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柘榴とAI

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#没入感フィクション
柘榴とAI

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ひとまず、第一関門はクリアと言って良いのだろう。
実際に組んだハンドガンとは別に、ゲームでもほぼ同じ物を作って彼女に渡した結果。
遠慮はされたけども、随分と喜んでくれたみたいだし。
使ってみた感じでも全く問題無いと言って、とても気に入ってくれている様子だった。
そして何より……また、“あの時”みたいな笑顔を見せてくれたのだ。
よく考えれば、他の所でも色々と緩く微笑むところは見た事があったんだけど。
それでもやっぱり、もう一回最初の感動が味わえた気がして。
今日ばかりは、例え断わられても喰いつくんだ! って勢いで、午後の予定を少しだけ頂戴するお願いをしてみたところ。
「ふぅぅ……緊張する」
約束の場所まで、バイクでやって来たんだけども。
白川さんは、お兄さんが送迎してくれるそうな。
いや、うん。
前に絡まれた事を思い出すと、その方が絶対安全なのだ。
だからこそ、この方が良い。
そう自分には言い聞かせるが……元々緊張するイベントなのに、更にあのお兄さんの監視も付いているとなると。
ちょっと、お腹痛いです。
とか何とか、情けない事を言いそうになるが。
待ち合わせ場所にも持って来たガンケースを、バイクの上に固定したままポンポンッと叩いた。
本日の目標は、コレを彼女に渡す事。
あの子と一緒に初めてガンショップに行った時、それこそあっさりプレゼント出来る男だったら良かったのだが。
俺には、無理だったので。
もはや今更だろって、自分でも分かっているのだけど。
「コレで気を引きたいとか、そういうのじゃないんだけど……けど、単純にプレゼントしたい。なんて、これも傍から見たら気持ち悪い行為だよなぁ……」
いざこの現実が近付いて来たって考えたら、本当に大丈夫か!? ってなって来る訳で。
バイクに跨りながらも何度もため息を零してしまうし、自問自答が止む事は無い。
などと、色々考えながら待っていると。
「黒沢君……? えぇと、大丈夫ですか?」
「どわぁぁっ!?」
急に声を掛けられ、バイクを倒すんじゃないかって勢いで驚いてしまった。
何とか転倒は防いだけど、後ろに乗っけてあるガンケースも無事だったけど。
完全に油断しており、彼女の到着に全く気が付けなかった。
「し、白川さん……今日も、えぇと、お早い到着で……」
「えと、いえ、今日は約束した時間丁度ですけども……」
そんな事を言いながらスマホを見せて来る彼女。
画面に表示されている時間は、確かに約束した時間丁度。
俺が一人でモジモジやっている内に、想定よりずっと時間を掛けてしまっていたらしい。
馬鹿、本当に馬鹿。
今やって来ているのは、彼女の家から近い場所にあるちょっと広い公園。
とはいえ、「駐車場だけで済ませます、時間は取らせません」って話していたので。
当たり前だけど、ちょっと離れた位置に止まっている車の中には白川さんのお兄さんの姿が見える。
とりあえず全力で頭を下げておいたが、相手は物凄く鋭い目でジッとこっちを見ているのが分かる。
あ、相変わらず怖いです……。
分かってる、白川さんの事を心配してるだけってのは。
だからこそ余計に怖いってのもあるんだけど。
「それで、今日はどうしたんですか?」
後ろから見守っている人の雰囲気には気が付いていないのか、いつも通りの雰囲気のまま首を傾げている彼女。
というか、学校以外で見る白川さんの雰囲気って言った方が良いのだろう。
普段よりちょっとだけ緩いと言うか、気を許しているみたいにふにゃって笑う感じ。
なんかもうこういう表情を普通に見せてくれる様になったというだけで、俺としては滅茶苦茶嬉しいのだが。
今日は、ちょっと彼女に“お断り”される可能性がある事をしようとしているので……。
心臓をバクバク言わせながらも、スッとガンケースを差し出した。
緊張し過ぎて言葉が出てこないんだけど……なんか言えよ、俺。
「これは? 何か、凄いですね。格好良いケースです」
「……えぇと、ですね」
とりあえず受け取ってくれた、のは良いんだけど。
相手の表情からして分かった。
ガンケースだと気が付いていない。
何かゴツイケース渡された、コレはなんだろう? って感じに受け取った状態のまま、色んな角度から眺めている。
「その、ホント、大したモノじゃないって言うか……変な事を言うと、絶対白川さんが遠慮すると思うので……帰ってから開けて、確かめて欲しいと言いますか」
もう一度相手にプレゼントして、あの時の表情が見たい。なんて言っていた癖に。
相手の反応が怖くて、思わず逃げた。
だって絶対遠慮されるし。
そんな訳で、モゴモゴしながらそんな言葉を伝えると。
彼女は、はて? と首を傾げ。
「……えぇと? お預かりして、後で確認すれば良いんですか? こんな箱に入っているくらいですし、高価な物だったりしたら……ちょっと預かるのも怖いですけど」
「いや! えぇと! 違うと言いますか……あげます。普段からお世話になっているお礼っていうか、えぇと……」
「へ?」
予想はしていたけど、“あげる”と言った瞬間。
反応に困った様子を見せる白川さんが、ピタッと停止した。
だが今だけは、どうにか押し切れ!
これで引っ込めたら、本当に格好悪いぞ俺!
「ホント、白川さんと一緒に遊ぶようになってから毎日楽しいって言うか! それに、お弁当とかも貰っちゃって……だから、そのお礼だと思って!」
「いやいやいや、待ってください! それを言ったら、私の方が貰ってばかりです!」
「それは俺も同じというか、貰ってばっかりだって感じ出るのは俺も一緒だから!」
という事で、やっぱり始まった遠慮合戦。
頼む出っ歯! 今だけはお前の図々しさを俺にも分けてくれ!
