだ帰ってきてないんか?………大丈夫かな?何かあったら………」
?「もう…心配しなくても大丈夫だよ!」
💛「!、すちくん!!」
💚「ごめんね、遅くなって…ちょっと奥まで行っててさ!でも、ちょっとしか調達できなかった…」
💛「いや帰ってきただけでも嬉しい!!ギュッ」
💚「うぉっ、…そんな抱きつかれたら俺動けない…。」
💛「いいよ動けなくて、俺が守るし」
💚「俺も強いから」
💛「…あんなへなちょこだったのに?」
💚「それは半年前…!!!」
💛「ごめん冗談w、すっちーが遠征して怪我なく帰ってきてるってことはちゃんと自己防衛できてるってことだからね。知ってるよ」
💚「…ん。」
💛「だから………頼りにしてる」
💚「…えっ、」
💛「俺が背中を見せるのは君だけだから…」
💚「!!」
💛「ほら、バリケード作ろ?」
💚「う、うん!!ニコ、タッタッタッタッ!!」
💛「…わかりやすいなぁボソッ」
彼はすち。こんな日本になる前から知っている唯一の生存しているお友達。
彼とはこんな毎日から抜け出そうと一緒に志を持ちながら頑張っている仲間であり、命を懸けてでも守りたいと心の底から思っている大切な人である。
💛「……日が落ちた、ゾンビが活動し始めたね。」
💚「うん。そろそろ冬だしゾンビの活動時間も多くなってきて不安だよ。」
💛「大丈夫……とは言えないね。」
💚「………うん。」
俺達が何でこんなゾンビに怯えながら過ごさないといけなくなったのか。
約1年前、日本にとあるウイルスが生まれてしまった。
そのウイルスは1人の人間の体内に入り込み、身体の内部をぐちゃぐちゃにして、壊した。
ぐちゃぐちゃになってしまった人間は命を落としたあと、理性をなくした狂犬のように人に襲いかかった。
そして襲われた人はその化け物殺されてしまったあと、同じように化け物となってしまった。
こうなったら最後、日本にはウイルスは広まるしその化け物も増えていく……その姿はまるでゾンビのようだった…。
このままじゃ自国にもこのゾンビが来てしまうと考えた他国は日本のこの状況を蔓延させないために、日本を封鎖する政策を取った。
結果、偶然にも生き残った人たちは外部の助けもなく次々に喰われていき、そしてゾンビになっていった。
もう俺達みたいな生存者は0.5%しかいないと言われていて、あと1年も経てば生き残りはいなくなると言われてるらしい。
小さな日本では、毎日ゾンビがうじゃうじゃ湧いている。うめき声が本当に気持ち悪くて耳に残る。見た目が4体だからかグロくて吐きそうになる。虫のようにたくさんいるから目を潰して現実逃避したくなる。
でも4ぬのなんて嫌だし、こんなゾンビみたいになるのも嫌だ。
だから絶望的な状況でも、俺達2人は生きるのを諦めずに生きようと頑張っている。
💛「バリケードできたで」
💚「こっちも焚火おっけー。」
💛「うわぁ…温かい…流石すっちー火を付けるの上手いね」
💚「そう?w」
💛「うん!俺なんてまだ…」
💚「それはみこちゃんが下手なだけwほらもう寝るよ、明日は拠点移動するんだから。(薄い毛布を1枚持ってくる)」
💛「納得してないけど…まぁいいや(薄い毛布に一緒に包まる)おやすみ、すっちー。」
💚「おやすみみこちゃん。」
明日は確か拠点移動をする日。そのためにも今日はしっかり休まないと……。
そう思っていた矢先……
💛「スヤァ……スヤァ……スヤァ……」
💚「ぅ………うぅ……あぅ……ハァハァ」
💛「……んん、…すち、く?」
💚「ウッ……オエェェ!!!!!…ボタボタ」
💛「!?…すちくん!!」
💚「ハァハァ…ハァハァ…ウッ!?オエェェ!!!!」
💛「サスサス…!」
すちくんが寝てる途中に吐いてしまった。幸運にも日が昇ってきてる時間帯だったからゾンビはもう居なかったけど、急に体調を崩してしまった点は安心できない。
💚「ハァハァ………ハァハァ……(横向きに倒れる)」
💛「すちくん!大丈夫!?……どうしたの!?」
💚「ポロポロッ……みちゃった……ゆめ…みちゃった。」
💛「!!………苦しいね、辛いね…思い出すだけで……」
💚「…ポロポロッ」
💛「……明日にしよう?拠点移動は…」
💚「グスッ…うん、ごめッッ…」
💛「いいよ、体調が第一だから…。」
💚「………」
💛「(やっぱり、俺みたいにきっぱり切り替えることなんてできないよね)」
すちくんが体調を壊した原因。それは今は亡きメンバーの夢を見てしまったからだ。
そのメンバーたちとは、元々俺たちと一緒に生き残ろうと頑張っていた人たちだ。
でも、みんな…4んじゃった。
いつも勇敢でかっこいい彼は、俺たちを生かすために囮役としてゾンビの群れに単身で突撃しに行った。
いつも明るくて可愛い彼は、怪我して帰って来たある日、装備している武器や防具を全て置いて「ちょっと散歩してくる」と笑顔を残して消息を絶った。
いつも強くて頼りになる彼は、メンバーを庇った反動でゾンビの攻撃を受けて倒れてしまい、俺達に逃げるよう促しながらゾンビに囲まれてしまってた。
いつもメンバー思いでしっかり者の彼は、メンバーが消えてく辛さと庇われてしまった罪悪感に蝕まれて、「ごめんね」という言葉を残して自害した。
俺はもうみんなの声も顔も姿も思い出すことができないぐらい、きっぱり切り替えることはできているけど……仲間思いなすちくんは完全に忘れることができなかったらしい。
こうなってしまった以上は、しばらくはメンバーのことを引きずるかもしれない。
💛「トントン………」
💚「?……みこ、ちゃ……。」
💛「俺が………君を守るから、だからもっと無防備に俺に委ねていいよ。」
💚「!」
💛「すちくんの苦しみを理解することはできないかもだけど…辛い心に寄り添うことはできる。」
💛「気を遣わずにもっと休んで?君は俺の大切で大切で仕方ない人なんだから、休んで回復してもらわなきゃ…俺が逆にすちくん心配しすぎて体調崩すかも!」
💚「w…そう……ありがとう。」
💛「……もうこんな苦しい思いはさせない。君を必ずこの地獄から抜け出させるから」
💚「……約束、ね…?」
💛「うん」
💚「ふふ…頼もしい…な。………少し肩借りていい?」
💛「うん」
💚「コテン…………スゥ……スゥ…」
💛「……ギュッ…」
でも、そのために俺がいる。引きずるメンバーのことも全部俺が傍で支えてみせる…
俺達は挫けそうなことを2人で乗り越えてきたんだ、今更こんなことで助けれなきゃ本当の仲間じゃない。
安心してすっちー…。俺はずっといるからさ。
ー2日後ー
💚「おし!行こみこちゃん!」
💛「大丈夫?もう歩ける??」
💚「大丈夫だって!……まぁまだ銃のAIMは悪いけど、そこはみこちゃんが守ってくれるんでしょ?」
💛「!…うん!!」
💚「ニコ……じゃあよろしくね、俺は目的地までのルート探索しながら移動するから!」
💛「任せて!!」
俺とすちくんは意外にもサバイバル力という面では高く、相性もいい。
俺は猟師の親を持っていたから銃・ナイフの使い方や近接の心得えがあった。そのためゾンビとの戦闘もなんなくできた。
すちくんは身体が弱くて戦いは苦手だけど頭が非常に良くて、場面によって自分の知識を活用していた。特に地理については日本全て覚えているらしく、マッピングが凄かった。
こうやってお互いの弱点をカバーするような完璧なペアになっているため、大体どんな事があっても難なく進むことができる。
そんな俺らは今、ある目的地に向かっている。そこは森の奥深くにあるところでとても危険。だって、森は火が通らない分ゾンビが燃えないんだ……だから日中でもゾンビがうろちょろいるからつくまでに一苦労。
でもその危険を承知しても行く必要があるがそこにある。…………っていってもすちくんがそう判断しただけだから俺は何も分からへんけど…。
💚「………ここ、だね」
💛「大きな……建物だね。」
💚「この施設に俺らが求めている物があるかもしれない…。」
💛「……この大きさ、ハイペースで探索しないと日が暮れるまでに拠点に帰れないかもしれないね」
💚「うん……それにこの建物見た感じ窓ないから、中にゾンビがたくさんいると考えたほうが良い。」
💛「……はぁ、嫌になるなぁ…まぁ頑張ろうすっちー!!俺が守るから!」
💚「……いや、守らなくて良い」
💛「えっ?」
💚「別行動で探索しよう」
💛「!?、だめだよ!まだ体調が……」
💚「大丈夫大丈夫!ここまでの道のりで大体落ち着いたから……ね?」
💛「…………そうが言うなら…。」
💚「ニコ…ありがと、それじゃあ行こっか」
💛「………うん。カチャ(銃を構える)生きて帰ってきてね…」
💚「もちろん!!」
タッタッタッタッタッタッタッタッ…!!!!!
