私は髪の毛を食べないと生きていけない
小さい頃にその症状が出て、両親が私を病院に連れて行った。
医者は青ざめた顔をして両親を別室に呼び出し、何かを話しているようだった。
家に帰ったあと両親は先生に言われたことを私に話した。
「まずお前は病気ではなかったそうだ。
しかしな、お前は普通の人間じゃないそうだ。髪の毛を食べ続けないと死んでしまう。先生もこんな症例は初めてだそうだ…。これが政府にバレたらお前は実験台になってしまう。だから体の秘密は誰にも言ってはならないよ。しっかり守れるか?」
私はそれを聞いて、周りの人たちは逆に髪の毛を食べずにいられるのか?と疑問に思った。まだ物心つく前も床に落ちている両親の髪の毛を食べていた。
両親は気づいていなかったのだろうがそれが私にとって当たり前だった 。
でもまさか自分がおかしい存在だなんて想像もつかなかった。
現在私は中学生。
普通の体質の子達と混じって普通の日常を送っていた。
だけれども最近髪の毛を食べたくて食べたくて食べたくて食べたくて食べたくて食べたくて食べたくて食べたくて食べたくて食べたくて仕方がない。
ある日授業中にうっかり女性教員の髪の毛に噛み付いて引きちぎってしまった。
引っ張られて転倒した女性教員は乱暴に千切られ長さがばらばらになった枝毛だらけの髪の毛を見ながら呆然としていた。クラスメイトたちは突然の出来事に叫び声を上げたり目を見ひらいて怯えていたりした。
他の先生たちが私を囲って取り押さえた。
やってしまった、と思った。
泣いている女性教員をみんな気の毒そうに見つめる。
だが、あの教員の手入れの行き届いた髪はいままでで一番美味しかった。
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ああああ