「俺みたいなのからすると、白川さんみたいな女の子と話すって経験だけでも物凄い事なので! しかも一緒にゲームしたり、デ……デートしてもらったりとか! 今までの人生だと全く想像出来ない毎日を送らせて頂いておりますので!」
「ですからそれは私も一緒です! むしろ私の人生だと絶対あり得ないだろうって事を、黒沢君はいっぱいくれます! だからお礼をするのは私じゃないとおかしいんです!」
「だったら! えぇと……今後! 今後いっぱいそちらからお礼も貰うので! 俺のお礼も受け取ってくれませんか!」
もう、顔面から火が出るんじゃないかって程だったけど。
何とかそんな言葉を放ってから、全力で頭を下げた。
この瞬間、車の扉を開く音が聞こえた気がしたけど……ハッ!
もしかしてコレ、傍から見たら賄賂を渡しつつ告白でもしている様に見えたんじゃ!?
慌てて頭を上げてみると、白川さんのお兄さんは車から降りようとして……何やら葛藤しているらしく、ドアを掴みながら降りるのかどうなのか微妙な体勢。
そして、目の前に居る白川さんに関しては。
「本当……ですか? もしもコレを受け取ったら、黒沢君は……私の“お礼”も、受け取ってくれますか? そういう時だけは、遠慮とかしないで……貰ってくれますか?」
顔を赤くして、何故か恥ずかしそうに視線を逸らしていた。
な、なんだろう? この反応は、どう捉えるのが正解なんだ?
そして彼女は、いったい何を俺に送ろうとしてくれているのか。
ここで思春期の妄想を爆発させる様な真似をすれば、絶対痛い目を見る事になるのは分かっている。
だからこそ、絶対男の妄想みたいな事柄じゃないんだぞって自分に言い聞かせつつ。
「は、はい! ちゃんと受け取って、お礼を言います! それから、お返しも考えると思いますけど、そっちもまた受け取ってくれると嬉しいです!」
もう、勢いだけで喋った。
とにかく今は、コレを受け取って貰う事が最優先なので。
だからこそ、背筋を伸ばしてそう宣言してみた結果。
彼女は、赤い顔のまま俯き。
「ご飯……」
「え?」
「……お兄ちゃんが、よく言うんです。ご飯は作り立てが一番美味しいって、よく褒めてくれるんです。前の合宿は、私もお手伝いしましたけど……人数が多かったですし、やっぱり“出来立て”とは言えないっていうか。それに、やっぱり“お手伝い”の範囲でしたし……」
「う、うん? えぇと? 白川さん?」
ちょっと何を言っているのか分からなくて、思わず彼女を覗き込んでしまったのだが。
このタイミングで、バッと顔を上げた彼女は。
「こ、今度! 時間が合う時で良いので! 私の家か、黒沢君のお家で料理しても良いですか!? わ、私に出来る事って、これくらいですし……何が欲しいってちゃんと言ってくれないと、何をプレゼントしたら良いのか、私には分からないですし……なので、えぇと。とりあえず、まずは……お弁当じゃなくて、一番美味しい状態で、黒沢君に食べてもらえたらなって……」
最後の方は尻すぼみになり、ものっ凄く小さな声だった訳だけども。
あの、それは……ですね?
どちらかの家にお邪魔するイベント、という事になるのでは?
いや、えぇと。
これは、俺の妄想じゃないよね? 実はまだ夢の中だったりしないよね?
「それを許して貰えるのなら……えっと、こちら……頂きます。でもでも、あんまり高価な物とかは駄目ですよ!? 私達はまだ高校生なんですから、そういうのはあんまり良くないって言うか!」
「う、ぐっ!?」
「こ、高価なんですか……コレ? あの、中身……見ても?」
「帰ってからでお願いします!」
「怖いですよ!? 帰ってからとんでもない物が出て来ても、私反応に困っちゃいますよ!? あんまり凄い事すると……わ、私でも怒っちゃいますからね!」
それはそれで、正直見てみたいけど。
などと思っていたら顔に出たのか、白川さんはちょっとだけジト目に変わり。
「黒沢君?」
「と、とにかくソレは家に帰ってからって事で! そうしよう! そっちのお願いと言うか、俺にとっても御褒美でしかないソレは……うん! またゆっくり予定を立ててからって事で、ね!」
結果、めっちゃ逃げの選択肢をする俺。
物凄くダサかったと思うけど、とりあえず彼女にはプレゼントを受け取って貰えた。
今回はまぁ……結果オーライという事にしよう。
車に戻った白川さんと、そしてお兄さんに対して全力で頭を下げ。
相手の車が見えなくなるまでお見送りしてから。
「つ、疲れた……合宿の時より疲れた……」
緊張で、未だに胸がバクバク煩く脈打っているんですけど。
コメント
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くろぬかさん、お疲れさまです!第165話、読み終わりました〜! もうね、冒頭から黒沢くんの緊張がダダ漏れで、こっちまでソワソワしちゃいました(笑)「頼む出っ歯!今だけはお前の図々しさを俺にも分けてくれ!」は思わず笑っちゃいましたよ。あの遠慮合戦、二人ともお互いを想い合ってるからこそ譲れないんですよね。白川さんの「ご飯…」からのまさかの手料理デート提案、めっちゃ可愛かったです!お兄さんの鋭い視線が怖すぎて、黒沢くんの胃も心配になりますが…次回も楽しみにしてます🌷