💛「タッタッタッタッ……俺は1階の探索、すっちーは2階の探索、早くここを漁らないとなぁ…」
ゾンビ『ア”ァ”アァ……ドロドロ』
💛「邪魔バン!!!バンバン!!!シュッシュッ!!!」
ゾンビ『グチャッ!!!………』
💛「タッタッタッタッ…(まだまだ大量のゾンビ、これは堪えるなぁ)」
ー数時間後、集合地点ー
💛「…ん〜………収穫といえる収穫はなかったなぁ…目的のものも見当たらなかったし…。2階にあったのかな?」
💚「みこちゃ〜ん!!!」
💛「あ、すち………うぉ……服めっちゃ汚れてるよ。」
💚「みこちゃんブーメランだよ……っていいんだよそんなことは!!」
💛「…?」
💚「ほら見て!!これ!」
💛「!うわぁ…これすちくんが探してたものやない?」
💚「うん!!このパーツが欲しかったの!!」
俺達がずっと欲しがっていたパーツ。
それはヘリコプターの一部のパーツだった。
俺達は前に言った通り生きようと必死にもがいてる人達。でもこの日本内でずっと生き残るのはほぼ不可能に等しいとすちくんが結論を出してしまった。だから俺達はその線を捨てて別の線で生き残ることにした。
そして出た第2の案が「日本からの脱出」。
空を飛べるものを使い、壁を越えて他国に避難するというものだった。
日本という地獄を変えられないなら、地獄から抜けるしか方法がない。
他国はウイルスが漏れないように隔離を必死に頑張っている。だからこの日本から抜けたら、安泰だろう。ただそこまでの道のりがでかすぎるけど……
けど、俺達はその道のりのラストまで来たんだ!
少し前に、古い2人乗りのヘリコプターを別のところで見つけた。かなり古いけど、点検したら動かせるみたいで、これを使えば出れると言っていた。
ただ、パーツが足りないところがあるからそのパーツを探さないといけない。
俺達はパーツを探しまくって、探しまくって…………探してたラストのパーツがこれってこと。
これで全て必要なものが揃ったし、後は取り付けて…動かせることを確認できたら、抜け出して終わり。
…………因みにヘリコプターの運転はすちが把握してるらしいからすちがやってくれるらしい。本当に知識のレベルが高すぎる。
💛「すごい!流石や…!」
💚「もうこれで完璧だよ!!」
💛「……あと少しなんやね」
💚「ようやく叶うよ!俺たちの目標が!」
💛「そうだね…あと少し頑張ろう!!」
💚「みこちゃんの方はどうだった?」
💛「俺、めぼしいものはなさそうで……あ、でも…何か凄そうだから持ってきたものはあるよガサゴソ」
💚「凄そうなもの?」
💛「これ!」
💚「!?」
💛「何か…注射器に液体が入ってるやつ、すっちー賢いから何かわかるかなって思って」
💚「……………」
💛「……すっちー?」
💚「…………これ本当にここで見つけたの?」
💛「え、うん」
💚「これ以外にこういうものなかった!?」
💛「えっ!?…う、うん…これだけ、あとは……全部注射器壊れてて」
💚「そっか……頑張って、抗って、残してくれた人がいたんだね……」
💛「………すっちー、さっきから何を…」
💚「……みこちゃん、これ……」
ゾンビウイルスを殺す薬だよ。
💛「それって…」
💚「分かりやすく言うなら…身体に入ったゾンビウイルスを壊す薬」
💛「!!………そ、そんなものがここに、何で?」
💚「何でか分からない……でも、この薬って作る難易度は普通の薬に比べて比にならないほど難しい…。」
💛「(すっちーが言うのなら、これは相当凄い薬なんやな)」
💚「……そんなものを手にできていることが奇跡に近い。これは大事にしないと、使い所を間違えないように」
💛「そうだね、これさえあれば…1回命を救えるんだから。使い所は大事だよ。」
💚「………ここの場所、大当たりだね。」
💛「うん、すごい収穫だった!」
💚「……明日からが正念場か……。」
💛「大丈夫!俺たちなら行ける!」
💚「!………うん!!」
💚「………ところで今何時?」
💛「……えっと………17時や…!!」
💚「じゅうひちじ?……ゾンビ活動時間帯は」
💛「18時の季節によって誤差プラスマイナス1時間ぐらい」
💚「みこちゃん急ぐよ〜!!!💦タッタッタッタッ」
💛「うわぁ置いてかんといて!💦タッタッタッタッ」
💛「なんとか……ついた……。」
💚「バリケードギリギリだったけどね…本当に」
💛「まぁでも間に合ったから!セーフ!」
💚「みこちゃん途中で焦りすぎてやばかったけどね」
💛「うぐっ……」
💚「ww…嘘だよ」
💛「むぅ……」
💚「あぁ、でも……そのお詫びとして今日のご飯担当変わってほしいかも」
💛「?………どうして…?」
💚「これからの作戦立てを今からするから」
💛「……分かった、それなら俺がいくらでもやるから!」
💚「ふふっありがとう」
💛「いいよ」
💚「………(考えるポーズ)」
💛「(…次はどんな感じになるのかな)」
次の作戦を考えるために、静かな拠点の端っこに行き集中力を高めている。
あのモードのすっちーになると、外部からの情報は一気に遮断されて目の前の資料たちにのみ標準を合わせ効率と最大限の結果を求めた作戦を1から立てる。
この状態のすっちーと正面で対等に話し合える人はいないとすら思っている。それぐらい口と頭が回り回ってどう頑張っても話についていけなくなるから。
でもだからこそ、すちくんの作戦は絶対に成功するという安心感がある。
今までたくさんの指示を俺に出しては成功してきてる。そして必ず今必要としているものを得ることができる。
💛「どんな作戦が来ても俺はすっちーの指示に従う。だってそれほどの信頼があるから……」
💚「……ピタッ………えっ?」
💛「?……どうしたの?」
💚「どうしたのはこっちだよ?いきなり…変なことを言って」
💛「あ、ぇ?……もしかして、心の声漏れてた?」
💚「…………うん。」
💛「////…恥ずかしい。」
💚「ww……可愛いな」
💛「うるさぃ!」
💚「wwwwww」
💛「………………」
今笑ってるけどさ…………
すっちーの作戦が信頼できるのは全部本当なんだよ?
本気ですっちーの作戦に命をかけられるんだよ?
