“カジノ側から四つ又行ってるの誰?”
“俺です”
“小柳、四つ又手前に車が3台停まってて、そこに犯人1人いるよ”
“了解です”
だいぶ手前で車を停め、腰を低くしながら前進する
曲がり角に車の鼻先を捉え銃を構える
こちらに気付いていないか、奥の車に隠れているか‥‥
手前の車に近づき後方に隠れる
その時足の擦れる音が聞こえ、銃を構えながら振り返る
お互い振り向き、余りの近さに声が出た
「うわっ!‥‥え?」
「うぉっ!‥‥こや!」
そこにいたのが不破さんで、驚きのあまり立ちすくんでしまった
パァァン‥‥
「危なっ‥‥!」
俺が目立っているせいで弾が飛んできた
しかもその弾は不破さんの方へと飛んでいく
俺は思わず不破さんを突き飛ばしていた
「‥‥っ!」
「こや⁈」
突き飛ばした腕に弾が掠める
不破さんが慌てて俺の怪我した腕に触れた
「大丈夫?」
「大丈夫で‥‥」
言っている間に今度は逆から弾が飛んでくる
「‥‥‥‥!」
掴んだ腕を強く引っ張られ不破さんの胸に抱き止められる
「‥‥っ痛」
「不破さん⁈」
不破さんの背中に触れた手がどんどん濡れていく
「良かった。こやが撃たれなくて。こやが撃たれるのは絶対ダメなんだから」
「良くないです!俺のために怪我しないで下さい。俺だって怪我したら病院で治せるんですから。撃たれたって平気です」
「カッコいいね。だからこやに惚れたんだ。今晩こそデートしてくれない?」
「今する話じゃないですし、デートもしません」
「いつもつれないんだから。それはさておいて、俺は簡易キット持ってるからここに捨てて行って。こやは出口の方に戻ると良いよ」
デートに誘われても嬉しくない
だってそれは叶わないから
こんな時だってそうだ
助けたくても助けられない
不破さんはギャング
俺は警察
だったらいっそ会うのは檻の中だけで良い
夕方近く
パトロールしているとセラさんに会った
「ロウ君!パトロール中?」
「そうです。セラさんは悪い事してない?」
「してないよ。アジトに戻るだけ」
「ホントですか?」
世間話をしながらセラさんと歩く
「そう言えば不破さん、病院に行きました?」
「ん?ユニオンの時の?」
「‥‥そうです」
「何?気にしてるの?」
「べ、別にそう言う訳じゃないですけど‥‥」
「可愛いんだからロウ君は」
そう言いながら頭をぐしゃぐしゃに撫でられる
「素直にボスの所に来れば良いのに」
「だから違うって‥‥」
急にセラさんが手を引っ込める
俺は髪の毛を直しながらセラさんを見た
俺の後ろを『ヤバい』みたいな顔で見ている
何かしたのか?
俺も気になり後ろを振り返った
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コメント
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誰がいたか想像が容易いねぇ