それは普通のことではない。君がすごいからできてるんだよ?
だからさ……………。
💛「もっと自分の考えが正しいって信じてあげてよ」
💚「………急になに?」
💛「今回の作戦、すっちーにしては難しそうな顔してたからさ。少しアドバイス…みたいなものをしよっかなって…まぁ素人の俺が何言ってんのって思うかもだけどw」
💚「……」
💛「すっちーの思ってることは全部正しい、それを俺は知ってるから……すっちーの作戦を断る気なんかないしなんなら乗り気。」
💚「……何を言いたいのかさっぱりなんだけど……?」
💛「……なら、直接的にいうよ。」
💛「俺の安否なんて考えないで」
💚「!!」
💛「……図星かな?珍しく焦ってるねすっちー?」
💚「な、……っ……」
ずっと見てきたから知ってるよ。
君は身内にはとことん甘い。じゃなきゃメンバーのことを引きずることなんて絶対ないから。
今は…俺しかいないけど、俺を利用するような作戦は絶対に考えないしなんなら自分を使うような作戦を立てる。
そこのところずっと引っかかってた…。
どう考えても駒として使うなら俺のほうが適任、俺の方が動けるし強いし持久力もある。
でも…わざわざ俺のためだけに自分の命をかけるような成功率の低い方を毎回選ぶんだ。
💛「今回が多分ラストの作戦。もう妥協しないで……成功率の高いやつを選ぼうよ。」
💚「……でも」
💛「……2人の目標はもうすぐそこなんだ。我儘なんて言ってられない…使えるものは使っていけ。」
💚「ビクッ…」
💛「その身内に甘い考えは良くないよ。」
💚「……………クシャ、ごめん作戦考え直す。もう1日ほしい」
💛「いくらでも待つよニコ」
それが俺のために、君のためになるなら…
何日でも待つ…君の選択に疑いなんて持たないよ。
〈💚side〉
目の前に大きな白紙を展開して、もう1回作戦を考える。
ふと視界の端に映った金色の髪に、視線を移す。普段は視界に映ってもなんとも思わないのに……今は変な気持ちだから、集中できない。
💚「(ちょっと休憩するか………)」
壁に腰掛けて、俺はみこちゃんを眺めた。
金髪を靡かせて背伸びする君、その姿はとても隙だらけで俺が背後から刺しても気づかなそう。
……さっきまで鋭い目線で俺に物申してきたのにね。
💛「俺の安否なんて考えないで」
いつもの温厚な君じゃ考えられないくらい強い言い方だった。
なんでそんなこと言えるんだろう。怖くないの?4にたくないんじゃないの?だからずっと…生き残ろうとしてたんじゃないの?
なのに…自分が危険になるようなことをポンポンと言って……一体何がしたいのか。
でもそんな君がかっこいいよ。
俺にはない良さを全て持ってる君は、間違いなく俺の支柱だ。
次で…最後の作戦になる。この作戦は必ず成功させないといけない。
みこちゃんが言ってくれたこと…みこちゃんが思ってること…みこちゃんがぶつけてくれたこと。
全部を合わせて、最高の作戦を作る!!
そして、抜け出すんだ!一緒に!!
💚「カキカキカキ…カキカキカキ…」
💛「お、……書き始めた」
💚「カキカキカキ…カキカキカキ…」
💛「目がガンギマってる…徹夜確定コースやん…」
💛「(流石に俺だけ寝るのは失礼よな?俺も起きといたほうが………)」
💚「カキカキカキ…ピタッ…みこちゃん?」
💛「ビクッ、は、はい!」
💚「ww…そんなかしこまらなくてもいいのに」
💛「い、いやぁ〜……んで!どうしたの?」
💚「……今まで…俺のこと支えてくれてありがとね」
💛「………」
💚「身体面も精神面も…俺は脆かった。」
💚「…ハァハァ…ハァハァ…ハァハァ…////」
💛「熱…熱!……どうすればええんや!💦」
💚「…みず…ほしぃ//」
💛「お水!!分かった待ってて💦」
💚「(…俺が、身体弱いから…)」
💚「ぅ……オェエエエ!!!!…ゲボッ!!ゴボッ!!!」
💛「サスサスサスサス………」
💚「ハァハァ……ハァハァ………ぅうっ!?…クラッ」
💛「ガシッ!…意識は持って!すち!!」
💚「ポロポロッ…くるしッッ」
💛「辛いな……」
💚「(…みんなの…顔が……顔がっ)」
💚「そんな俺に最後までついてきてくれてありがとう。」
💛「………」
💚「きっと次の作戦で最後だからさ、お礼…言いたくて」
💛「…………」
💛「何言ってるの。」
💚「……えっ?」
💛「……その言い方…嫌い。」
💚「え、えぇ?ごめん……何か悪…かった?」
💛「だって…その言い方だと…まるで…」
💛「これからは離れ離れみたいじゃん。」
💚「!」
💛「俺はこれからもすっちーを支えるつもりだし、離れるつもりない。それに他国に行ったからって安全とは限らない!」
💚「……まぁ、そうかもだけど…みこちゃんは、もう好きなことして」
💛「これが好きなこと!!すっちーといることが好きなこと!!」
💚「………?…理解できないよ?俺みこちゃんに迷惑しかかけてないのに」
💛「迷惑…?むしろ俺が迷惑をかけてるのに」
💚「えぇ?」
💛「だって…すっちーの頭の良さと回転の速さ…作戦を立てる上手さ…全部頼りっぱなしやで?」
💚「でも!それ以上に俺……」
💛「むぅ…もうめっ!!バシッ!!(チョップ)」
💚「いてっ……」
💛「…迷惑をかけ合ってるってことでいいでしょ?……そんな負い目感じないでさ、もっと…楽にいこうよ。………何かあっても絶対に守るから!!」
💚「!!!」
💛「はい、この話終わり!これ以上掘り返すなら次はデコピンするよ?」
💚「…………」
💛「わかった?」
💚「…………」
💛「……す、すっちー?」
💚「……やっぱり…かっこいい。」
💛「うぇ?」
💚「ん、いや…な〜んでも。それより多分明後日作戦決行するから…それまで休んでて」
💛「でも……」
💚「大丈夫。今回みこちゃんに負担結構かけるから、逆に休んでもらわないと困るんだけど?」
💛「!!…おっけ!じゃあ休んでおくね」
💚「うん」
💛「…すっちーも徹夜は辞めときなよ、おやすみ」
💚「…おやすみ」
💛「テクテク…」
💚「……はぁ…また救われた。」
💚「絶対抜け出そうね。」
ー明後日ー
💚「作戦できたよ〜」
💛「おっ!ついに!」
💚「それじゃあ発表するね、気を引き締めて。」
💛「………うん。」
💚「今回は前に見つけたヘリコプターのところへ向かい、そこでヘリコプターを使って抜け出すのが最終目標。」
💛「うん」
💚「でもそのヘリコプターは、とても古くて部品も一部欠けてるという最悪すぎる状態、ガソリンはたまたま現場に大量にあったから大丈夫だけど…部品の方はやばい。そんな状態で飛ばすことはまず無理だし、運転なんてもってのほか。」
💚「けどこのヘリコプターを使って脱出する他に俺たちの未来はない。だから、この古いヘリコプターを俺たちは修理して、運転できる状態まで戻さないといけない。」
💛「それは…どうするん?」
💚「俺が部品を付け替える。でも、初めてで時間結構かかると思うし、ガソリンも入れなきゃだから、その時のゾンビからの護衛をみこちゃんに任せる。」
💛「!…任せろ!」
💚「ヘリコプターの位置は日が当たらないから、ゾンビ結構いると思う。だからもしキツかったら正直に言ってね…いつでも撤退するから。」
💛「おっけー…」
💚「なるべく早めに終わらせたいけど……自信はあんまりないから。」
💛「そっか…!無理しなくていいよ」
💛「俺がしっかり護衛するから、修理に集中してな!」
💚「うん!…俺も銃は装備して出来る限りは倒すから…2人で頑張ろう!」
💛「うん!」
💚「それじゃあ……行こっか。」
💛「……そうだね。日も昇ったことだし…ヘリコプターへ行こうシャキン(ナイフを両手に構える)テクテク…」
💚「……カチャ(銃を仕舞う)テクテク…」
さぁ…始まる作戦。ここで決まる俺たちの未来。
全力をかけて挑め…!弱い自分に負けずに…強い彼に甘えずに!!
このゾンビの世界から生き残るんだ!!
〈💛side〉
💛「ヒョコ」
💚「ヒョコ(上に重なる感じで)」
💛「ゾンビは……10体か。」
💚「まず俺たち2人で倒そう。できるだけ音で引きつけないようにナイフで…」
💛「おっけー、なら俺が先陣切るからすちくんは俺のアシスト頼むわ」
💚「了解…」
💛「ザッ!!ザクシュ!!!」
ゾンビ「ギャアァアァァァオォウ!!!!!!」
💛「…汚い声……。」
ゾンビ達「ゾロゾロ」
💛「ザクシュザクシュ!!!!」
ゾンビ「ゥオゥオアァアア!!!!(襲いかかろうとする)」
💛「チラッ……ゾンビって本当に知能ないね」
💚「ザシュ!!……シュパン!!」
ゾンビ「ギャアアアゥオゥア!!!!!!」
💛「2人おるんなら2人とも警戒せな」
💚「みこちゃん前」
💛「ザクシュ!!!…知ってるよw」
💚「ならそんな余裕かまさないで!!💦」
💛「ごめんw…2人での共闘が楽しくて」
💚「もう………」
💚「こんなもんか」
💛「おし…ならすち!!」
💚「うん…部品とガソリンやるから…よろしく」
💛「…うん!」
💚「カチャカチャカチャカチャ…」
💛「……(警戒する)」
俺に課された使命。それはすちを護衛すること……すちがいなくなれば俺達の命の手綱も俺達の希望もなくなる。だからこの使命には命をかけなければいけない。
警戒を怠るな…ゾンビは油断すればすぐに足元をすくわれてお陀仏。俺しか守れないなら、俺が360度担当する。
💚「おし…ガソリンは入れ終わった…後は厄介な部品の方をしないと…」
💛「…おっけ」
💚「カチャカチャ……おし、ここか…錆びてる部分。……ここをこうして……あとはこの部品を2個嵌めれば」
『!?!?』
💚「やっばっ!……音がっ…」
💛「すち!音抑えれない!?」
💚「無理…かも。錆を取ってからなら…だけどそれだと時間がかかりすぎる。」
💛「今の音の範囲だと…!!」
ゾンビ達「ゾロゾロゾロゾロ」
💛「………やっぱり来たか…」
💚「ご、ごめん…」
💛「すちのせいじゃない。錆のせいだから…シャキン……すちは修理に集中して…。」
💚「う、うん………………」
💛「カチャ………(銃を構える)」
この量…銃で殲滅するしかないか。
でも銃を使えばより遠くのゾンビまで音が届いてしまい、そのせいでゾンビたちがわらわら来るだろうね……
けどもう選ぶ手段なんてない、ゾンビが大量に来た今……殺すのが俺の使命であり引き付けるのが俺の役目!
💛「バン!!!!」
💚「!!……チラッ……みこ…ちゃ…」
ゾンビ「グチャ……バタバタ…。」
💛「こいよ……すちには行かせないから」
💚「…っ…ギィイッッッ!!!!!………っ…ふん!あと少し耐えて…みこちゃん!」
💛「余裕……逆に俺が全員殺すから、ゆっくりでいいよ」
💚「…………すぐ終わらせるから!!」
💛「………」
チラっとすちを見る。
厳しい表情、震えてる手、安定しない体幹、荒く吐く息………かなり焦ってる……
また、自分で自分を追い込んでるじゃん。折角喝入れて俺にも負荷かけてねって言ったのに……どれだけ言ってもすっちーはすっちーのまま、優しすぎる君なんだね。
💛「(そんな君が…1番俺視点、怖いけどね。)」
〈💚side〉
想定外な展開に、頭も身体も追いつかない状況だった。
俺が真っ白な頭がハッと現実に引き戻されてたのは、みこちゃんの銃の音が耳に入ったときだ。
銃を使うのは最終手段、元々戦闘力も俺に比べて段違いなみこちゃんはナイフだけでもゾンビをなぎ倒すのは容易。それなのに、銃を使う選択をしたのはそれほど今の状況がピンチなんだろう………。
きっと長くは持たない、どんな戦いのエキスパートでも体力という有限の力がある限り、いつかは力尽きるもの。
俺だ……俺がこの先の運命を握ってる。早く終われば終わるほど生き残れる可能性があがって、遅ければ遅いほど俺やみこちゃんが追い込まれていく。
急がないと……やることをやらなきゃ…
💚「はぁ………はぁ……ギィイッッ!!!!……」
💛「バンバンバン………!!!!!…カランカランカラン…」
💚「ギィイッッッ!!!!!……ギィイッッッ!!!!!……」
💛「…ザッザッザッ…っと……ふぅ……」
💚「!…みこちゃん!?大丈夫!?」
💛「大丈夫…集中していいよ、ゆっくりね」
💚「……っ………」
大丈夫…嘘つかないでよ。
集中…出来るわけないでしょ。
ゆっくり…ふざけたこと言わないで。
大切な人の強がる姿が1番怖い。仲間の痛々しい傷が1番辛い。傷つく君の顔が1番苦しい。
そんな一歩手前の君が言うなんて、説得力ないよ。
早く、解放してあげなきゃ…俺のために、彼のために…
手が痛い…全身張り詰めた感覚が辛い…頭痛がすごくて、それと同時に目眩もしてくる。
心の中は最悪。痛みと恐怖に支配されながら、早くやらなきゃという焦りを必死に作り出して、何とか身体を動かしてる。
あぁ…もう何が何だか分からない、最後の最後でこうなるの…俺はおかしくなっちゃったの?
ねぇもういいでしょ、2人とも頑張ったんだよずっと。報われたって罰は起きないよ。
だから……早く…終わって……終わってよッッ…。
💛「!!…今の音」
💚「…終わった、終わったよ!みこちゃん!!修理終わった!!後は…飛ぶだけだよ!」
💛「!…やった…っ…」
ゾンビ「グワァッッ~~アァア!!!!!!!」
💛「バン!!!!……カラン…おし。」
💚「おいしょ、早くみこちゃん!!こっちへ!!」
身体に張り詰めてた焦りと恐怖から解放された。
完全に有頂天で、気分が高いことを実感した。
もうここに乗るだけで、全てが終わる。
どんな過酷な環境も抜けて、失うものも多く出したこの目標も…ついに達成する!
夢が叶う…2人で生きられる!!!
あと少し……あと少し……ここで!
💚「みこちゃ((」
💛「すちッッ!!!!!!」
その大きな声とともに…俺は後ろからの衝撃を感じた。
後ろを振り返ると、居たのはゾンビ。
そして、そのゾンビの手には鋭く尖った爪に俺の血がべっとりついており、その事実を理解した途端…背中にとんでもない激痛が走った。
💚「がッッ!?………あぁああぁっっ!!!!」
💛「すちっ!!…バン!!」
ゾンビ「グシャ……バタッ…」
💛「こいつッッ!!……すち、大丈((」
💚「!!」
銃声で顔を上げると、映ってたのは銃を持って俺の心配をするみこちゃん………
そして、そのみこちゃんを背中から奇襲をしようとしていたゾンビだった。
💚「っ!…みぃっ、〜〜」
💛「ぇ………っ!?!?!?……がぁッッ!!バタッ…ハァハァ……」
💚「みこ………ちゃ…ポロポロッ…」
腕を引っかかれ、その反動で倒れるみこちゃん。
何とか駆け寄ろうと身体を動かそうとするも背中からの激痛で少しも動かせない。
ナイフも銃もあるのに………抜き出せない。助けることも…できないなんて……
あぁ……ここで、終わるのか
いやだ………いやだ……ここまできたのに…
あと少しだったのに……こんな……不意打ちで…やられるなんて…
俺が………油断したからだ……。
俺が……攻撃受けなきゃ……みこちゃんも倒れなかった…こんな結末ならなかった。
……何だよ、結局全部俺のせいじゃねぇか
💚「………ッッ…(瞼が下がっていく)」
ごめんね……ごめんね……おれのせいで…おれの…せいで……ゆめ……かなえられなくて…
さい…ご、まで………めいわく…かけ、て……ごめっ……ね……。
?「ーーーー!!!!!」
?「ーー!……ーーーーー!!」
?「ーーーー!ーーーー!」
?「ーー………ーーー…!」
………………ん………
?「ーー!」
なに…………か……きこ…え、て…………
声…………?
?「!ーきーー!!」
?「ーーか!」
誰かの…声が聞こえる。1人じゃない複数人の声…。
でも、すごくノイズがかかってて何も聞こえない。
?「ーーーまーすー!」
?「みーーゃーーーーーーー!」
?「ーち……ーーーーーら。」
?「がーーーて。ーー」
いっぱい………喋ってる。
きっと…何かを伝えようと必死に喋っているだろうな。でも、全部ノイズで聞き取れない…分からない…
?「ーーーーない?」
?「!!……ーして!」
?「ーー!」
?「ーーーーーな!」
?「ーー!?!?」
?「ーっー!💦ーはーー!」
この人たちは何をしようとしてるの?
ノイズ、ノイズ、ノイズ、ノイズ………
うるさい………やめて。
俺はもう4んだんだ。4後までこんな気持ちにさせないで……
最後に自分の弱さに負けて、仲間を殺してしまった馬鹿にすぎないからさ…そんなやつほっといてよ…
終わった存在である俺に構ったところで生まれるのは苦だけ、負だけ、絶望だけ…
君たちも俺に関わろうとしたら、辛くなるよ?だって俺が不幸にさせてるから…
だから………さ、もう俺に何かするのはやめてよ。
?「ーれー!!!」
?「ないー!」
?「ーー!!」
頭の中で大きな音が鳴る。
?「あーあー…おっ!聞こえた!!」
?「やった!成功した!!」
?「こんなこと初めてだから疲れた」
?「はぁー……まじでだるかったわ」
それと同時にノイズがなくなり、透き通った声が聞こえてきた。
声の数は4人……みんな若そうな声で、どこか安心する声。
どっかで聞いたことあるかなって思って考えてたら……
?「じゃあこの状態にできたことだし…アレやって俺らは去りますか」
?「だな。」
急に誰かがそう叫びだした………思いもよらなすぎてびっくりしていると…
ズキッ!!!ズキッ!!!…と頭に痛みが襲いかかってきた。
?「……本来ここは天国への道なんだけどな、ここの扉は俺らがもう閉じちまって行けねぇんだ。てことで、おかえりくださーい。」
?「……現世へね」
?「きっとその痛みが収まってきたぐらいに、気づいたら現世に戻ってると思うから」
…………はっ?
俺にどんでもない事実を叩きつける。
俺を現世へ…戻らせる…だと?
ふざけるな……ふざけるな!俺はもう終わったって言ったじゃん!!何もできなくて弱いどうしようもない人だって!!何で……戻らせそうとしてるんだよ!
?「…………」
何でわかってくれないの!?何でそんな身勝手なことをするの!?何でその選択を選んだの!?
俺にそんなことする必要………ッッ!!
?「あるからやってんだよ…」
……え、………?俺の声に答えてきた?
…もしかして俺の声聞こえるの?
?「うん、全部聞こえてるよ」
……じゃあ今までのも聞こえてるんだ。
?「もちろん」
……じゃあわかっていながらやってたんだ。
何でこんな事するの?何もしないで欲しいのに……何も関与しないでほしいのに!
君たちは何も俺をわかってないくせに……勝手なことしないで、それは迷惑でしかないんだよ!!
?「………気持ちまでは俺たちも、分からないよ。でも………」
?「君には…戻る必要がある。」
意味……?だからそんなのないって…言ってるじゃん。
?「……君にはなくても、
“彼”にとっては必要すぎる存在何だよ。」
彼にとって……………??
?「タイムリミットだ……行ってこい。今度はちゃんとやってこいよ…後悔なくな」
ズキッ!!!ズキッ!!!ズキッ!!!ズキッ!!!………っ
あがっ!?……あぁ……ぐぁっあぁ!!…
あ……………あ……ぁ………………____
?「…頑張ってこい、すち」
?「生きてね…すっちー」
?「お前は強いからな…信じてやりきれよ」
?「すち……約束、果たして来いよ」
……ちく…!……くん!すちくん!!
💚「…………ん……」
💛「!!すちくん………良かった……良かった…目を開けてくれて…良かったポロポロッ」
遠くから呼ぶ声が聞こえて、ゆっくり目を開けるとボロボロ泣いている大切な彼の姿が写っていた。
俺が生きてたことを知ると強く抱きしめてくれて、それがとても暖かい。4んだと思ってた君の体温が伝わるだけで、「あぁ、まだ生きてるんだ」って安堵することができる。
💚「…みこちゃん……生きてたんだ…良かったっ…」
💛「何とか逃げれたよ…抱えての逃亡はかなりギリギリだったけどね…」
💚「ポロポロッ……良かった…良かった……生きててくれて…」
💛「…うん、うん。………本当に……よかっッッ!?………ぐッッ…!…」
💚「みこちゃん!!」
💛「怪我……が…ウイルスか……」
💚「っ………みこちゃんッッ」
💛「す、ち…はっ!…何も…ない?」
💚「うん!大丈夫……」
💛「そっか……良かった」
💚「…………」
苦しむみこちゃんの姿を…俺はじっくりと見る。そして……その姿を見れば見るほど…
1つの疑問が生まれる。いや、生まれてしまった
何でみこちゃんより重症の俺が苦しんでないのか……身体が軽いのか……。
俺は背中をざっくりいかれた…みこちゃんが止血してくれたとしても、ウイルスやらなんやらで悪化するだろう。なのに…そんな気配は一切ない。
💚「………………ね、ねぇみこ……ちゃ…」
💛「……」
💚「俺に…どんな止血…したの?」
💛「……」
💚「………ねぇ……」
💛「……」
💚「…ねぇなんで答えてくれな………っ!?!?」
彼の身体を揺らしたときに、後ろに隠してたものを見てしまった。
必死に彼が隠してたものは…………。
〈💛side〉
💚「あ………ッッあ……あぁっ!!」
💛「っ………」
💚「それっ…それっ!……注射っ器ッッ…………」
💛「…………」
💚「…………使ったの…………??みこちゃん…」
💚「俺……何か……にっ?」
💛「…………使った。」
💚「っ!!ガシッ(胸ぐら)……馬鹿……馬鹿!!いっつも天然でボケッ〜っとしてるからって、そこまで馬鹿だとは思ってなかったよ!!それは大切なものだって言ったよね!?1つしかないものだから大事な場面で使えって!!」
💛「…………」
💚「何で俺に使ったの!?今の場面は、どう考えても俺じゃないだろ!!ゾンビに囲まれてる絶望的な状況………俺じゃどうにもできない。2人ともバッドエンドだよ…!!……逃げることもできずに…じわじわ追い込まれる、最終的に……」
💛「…………」
💚「……無力な俺が………期待を裏切った俺が………君の相方として最低なことをした俺が………ひっくり返すなんて……なんてッッ。」
💛「………」
泣きじゃくる彼の姿は良く見る。でも、こんなに…絶望して泣いている彼を見るのは初めてだった。
だからなのかぁ………こんなに……
すちに怒りが湧いたのは……。
💛「馬鹿なのは……そっちやろ。」
💚「えっ?」
💚「っ!!……みこ…ちゃん?」
💛「…………」
💚「な、……何を…して…」
💛「……目を覚まして」
💚「!!」
💛「……現実は過ぎていく、起きたことは覆らない、過去は変わらない………」
💚「………」
💛「俺たちの作戦が失敗した今…次の作戦を考えないといけない…それがすち、君の役目やろ。何逃げとんねん…。」
💚「っ………無理だよ、だって…俺は弱いから」
💛「……」
💚「俺の作戦は無理だった………もう自分に自信を持てない…みこちゃんのあと僅かな未来を預かることすらできない……そんな信頼すら自分自身にないんだ………。」
💛「…」
💚「やめて……やめて……もう期待しないで…みこちゃんは確実に4ぬ。でもっ…それまでの時間は、好きなようにしてよ………俺なんか気にしなくていいから…いいから…お願いだから…。」
💛「……すち…」
💛「ギュ」
💚「!!」
💛「……辛いのは知ってる。痛いのも、苦しいのも、全部理解してる…だって俺が一番すちを見てきたから…。」
💚「………」
💛「でも俺達は止まれない、…可能性があるならば…進むしかない。…………だって…」
💛「俺達の夢には、“4人の思い”がのってるんでしょ?」
💚「っ!!」
💛「……抱えよう。すち……みんなの分も、諦めず…全部全部。……そのために俺たちが残ってるんだから。」
💚「………4人……」
💛「きっとみんな見てくれてるよ……どんな人たちだったかすら覚えてないけど、皆仲間思いだったのは知ってる。それだけは覚えてるから」
💚「(……まさか、あの声たち…って…)」
💚「………(……俺を、こうして導くために?)」
💛「すち……俺に注射器を使った。でもそれはバッドエンドのためじゃない、しっかりとハッピーエンドで終われるためにすちに使ったんだ。それほどすちを信頼してるから。」
💚「…………」
💛「俺は最後の思い…みんなのために、そしてすちのために捧げる。だから、すちも……一緒に乗り越えようよ。」
💚「………(みんな………、………)」
💛「…だから……お願い、諦めないで……俺には…君が必要なんだよッッ!」
💚「…………みこちゃん。」
💛「……どうしたの?」
💚「俺、みこちゃんの未来を奪った。やらかしてしまってゾンビにやられた。」
💛「…」
💚「作戦も失敗させた。予想外続きで何もかも上手くいかなかった。」
💛「…」
💚「今までのサバイバル生活で、みこちゃん以上に迷惑をかけた人はいないと思う。そう断定できるぐらい迷惑をかけた。」
💛「…」
💚「それでも………」
💚「君はまだ俺のために命をかけてくれるの?まだ俺のことを守ってくれるの?」
💛「ニコ……当たり前。すちは俺の大切な大切な人なんやから……ずっと守りたいって思いは消えへんよ…それに……………」
💛「約束したやろ?“この地獄から抜け出させる”ってさ…」
💚「!!」
………あの夜空の下で誓った約束。
彼はいつも震えて怯えきった表情をしていた………きっと恐怖や不安、苦しみや悲しみせいだろう……。
俺はそんな彼の顔を見たくなかった、俺に悟られないように無理矢理笑顔を作る彼の顔も嫌いだった。
だから俺は彼を最後まで支えると…ずっと守ると心に決めたんだ。それが彼にとって唯一の仲間である俺が、彼のためになる一番の役目だと思ったから。そして俺が「明日も頑張ろう」って前を向ける最大の光だったから。
俺が誓った約束…それに背くつもりも、逃げ出すつもりもない。
ただ…今日も変わらず…。
💛「すちを守る。それが俺の生まれた瞬間から課された役目だ。」
💚「………………ッッ…みこちゃ」
💛「…どうした?すっちー?」
💚「………本当に最後の作戦を…言い渡す。…みこちゃんは…やれる?」
💛「!…うん!」
💚「……なら、発表……をッッポロポロ」
💛「…泣かないで、これで最後だよポンポン」
💚「っ……だ”って…これ読み終わったら…もう離れ離れ…嫌だよッッ…ポロポロ」
💛「……すち…」
💚「みこちゃッッ…みこッッ…ちゃ…一緒にいようよ…、俺は君と居たいんだよポロポロ」
💛「…ごめんね。居れなくて………でも、大丈夫…俺は4んでもすちを見守っておくから。1人にはさせないから…安心して。」
💚「…………っみこちゃ……ん…。」
💛「……俺はもう準備ができたよ、さぁ…最後の作戦を……俺にちょうだい?」
💚「ッッ……ゴシゴシ!!……ん”……分かった。言い渡すよ、みこちゃん。」
💛「ふふっ……最後の最後ですちは成長したね。この作戦、前のすちだったら考えつくことなんかできないよ。ちゃんと俺のアドバイス………受け取ってくれたんだね。」
💚「……………なぁーにがアドバイスだよ…俺に注射器使った瞬間から、この作戦が来るの分かってたくせに。」
💛「あれ?バレてた?」
💚「当たり前だよ…本当に、誘導の仕方どうかと思うけど?」
💛「すちは身内に甘いんやから、俺がこのぐらいボロボロじゃないとこんな作戦使おうなんて思わないやろ?」
💚「そりゃそうだよ……みこちゃんにこんな思いさせたくなかったんだもん。」
💛「そっか……その気持ちを押し殺して、俺に最高の4に場所をくれてありがとう…。」
💛「しっかり活躍してみせるから。」
💚「……ッッ…はぁ……」
💛「………すち?心配?」
💚「……」
💛「……ギュ(手を握る)」
💚「!!…」
💛「どう…震え収まった?俺の手温かいから収まると思ったんだけど…どうかな?」
💚「(……ふふっ……こんな状況でも変わんないね……本当に君はかっこいいよ。)」
💚「ありがとう、もう大丈夫。……俺はみこちゃんの分も…みんなの分も頑張るよ…」
💛「ニコ…強くなったね、本当に。………後は任せたテクテク…」
💚「………」
💛「(岩陰から様子を窺っている)…そろそろ行く………」
💚「うん………」
💛「…………」
💚「…ねぇ、みこちゃん。」
💛「チラッ…どうしたの?」
💚「…………本当に…ありがとう。」
💚「またね…。」
💛「!!……またね、すっちー!」
俺は岩陰から飛び出す。
飛び出した時視界が少し歪む……涙がこぼれ落ち、そのまま静かに垂直落下していく瞬間を、見た気がする。
💚「ッッ……みこちゃん。」
ゾンビ『ガァオアオァォアゥガァ!!!!』
目の前にはたくさんのゾンビ、見た感じ30近くはいる。そのゾンビたちのほとんどが俺の存在に気づきこちらに走ってくる。
普通の人なら逃げるために後ろへ駆ける、自分の命を守るための生存本能が働くから。
でも俺はそのゾンビの群れに向かって突っ走る、だって何も怖くないから。自分の残りの命は彼に捧げた……命は何も惜しくない。俺が今1番失って欲しくないのは、俺が全てを託した彼の存在だけ…………。
彼には生き残ってほしい…。
この地獄を抜け出した先の景色を誰よりも心待ちにしていたから。身体が弱くても諦めず、足掻きながら生き残ろうと必死に頑張っていたから。痛い思いも辛い思いも全部耐えてきたから。頑張ってきた分報われてほしいから。
だから俺は注射器を彼に使った。残りの命を彼のためだけに捧げた。彼から出された作戦にも乗った。
全ては地獄から抜け出させように導くため!
ゾンビ達『ゾロゾロゾロッッ……!!!!』
💛「……目をつけてくれたな。」
作戦の流れ1【俺ができる限りのゾンビを引き付ける、その際にヘリコプターとの距離は遠く】
💛「タッタッタッタッ!!(適度な距離を保ちながら走る)」
ゾンビ達『グォ”ア”ゥ’オ”オゥガァ!!!!』
💛「……ピタッ……ようやく一箇所に集まってくれたか。」
💛「待ってたよ、その場所を…」
ピンッシュン!!!(手榴弾のピンを抜き天井に投げる)
💛「瓦礫で潰したけど…数体生き残ったか」
作戦の流れ2【ソンビを誘導して一箇所に誘い込み、手榴弾で天井を壊し落ちてきた瓦礫でゾンビを倒す】
💛「…手榴弾と瓦礫の音で気づいてなかったゾンビもこっちに寄ってくる。ヘリコプター周辺のゾンビは0体」
ゾンビ「ガァアァアッッ!!!!!」
💛「バンッ!!!……後は捌くだけ」
作戦の流れ3【音で寄ってきたゾンビをできるだけ銃で捌きヘリコプターの安全を確保する】
💛「………バン!!バン!!!…シュパン!!!…」
ゾンビ達『ゾロゾロ……』
💛「ハァハァ………まだまだいるね……っ…これでいい。そしたら………」
💛「彼への時間を稼げるから。」
💚「…タッタッタッタッ……シュン…」
作戦の流れ4【できた隙にヘリコプターに乗り込み、空へと飛び出す。】
💚「っ…(ここまで計画通り。後は俺がヘリコプターに乗って抜け出せば、作戦は終わりなんだ!無茶してまでみこちゃんがたくさん稼いでくれた時間を、無駄にするな!)」
💚「(乗り込む)……後はエンジンを入れて…グッ!!…」
『!!』
💚「っ…やっぱり音が…!!」
ゾンビ達『ゾロゾロ(向かう場所をヘリコプターに変える)』
💛「!!…くっ!…待て!!絶対に行かせて…ッッ」
ゾンビ「ガリガリッ!!!」
💛「ぁがッッ!!…カランッッ…しまっ!?銃が!!」
ゾンビ「ガブリッ!!」
💛「うぐッッ!!…あ”ぁ…い……だ”…アァ…っ____」
💚「あと少し…あと少し!!」
ゾンビ「(ヘリコプターにしがみつく)」
💚「…ッッくそ…ゾンビがもうここまで…」
ゾンビ達『ゾロゾロ…ゾロゾロ…』
💚「ゾンビが大量に…チラッ……!!みこッッちゃん…………」
ゾンビ「ドンドン!!(窓ガラスを割ろうとする)」
💚「……………このゾンビの重量だと…上手く操作が…できないな。」
ゾンビ「ドンドン!!」
💚「ッッはは……絶望的………か…(ここで終わりなのか…)」
💚「……俺は諦めない!これ以上俺たちの邪魔をするなら!俺がゾンビを殺してやる!絶対に諦めない!!みこちゃんのために、みんなのために俺は戦うんだ!!」
ゾンビ「パキパキパキ…!!!!」
💚「…っ!!」
ゾンビ「ザクシュ…アァアォゥア!!!!サラサラ…」
💚「!!」
ゾンビ達『ガァアァ!!!サラサラサラサラ……』
💚「ナイフが……飛んできて…」
💛「すち、行って!!!!!」
💚「…みこちゃん………ッッポロポロ(操縦桿を持つ)」
ゾンビ達『(ヘリコプターからふっ飛ばされる)』
💛「…ポタポタ…すちッッ…ゴフッ!?(吐血)」
💚「っ…ーーーーー。…ポロポロ」
ヘリコプターが空高く飛び上がり、どんどん小さくなっていく。
ガソリンも十分に入ってるし、ヘリコプターも部品も不備はない。しがみついてたゾンビたちも吹き飛ばされていたからすちは安全だろう。
あぁ……終わった……すちは抜け出せるんだ。
最後……投げナイフ…当たってよかったな……頑張って投げて良かった……。
💛「……ポロポロ……これでッッ…俺の、役目は…終わりかポタポタ…」
ゾンビ達『……ゾロゾロ』
💛「………」
残ったのは俺とゾンビだけ…
ゾンビはまだまだ元気があるようで俺の方に全員向かってくる。
💛「……………」
俺もウイルスがかなり回っていて…ゾンビから逃げていてもゾンビになるだろうし、戦っても負けて4ぬだろうな。どっちも最悪だ。
💛「だから…………今できる最高の4に方でッッ終わろう。」
俺は懐に隠しておいた最後の手榴弾を取り出す。
ゾンビ達『ゾロゾロ』
💛「……君た”ち…ゾンビも…元は”、同じ人間なんッッだよね……。ゾン、ビ……苦しいでッッしょ…楽にし”てあげる」
そう言い俺は……手榴弾のピンを…ゆっくり抜いた。
これはただの自殺ではない……俺が前に進むための一歩となる行為。前に進むために自分で自分の人生に終止符を打つ………こんな人生も悪くはないね。
?「ーーーー?」
?「ーーーー〜?」
?「ーー!ーー!!」
?「ーーーー!ーーー!」
💛「……ん、……うるさ………ってここどこ?」
?「あ、いた!!みこちゃん何も変わらないね!!」
?「たく……こっちにくるの早いっての、すちもだけど…」
?「けど……その顔…みことに後悔はなさそうだな。なら良かった。こっち側に受け入れてやるよ。」
?「………みこちゃん、強くなったなぁ…本当に。」
💛「チラッ……………」
?「……久しぶり…みこと。」
💛「みこと………。この声…この姿…。」
心の中の鍵が解ける音がする。
曇ってた声、顔、姿が晴れて彼らとの思い出が蘇る。
いつも勇敢でかっこいい彼
❤️「お疲れさん、みこと。」
いつも明るくて可愛い彼
🩵「またこうやって会えて嬉しいよ!みこちゃん!」
いつも強くて頼りになる彼
💜「最後までよく頑張ったな。」
いつもメンバー思いでしっかり者の彼
🩷「…みことの姿かっこよかったよ。」
💛「ッッ……あぁ……あぁ…ポロポロ」
💜「ちょッッ、おい!!テクテク…」
🩷「みこと?…何で泣いて…」
💛「……みんな…みんな…また…会えて良かった…ッッポロポロ…」
❤️「……みこと。」
💛「みんなみんな…助けれなくてごめん。追い詰めちゃって…ごめんっ…ポロポロ」
🩵「…サスサス……」
💛「みんなのこと…思い出せなかった、分からなかった……忘れててごめん、ごめんなさいッッポロポロ」
🩷「……たく、相変わらず優しいなお前はっ!」
💛「……らんらッッ?」
🩷「みことは今やるべきことを最後までやりきった……謝るな。むしろ誇れ…お前は最強だ。」
💜「そうだぞ……逆に、全て押し付けてすまんな、すちとよく頑張った」
❤️「サスサス……ずっと見てたけど…本当にかっこよかったよお前は。よく頑張った、頑張ったよ。」
🩵「後は…俺らとすっちーのことを待とう?ここは…痛くも苦しくもない、仲間と楽しい時間を過ごすだけだから」
💛「……うんッッ…うんっ!」
🩷「俺みことの地上での自慢話し聞きたいなぁ」
💛「えぇ…自慢話し…、あ、でも自慢話しより今はみんなともっと話したいかも。」
🩵「みこちゃん俺等の事好きやねぇ…忘れてたけど」
💛「もういいでしょ!」
❤️「こさめもここに来たとき泣いてたけどな。」
🩵「泣いてないし!まにきとらんくんのほうが泣いてたし!」
💜「巻き込むな馬鹿!」
🩷「俺は泣いた。」
❤️「らんは泣いてたw」
🩷「もう号泣ビチャビチャよww」
💛「www」
あぁ……幸せだ………。
すち、俺はずっとすちのことを見守っとるよ。
大好きな大好きなメンバーと…ね。
〈💚side〉
💚「………おいしょ…とりあえずこれで3000個は完成。後はこれを業者さんに頼んで政府に送ればいっか」
?「すっちー!!ご飯できたよ〜!」
💚「あ、はぁーい!今行きますっ!!」
💚「すみません、お待たせしました。」
?「たく…実験や研究・開発をするのは良いけど、やり過ぎはやめてよね?」
💚「あはは……善処します。」
?「ほら、早く食べよ…ご飯冷めちゃうから」
💚「はい!いただきます!!」
💚「ごちそうさまでした!」
?「お粗末様でした。」
💚「それじゃあ、部屋に戻りますね。」
?「……また、部屋にこもるの?」
💚「はい!」
?「……ねぇ…もう辞めようよ」
💚「…………」
?「毎日毎日…部屋に居て、きっと壊れちゃうよすっちー。事情は知ってるけど、だからってやり過ぎは良くない。すっちーは過酷な環境から生き抜いてここまで来たんだから……もう頑張らなくても……」
💚「……ニコ…心配ありがとうございます。」
💚「でも、俺は辞めません。」
?「何で!?…そんな頑張っても…疲れるだけだよ!?すっちーの辛そうな顔は…きっと助けてくれたみんなも、見たくないと思うよっ!!」
💚「そうですね。きっと天国行ったときにたくさん怒られるかもしれないなw…働きすぎだぁって…ww」
💚「けど、これは俺の我儘でもあるんです。……みんなは日本を、バカ騒ぎしていたあの環境を誰よりも愛していた……だから俺はあの環境を取り戻したい。みんなのために。」
?「すっちー……」
💚「…それが、託された俺の唯一できる使命ですから。では……」
💚「ガチャ……はぁ迷惑かけてるかなぁ。今度からはお金貯めて、一人暮らしできる環境と研究所探さなきゃ…長居も良くないしね…」
💚「プルルルッ…、電話…マイクさんか」
💚「ーーーー?」
💚「ーーーーーー」
💚「ーーーーーーーーー」
💚「カチャ……「日本奪還作戦」の方も頑張ってるんだなぁ…おし、俺ももっと追加で作らなきゃ!」
💚「目指せ北海道救出!!」
俺は今、研究室で黙々とゾンビについての研究をしている。
数年前…みこちゃんを置いて、日本を抜け出した俺は、よく分からない国に不時着した。
ヘリコプターだったし、生きるか4ぬかのギリギリのラインでの脱出だったから、ここが何処かの地理なんて把握できるはずもなく…俺はよく分からない国で生活することになった。
でも、本当に何も分からなくて……あの時は頭がまだ冷静じゃなかったのもあったけど、何一つ理解できずにただ路地裏でほそぼそと生きるしか無かった。
たまたまこの国に居る日本人の人が、俺を見つけて拾ってくれたおかげで、何とか生き延びることができたけど…今思えばとんでもない奇跡だったと思う。
俺は…その人に事情を全て話した。その人は俺の話を全部聞いてくれた後に励ましてくれて……他国から見た日本の状況を、教えてくれた。
他国は日本を救おうと頑張っては居るけど…未知の生物であるゾンビのことを何も知らないから対策のしようがなく途方に暮れていたらしい。
それを聞いて…俺は理解した。自分のやるべきことは何かを……。
俺が日本と他国の架け橋になること。
この目的を達成するために俺はお願いして、家に住み込ませてもらうのと同時に部屋を1つ貸してもらった。
そこで俺は……ゾンビの研究を開始した。
けど…何も上手くいかなかった。
ゾンビについて情報は日本で何度も戦ったからある程度は把握しているけど……サンプルどうしてもないから、今あるだけの情報だけでの開発をした。結果…ほとんどが何も得ることのできないことだった。何度も繰り返しても何も変わらず、時間だけが過ぎていくだけの毎日だった。
でも俺は諦めることはしなかった。みんなのために……まだ日本内で生きている人のために……全世界のために…そう思うと自然と諦められなかったから。
そして、諦めなかったおかげでその努力は無駄じゃなくなった…!
俺はゾンビウイルスの生体についての情報を7割近く入手し………俺の血のゾンビウイルスに対する抗体を利用して「ゾンビウイルスを殺す薬」と「ゾンビを人間に戻す薬」の2つを完成させることもできた。
この完成された薬と俺の体験談……この2つがあれば、きっと俺は架け橋になれる!!
そう思った瞬間身体が止まらなくて……俺は後先考えずがむしゃらに行動した……行動して行動して行動しまくった。
結果、ネットを通じて広がった俺への支援により、全世界の戦闘機関が俺の作戦である「日本奪還作戦」に乗ってくれた。
「日本奪還作戦」は日本を平和な日本に戻すための作戦であり俺主導の作戦。主な内容としては全世界の戦闘機関が集めて、大勢で日本に乗り込み、ゾンビを少しずつ人間に戻してゾンビを無くして行こうというものだ。
今は……北海道の北側は制圧完了らしく、来週には札幌を攻めるらしい。
作戦を立てた俺はというと…現地で入手したゾンビの情報を解析し、時間が許す限り薬を作り続けている。
俺自身…本当は前線で指揮を取るべきなんだろうけど、ゾンビとの後遺症や身体の弱さもあり戦いの場には出ないことになっている。
ここでも少し……自分の弱さを実感する。
でも…今の俺はあの時と違う。弱さに押し潰されない、しっかりとした信念を持ち自身の役目を全うする。俺の役目は誰もできない唯一無二のもの。
だから今日も俺は……薬を作る。これは俺にしかできないことだから。
💚「カランカラン……薬あるだけ作ろう…まだ薬を作れる身体だからこそ…。」
💚「…俺は…後何年身体が持つかな。」
俺はたくさんの切り傷の跡がある右手を見ながらそんなことを零す。
……分かってる。こんなことハイペースでしてたらいつか身体が壊れるか、血がなくなっていき、衰弱しきって………4ぬってことぐらい…。
でも……そんなので逃げない。
だって……きっと君なら……そう、言うからと思うから。
💚「…………みこちゃん。」
自分を犠牲することを悔まないかっこいい彼ならきっとそう言うよね。
なら俺は…その思いを引き継ごう。
…優しくて強くてかっこいい君に………憧れたから。
そして、前の自分を越えたいと思ったから……。
?「……………すっちー!…ポロポロ」
「…………ん、…パチ……」
目を覚ますと辺り一面明るくて、温かい空気が身体を包む。身体と心の軽さがとても心地良い……理想的な空間だ。
俺はそんな空間を少し歩く……しかし、歩いても景色はなにも変わらなかった。ただ明るくて綺麗な空間が広がっているだけ………
ここが何処なのか……不思議に思っているとき……後ろから突然風が吹かれた。
俺はゆっくり振り返ると…遠くで何かが俺に向かって大きく手を振っていた。
それを見た途端身体が前へと走り出す。
気が付けば涙も出てたし、転びそうなほど拙い走り方で…本当に情けないw
でも、そのぐらい…会いたかったから。
💚「………ッッ…ポロポロ」
_Fin_
コメント
6件
初コメント失礼します! 1話から見させて貰ってます! 今回も最高な作品ありがとうございます!感動しました😭これからも頑張ってください!
泣きすぎました😭😭😭😭😭😭😭 番外編とかで天国へ行った後とかもみたいです😭😭😭😭
最後に💚くんはみんながいる天国に行ったってことかな.. 相変わらず最高の作品ありがとうございます..!!!